旧資料備忘摘録 2020-8-22 Up

▼川島浩平『人種とスポーツ』2012-5 中公新書
 ベースボールは庶民発祥。アメフトは、エリート文化の産物。
 南北戦争前に50万人の自由黒人がいた。解放によりそれに400万人が加わった。

 一度八百長にはまると、二度目を拒む理由がなくなる。
 ピーター・ジャクソンはやけをおこし、両手を垂らして相手のパンチをわざと浴び続けた。

 クーベルタンは普仏戦争の敗北をバネに、英国に留学して知ったラグビー校の体育理念に刺激された。
 ベーブ・ルースは本名ジョージ・H・ルースで孤児院育ち。ドイツ系。
 ジャック・デンプシーはレストラン経営でも成功した。

 フレデリックの通称がフリッツ。
 ジャッキー・ロビンソンは軍隊時代にバスの黒人席に移動することを拒んで軍法会議にかけられたが、無罪。
 テディ・ローズヴェルトは黒人官僚を任命している。
 ブルックリン・ドジャースとニューヨーク・ジャイアンツは、それぞれ1958にロサンゼルスとサンフランシスコに本拠地を移した。

 ケニアの中のナンディ族だけが、すぐれたアスリートを送り出している。これは彼らの精神性が他部族と違うからである。ひとことで言えば、集団的なプライドを持っている。マサイはすぐにイギリスに屈服したが、ナンディはウガンダ鉄道の完成を10年も遅らせた。

▼慶応義塾ed.『福澤諭吉の手紙』2004-4 イワブン
 講武所の槍剣術師範役が廃止になり、遊撃隊という鉄炮打ちに変わった。かねて、大小の刀を廃止すべきだと思っていた自分としては、千古の一快事だ。慶応2年。

 古川正雄は福沢塾の塾長にまでなった者だが、戊辰戦争の榎本軍に参加した。

 日清戦争が終結し、兵員がひきあげてくるにともなってコレラが発生し、兵站基地であった広島を中心に大流行した。M28年。

 野鳥の餌フィーダー台を「雀堂」といった(p.288)。
 『雷銃操法』の巻之一を訳したのが、慶応2年。

▼鈴木喜一『馬王堆老子』S62-5
 1973出土。帛に書かれた甲乙二本。
 甲本は前206~195年に書かれたろう。乙本は前179~169に書写されたろう。
 老子は詩なので、相手と波長が合わないと、理解できない。

 漢代に老子の思想を指して道徳と称した。
 天下の難は易より作[おこ]り、天下の大は細より作る。
 衆人には見えないほどの小さなものを見るのが明である。

 古代の母系社会では、母あるを知って父を知らなかった。
 璧とは、平たく円形で、中に円い孔のある宝玉。

 その光を和らげ、その塵に同ず。……おのれのきらびやかな才能をあらわにしないで、世間のやり方に従う。それが道だと。

 君子は終日行けどもその輜重を離さず。いちにちじゅう進軍しても、輜重部隊を掌握しつづけている。

 兵は火のようなもので、蔵めなければ自分を焚く/左伝・隠公4年。
 兵はほどほどで蔵めないと、必ず我が身を害する/左伝・襄公4年。

 天が悪人に手をかすのは、その凶悪ぶりを増して天罰を降そうとしているのだ/左伝・昭公11年。
 これを奪はんと欲せば、必ずしばらくこれをあたふ。……おそらく原典は『周書陰符』。『戦国策』もそこから引用している。じゃっかん字句が異なるが。

 利器……ここでは君主による賞罰のこと。

▼桜林美佐『誰も語らなかった防衛産業』2010-7
 2009年度に川崎造船が潜水艦を受注できなかった。1年の空白ができてしまった。
 軽油ドラム缶は200kgくらいの重さ。

 一種類の部品を百個作る仕事は助かる。が、防衛関係の下請け工場は、百種類を1個ずつ納品しろといわれているようなもの。
 不具合はどうしても出るから、予備にもう1個つくる。倍のコストになる。10個つくりおきしておいて毎年納品しようとすれば、少しの錆をみとがめられて受け付けてもらえない。こんなのやってられない。

 従来、使用に何の問題もなかったキズを、プライムの新人担当者が不合格にしてしまう。図面に無いという理由で。

 企業は武器輸出を警戒する。というのも、輸出が増えれば輸入も増えるだろう。海外製品との競争を強いられるのではないかと。

 これまで日本は、ビルマ、南ベトナム、インドネシア、タイに、銃弾と拳銃を輸出した実績がある。

▼清水政彦『東京で地熱発電』2012-8
 電力会社が公表している廃炉コストは財務諸表のごまかしを含んでいる。

 発生している費用を会計上のマジックで50年後、100年後に先送りすることで、電力会社には原発による利益がでているように見えるだけ。

 東電が計画している東通原発の原子炉設置許可申請書では、建設費用に関する数表のほとんどが企業秘密として非開示。
 いまや原子炉の建設費用は、電力会社と監督官庁のみが知るべき機密事項に指定された。

 日本最大級の太陽光発電所ですら、その実力はミニバン×10台分(p.59)。
 電力需要ピークは夏の昼間と冬の夜間。両者の数値に大差はない。
 サイバー攻撃は「証跡」の残りにくい攻撃手段。
 浮体プラットフォームの話は、受注残が尽きて青息吐息の造船業界に体よく補助金をバラ撒きたいだけ(p.72)。

 一般家庭の屋根にいくら太陽光パネルをならべても、社会的コストが増大するだけで誰も幸せにならない。今の技術では。
 九州電力の八町原[はっちょうばる]地熱発電所は、日本最大なのに、遠隔操作の無人運転。

 東北の葛根田。浅い深度の熱水資源を利用しているだけで、大深度の高温岩盤は未開発。だから、地域ぜんたいで地熱開発の伸びしろがいくらでもある。
 寒冷地で大型のハウスを作ると、暖房燃料だけで一冬数百万円。

 日本国内には、2000m以上の深い井戸の需要がほとんどない。だから掘削費用が欧米よりも高くなってしまう。
 原油は今では7000mくらいまでザラに掘る。油井にヒットするかどうかはバクチだが、高温岩盤は、地下には必ず存在する。

 スケールは、油井でもガスでもシェールでも、普遍的に発生する。

 法律を改正するとよい。地熱を使って加熱されたものは、源泉が鉱泉であっても「温泉」と名乗ってよいことにするのだ。これで、温泉街が工業的な地熱開発を嫌忌する理由はなくなるだろう。

 松川地熱発電所のような巨大な冷却塔は、古い第一世代の地熱発電所の特徴。今はもっと小さい。
 米本土(アラスカとハワイ以外)の火山は、ワシントン、オレゴン、カリフォルニア州に集中。

▼T.H.Grace著『宇宙の傑作機 Mo.12』2009-8
 ロシアのRD-170 ロケットブースターの特集。
 固体ロケットの難点は、長距離輸送しにくいこと。寒冷地では、保管にも難がある。
 ※ひび割れが発生するため。

 直径が8mにもなると陸上輸送機械がない。だからAn-225という巨人機をつくった。

 RD-170はメンテナンスフリーで10回、再使用できる。
 ジンバルは英語圏ではギンバルと発音される。

 ケロシン系のエンジン開発は5年。液酸液水だと10年かかる。RD-170は完成させるのに17年もかかった。

 スペースシャトルに経済的な合理性などないとソ連は見抜いていた。だとしたらその意義は軍用にしかありえないのだ。宇宙から核攻撃する機体だと警戒した。

 資金はトータルで1兆円くらいはたいたのではないか。
 水素は、分子量も、液体密度も小さいので、酸素側よりも高回転・大主力のポンプが必要。

▼司馬遼太郎『酔って候』2003 文春文庫
 ※初出はS39。
 吉田東洋のはたらきのおかげで、容堂の側近の小南五郎右衛門は国許へ追放程度で許された。幕府要人にわいろを使った。

 容堂は、坂本龍馬に会ったことはない。ついに。
 西郷は肥満しているので長時間の正座ができない。

 江戸城の大広間。300畳近くある。その中央で数人の大名が密談をすれば、立ち聞きされる心配がない。
 斉彬ははやくから独特な日本国防論をもち、九州の諸藩は遠く南洋、安南地方をさえヨーロッパの侵略をふせがねばならぬ、と言っていた。

 大隈は『葉隠』に反発する青年だった。この反発が形成させたのが、早稲田大学なのだ(pp.280-1)。
 鍋島閑叟は長崎で密貿易して巨利を博したとおもわれるが、いかなる書類も残さず、形跡ものこさなかった。 鍋島閑叟も、葉隠はくだらないと思っていた。

 長崎警備の負担があるかわりに、鍋島家と黒田家は江戸に100日だけ滞在すればいいことになっていた。火消しや普請も免除されていた。
 肥前藩は、薩摩以上の領国閉鎖主義で、人の出入りはもちろん、他藩士との交流も原則として禁じた。
 藩ということばは、江戸時代の中期以降に用いられる。

 巻末解説。徳富蘇峰の空白を埋めてくれたのが司馬遼太郎だった。当時の日本の史学者たちはしょうもない仕事をしていた。

▼ダンテ著、山内丙三郎tr.『神曲』上1952、中1953、下1958 イワブン
 汝らここに入るもの、一切の望みを捨てよ。 第三曲。

 犬のように吠える三つ首の獣、チェルベロ。第六曲。 ※ケルベロス。
 かなたこなたに角ある鬼の大なる鞭を持つありて…… 第18曲。

 たとへば冬の日ヴェネーツィア人の船廠[アルセナ]に、すこやかならぬ船を塗り替へんとて、ねばき脂を煮るごとく 第21曲。

 「マオメットの斬りくだかれしさまをみよ。頤より額髪まで顔を斬られて嘆きつゝ我にさきだちゆくはアーリなり」「こゝにみる者はみな生ける時不和分離の種を蒔けるものなり」 第28曲。

 人凶夢を見て夢に夢ならんことをねがひ、すでに然るを然らざるごとく切に求むることあり 第30曲。

 上巻の訳者註。暗殺者の刑罰は、逆さにして穴に入れて上から土塊を投じる。しかし罪人が懺悔を叫んでいる間は刑吏は土塊を投じない。

 リウィウスによると、カンナエの勝利後、カルタゴ兵がローマ兵の死体から金の指輪を集めたら、驚くべき数量になったと。

 フリジア人=北オランダ人。巨人として認識されていた。

 以下、中巻。
 凡例。原文では、聖ピエートロが、ときにピエルとかピエロに変わってしまう。

 ひとつの幸いをわかつ。それを享ける者が多いと、かえって、所得は多くなる。 第15曲。
 キリスト教徒=クリスティアーノ。

 訳注。地獄では亡者は昼間でも影がない。もちろん呼吸していない。地獄にも夜があって、夜は生者も影がなくなる。

 訳注。ダンテの考えでは、善悪の行為はすべて愛から発する。愛が正しくないとときに、悪業を生む。

 訳注。いにしえの史家の記事。ペルシャ王キュロスを破ったマッサガテの女王トミリスは、キュロスの屍から首を切り離し、血で満たされた皮嚢にその首を入れ、「血に渇ける者よ今血に飽け」と言ったと。

 訳注。クラッススがパルチア人に殺されたとき、パルチア王オロデスがクラッススの首級をもとめ、鎔かした黄金を口に注ぎ込んだ。汝常に黄金に渇きゐたれば今こそこれを飲め、と。

 訳注。地下に隠れている「渇ける気」が動くことで地震が発生すると、古代人は思っていた。

 古註。マルティヌス4世は食い道楽の人で、ポルセーナ産の鰻を好み、まずヴェルナッチャ酒=味醂 に酔わせてから焼いて喰っていたと。

 訳注。想像動物グリフォンは、キリストを代表する。

 以下、下巻。
 訳注。桂は詩人の栄冠なり。ベアトリーチェは、人の魂が星に帰るなんてことはないと言い、意志の自由を説く。プラトンが、人の魂は星から出て肉体に宿り、死とともにまた星に帰ると言った。

 ダンテはトマス・アクィナスの『神学大全』から大影響を受けた。
 聖フランチェスコはアッシジ僧正の前で父の財産を継がないと誓言し、死ぬときにも衣を脱して地上に臥し、清貧の見本となった。

 アリストテレスは、銀河は肉眼で判別できないほど小さい無数の恒星だと言った。
 金銀真珠の類でこしらえた頭飾を corona といった。

 1300年のフィレンツェの人口は7万人で、そのうち武器を執ることが可能だったのは3万人。
 vaio は、栗鼠族の動物の名。

 中古、敵軍の旗を奪ったとき、その竿をさかさまにして引廻して侮蔑。
 Mの字は、百合の標章の代用であった。

 ダンテの罪の分類はアリストテレスに基づく。すなわち、無節操、獣欲、悪意。

 『神曲』の最初の題は ラ・コムメディア だった。後世、その頭にディヴィアナ(神聖)がつけられた。
 最初の出版は1472年だった。

 ヴォルテールは、この作品は誰にも読まれないで賞賛されるから、いつまでも亡びない、とくさした。

 1289-6、ダンテはカンパルデイーノの戦いにフィレンツェ騎兵として加わる。
 1320-1、ヴェローナで『水陸論』論争。

 ※ダンテの神曲がイタリア人のためだけに書かれているように、クラウゼヴィッツの戦争論はプロイセン人のためだけに書かれた。

▼石破茂『国防』H23 新潮文庫
 ※単行本は平成17年1月。

 本書を書き上げたのは2005年。
 市谷本村町は「ほんむら」と読む。

 1957うまれだが、10歳になる前、『おそ松くん』のなかに、いつもと異なる反戦調の回があった。いつもの登場人物たちが、みんな、死んでしまう話。

 中1のとき、M41うまれの父親(すでに鳥取県知事)が、吉村昭著の『零式戦闘機』を買ってくれた。牛車で飛行機を運ぶ場面から始まる。ひと晩で読んでしまった。
 すると次に、吉村著の『戦艦武蔵』も買ってくれた。棕櫚がなくなるところから話を始める。吉村は冒頭が効果的だ。

 あるとき父いわく。「なんの義理もないのに投票所に行き、『石破二朗』と書いてくれる人が二十何万人いるのが、どれほど大変なことか分かるか」と。

 24歳のときに父(参議院議員)が他界。その1周忌のあと、角栄に呼ばれて「君が出るんだ」と迫られた。衆議院でひとり辞めるので、その後にと。25歳の会社員(銀行員)だったが、その気になった。
 選挙区には、米子の陸自駐屯地、境港の空自基地があったが、別の代議士の地盤のため、あまり関係がなかった。

 1993に宮澤喜一の不信任に賛成して自民党を離党。新進党に入り、野党を経験した。
 責任政党でなかったので、安全保障論議がたっぷりできた。
 当時の小沢一郎は「国連中心」。だが石破はそれは違うと思った。
 新進党は、集団的自衛権も認めないという。それを選挙公約にするという。それで離党を決意した。

 国会議員は特権として、国会図書館ですぐに本を出してもらえるし、閲覧だけでなく借りることもできる(p.104)。
 選挙運動では、1日に600軒歩いたこともある。

 防衛庁長官になっても、それまでと同じように、議員宿舎で生活する。
 しかし、衆議院の議員会館へは、月に一、二回しか寄らなくなった。一代議士のときは議員会館の部屋が活動のベースで、そこに、役所から官僚がやってきて、レクをしてくれたり、相談をする。それが来客の6割、あとの3割が地元の人、1割がマスコミだった。

 党の部会が朝8時から10時まで永田町である。その迎えの車は7時40分に来る。
 国会期間中であれば、その後、理事会、委員会に顔を出し、昼食後にまた委員会。

 一代議士のときは朝5時50分に起きていたのが、長官になってからは4時40分。
 国会の会期中は、朝7時から答弁の打ち合わせ。場所は、国会内の防衛庁の政府控え室。
 質問は、10時から始まる。委員会が終わるのは午後5時。

 答弁が間違ってもあとで訂正してすむ省庁もある。しかし防衛庁は、ひとことの間違いが政府をひっくり返しかねない。

 閣議は火曜と緊要。
 庁内の定期会議は、月曜の朝が定例幹部会。そこで、情報本部長から、前の1週間のできごとをブリーフィングされる。三幕からも報告がある。事務次官以下の事務方からも。

 夜間は、局長を起こす事態か、長官を起こす事態か、あらかじめ決められている。
 長官になると、自宅に電話回線が複数、増設される。選挙区の自宅も、議員宿舎も、回線が増やされる。

 長官室には6つの世界時計があり、ゴラン高原などの現地時間がわかる。
 その脇に、登庁ランプ。幹部の誰がビル内にまだ残っているのかがわかる。

 ふつうの省庁では、課長の手柄は、法案をつくって実現したかどうか。ところが防衛庁では、役人が法案にかかわらないことがよしとされる。冷戦時代の古株役人はどうしようもなかった。
 法案概要→法律案要項→法律案→想定問答。これがセット。

 フランスは2001に徴兵制をやめたが、かわりに、18歳以上の男女に、1日入営体験を義務付けた。国軍の説明や、シビルディフェンスの心得を教えられる。それに行かないと高校卒業証明は与えられないし、運転免許も与えられない。

 国産兵器はだいたい、米国製品の7割から8割増し、つまり2倍近い価格だと思っていれば間違いない(p.217)。
 別表を含めた大綱は閣議決定されるので、財務省から、とやかく言われずに調達ができる。

 国防省の中を記者が自由に出入りしているような国は日本だけ(p.237)。
 洋上での並走給油作業は、6時間もかかる。

 国会の常任委員会の委員長と大臣の待遇格差がありすぎるため、政治家は大臣になってナンボという意識が育つ。米国では委員長が重く見られ、立てられている。
 石破は2004-9に長官リザイン。

 長官は夜行列車に乗ってはいけないというきまりあり。事故で立ち往生したとき、山奥から東京に出てこられなくなるので。
 陸自の大型輸送ヘリを格納できない大型輸送艦はおかしい、という見識あり(pp.300-1)。

▼鈴木貴博『戦略思考トレーニング 経済クイズ王』2015-10 日経文庫
 ソニーのエレクトロニクス事業の現在の稼ぎ頭の筆頭は、画像センサーを抱えるデバイス部門。シェアが世界の4割。スマホにも搭載されている。

 イーロン・マスクの考え方。ひとつの専門性を身につけるには1万時間、それに携わることが必要だ。それは普通の働き方だと5年を意味する。しかしイーロンのように年間5000時間、スーパーハードに働けば、2年で1万時間に到達してしまえる。

 1945に男女普選がはじまるとき、全人口に占める20歳以上の人の比率は48%だった。終戦直後には、未成年者の方が、多かったのだ。

 日本を訪れた外国人が宿泊や飲食で使ったお金の合計を「受け取り」という。2014年度は2兆2344億円。人数は1467万人だから、ひとりあたり15万円落としてくれたことになる。

 1960年代に米コンサルティンググループが発見した「経験曲線効果」(ラーニングカーブ)。
 累積生産量が倍になるたびに生産コストは7割に下がる。累積生産量が4倍になったときには、生産コストは初期の半分になっている。
 じっさい、半導体でもシェール採掘でも、累積生産量が増えるにともない、生産コストは劇的に低下している。
 だからOPECの思惑とは反対に、産油市場でのアメリカの地位はさらに強くなるだろう。

 インドのネックは細かい法規制と、不安定なインフラ。

 ヨーロッパのメーカーからみて、北海道や日本海側の都市にモノを輸送するなら、横浜港ではなく、韓国の釜山港を通した方が、安上がりとなったのが、1990年代。
 理由は、日本の港湾物流設備が時代遅れなので。

 米企業にとって、カナダとメキシコが、海外売り上げの8割を占めるから、欧州その他は軽視される。

 70歳以上の人は年金を受け取っている。年金受給者に対する優遇策があるため、おなじ収入でも手取りがはるかに巨額になる。老若格差として問題視されるようになった。

 ダウ平均に投資すれば長期的に必ず儲かる。採用銘柄は定期的に入れ替えられているので。

 パレートの法則。2割の商品が、8割の利益をもたらす。この2割の商品に集中するかどうかの決断を、経営者は迫られる。

▼原田[はらだ]実『もののけの正体』2010-8 新潮新書
 鬼の初出は『出雲国風土記』。ひとつ目で、山田の農夫を食った。
 曲亭馬琴は、『燕石雑誌』という薀蓄本の中で、むかしの人は、北東=丑寅 の連想から、牛頭+虎胴体=鬼 とイメージしたと説いた。

 大衆文学が鬼の共通イメージを広めた代表格は、享保14年の『渋川版御伽文庫』23編。この中に一寸法師その他が採録されている。鬼は 上半身裸+角。

 延宝から元禄にかけて草双紙が『桃太郎』を絵入りで普及させた。
 鬼の角や顔相は、むしろ龍からの派生だろう(p.24)。

 若尾五雄の説。鉱山のあるところに鬼伝承あり。坑夫が鬼のように思われていた。
 平田篤胤は天狗の実在を探求し続けた。

 河童伝説は九州に濃厚。
 カッパの呼称は江戸中期に普及。
 水死者は肛門が開いている。カッパに尻子玉を抜かれたからだと人々は考えた。

 幕府の公許なく橋を修繕した場合、それをカッパの仕業としておくのが便利だった。だからカッパ橋という地名が複数ある。

 古代シナではヤマネコのことを狸と書いた。
 五行説では丙も午も火気。

 常陸国の谷田部村の名主が、からくり仕掛けの発明に凝り、酒屋まで往復して買い物してくれる人形を作った。

 天明8年に出版された黄表紙には、蝦夷の具足は昆布でできていることになっていた。そのヒントは『三国志演義』の「藤甲」だろう(pp.207-8)。