短い滑走路は、逆に敵にとって対抗不能な、こちらの資産になる。

 南西諸島に20箇所ある民航用の滑走路は、その18箇所までが、スホイ戦闘機が利用するには短かすぎるがゆえに、こちらにとっての好都合な資産になる。

 いま、スーパーホーネットをスキージャンプ台から発進させる実験が、米国メーカーによってなされている。これはインドの空母にF/A-18を運用させようという企画の一環だ。着艦はアレスティング装置による。

 陸上の滑走路にスキージャンプ台を設けても、敵の空襲に脆弱性を進呈するだけだが、離陸アシスト用のロケットを使い捨てるようにするならば、2000m未満の短い滑走路から、味方の戦闘機が発進するに何の不都合もない。もちろん着陸には拘束ワイヤーを用いる。海兵隊の航空隊はどの陸上滑走路にもこの装置を持ち込んでいる。

 少数の長い滑走路は、敵のSSMハラスメント攻撃によって有事には使えなくされる。短い多数の滑走路を活用する方法を考えるのが、だから、もっかの合理的な戦策なのだ。
 港湾施設も同様で、少数の良港は機雷によって使えなくされる。大型の輸送艦を少数整備するのではなく、戦中の「PTボート」タイプの浅吃水の高速機動艇を多数展開するのが、南西諸島の国防を磐石化するだろう。

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 Paul McLeary 記者による2020-8-20記事「Japan’s Reset Raises Questions Over Big Programs」。
       日本はブロック30の「RQ-4 グローバルホーク」の調達を止めたが、韓国はブロック30の4機調達を続行する。1号機は4月に納品されている。

  ※まさにそれが、日本が手を引いた理由なのかもしれない。韓国から情報が中共へ渡らぬよう、メーカーは、ブロック30に特殊「変造」を付加工事しているところなのだろう。台湾向けの「Tモデル」のように、もし中共やロシアに機体ごと亡命されても不都合のないものとなってしまっている可能性がある。運用じたいにも米国の縛りが強くかかっているのだろう。そして、それと同じブロック30が、その運用スタイルとコミで、日本にもやってきそうな雲行きとなった。日本にとっては有害無益に尽きる「機体共通化」。もはや迷惑案件でしかないので、断ることにしたのかも……。

 豪州は6機の「MQ-4C トライトン」(グロホの哨戒機バージョン)を2023年から調達開始する予定だ。

 ※防衛省の世界が読めない内局職員が、国内原発監視の役にしか立たぬブロック30ではなくて、トライトンを調達するという正しい決断を最初から下していたのなら、事態はいささか違っていたであろう。それでP-1との相補的運用になり、尖閣海域を中心とした常続ミッションと省人化を両立できたはずだ。

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 ストラテジーペイジの2020-8-22記事。
    セルビアが中共からFK-3 地対空ミサイルを買った。欧州諸国の中では初の顧客。
 このSAM は「紅旗22」の輸出バージョンである。紅旗22は、「紅旗12」のアップグレードである。その 紅旗12は、中共がライセンス生産していたソ連製の「SA-2」を1980年代に独自に改良したものである。

 エジプトとイランも「SA-2」のコピーを国内で生産している。

 ロシアの方では、「SA-2」をアップグレードして「S-75」や「S-200」を完成した。1980年代にはそれが「S-300」に進化した。

 FK-3は、カタログデータ上では、水平射程170km、射高2万7000mと印象的だが、シリアで「S-300」をやっつけているイスラエル空軍に言わせると、実戦投入されていないSAMにはバイヤーは期待しない方がいい。

 FK-3 には、半径300kmまで捜索できるAESAレーダーと、連装式の発射台車4両、予備ミサイル24基などが附属する。

 中共は2019にセルビアに「翼竜」無人機を9機売った。ロシアはこのプレデターもどきの同格機を提供できない。中共はさらに15機を追加で買わせるかもしれない。

 ※深田萌絵氏がいぜんから警鐘を鳴らしているところによれば、台湾海軍と中共海軍はツーカーである。ということは台湾製のハイテク機雷の技術は、とっくに中共へも流出しているだろう。大型の揚陸艦や輸送艦は「良港」に縛られるがゆえに、ゲリラ的に散布された機雷によってかんたんに動きを止められてしまうリスクが大きい。旧陸軍の「船舶工兵」の発想が必要である。陸自が陸自の予算で「マークV」のような小型高速艇を保有し、沿岸駐屯地から直接に、海自の力を借りないで南西諸島へすぐに機動集中できるようにするのが、最善の抑止になるだろう。そのエアカバーも、陸自固有のスーパーツカノが分担できる。1945年、米軍が慶良間までやってきたというのに、車輪荷重の大きすぎる陸軍機がまったく沖縄本島へ移動集中することができなかった、旧軍の愚か過ぎる不明を、防衛省は、再現してはならない。