北太平洋には大きく時計回りの海流があって、ベーリング海付近では東流している。そのまま行くとカリフォルニア州に漂着するコース。
戦略級レンジの核魚雷なんぞというものを宣伝している国なら、戦略級寿命の漂流核機雷も宣伝するだろう。
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ストラテジーペイジの2020-9-7記事。
インドと中共軍が揉めた場所、パンゴン湖の標高は4250mある。
インド空軍はそこに、22機保有しているアパッチE型ではなく、国産のLCH軽戦闘ヘリを送り込んだ。インド空軍に言わせると、LCHの実用作戦高度は6500mで、アパッチE型の6100mを上回るという。
しかしアパッチは、パンゴン湖と同標高のアフガニスタンで活躍した実績がある。
2020年に最初の2機を調達開始したばかりのLCHとは、蓄積されているものが違う。
LCHからはレーザー誘導ミサイルも運用できない。
インドでは戦闘ヘリを空軍と陸軍の両方で保有する。互いに運用主権を争っている。
アパッチは、まだインド陸軍は手に入れていないが、6機が発注されている。両軍あわせて72機のE型を取得する計画がある。
またインド空軍としてはLCHも62機揃えたい。陸軍はLCHを97機発注する気だ。
当初のもくろみでは2012年にはインド空軍は65機のLCHを手にしているはずだった。しかし開発がうまく行かず、量産に移行したのが2020にずれこんだ。
LCHは自重5.7トンのガンシップ。滞空5時間可能。上昇限度は5500m。
コンセプトとしてはAH-1の双発型に類似する。2人乗りである。固定武装は20mmカノン。
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ストラテジーペイジの2020-9-7記事。
1939年において、ベネズエラは、米国、ソ連に次ぐ、世界第三位の産油国であった。
ただ、油質は悪かった。タール分が多くて、精油コストの割に、売れなかった。
つまり1バレル輸出あたりの儲けは、比較的に、少額だった。
油田は1970年代まで国有化されなかった。その前もその後も、ベネズエラは石油利権を中心に腐敗した国である。
いま人口は2400万人。一貫して石油収入があり、確認埋蔵量も膨大なのに、ほとんどがギリギリの貧乏暮らしだ。
マデューロ大統領は、この国を出て行きたい者は自由に出て行け、という政策。ただし、戻ってくるときは厳しい審査を課す。
ベネズエラの産油量は1999がピークだった。350万バレル/日。
その年、社会主義政権が樹った。
2015には、生産は265万4000バレル/日に落ちていた。
2018には、さらに160万バレル/日に落ちてしまった。
ベネズエラのGDPの四分の一は石油から来る。
1999のGDPは980億ドルだった。
GDPのピークは2008だった。
それが2019年には700億ドルに低下。2020にはさらに15%落ち、2021にはさらに5%落ちると見込まれている。
ベネズエラはその体制維持のためにキューバの力を全面的に借りた。代価としてベネズエラはキューバのGDPの2割にも達するカネや石油を与えていたが、2015にそのカネが尽きた。
※英国は帆船時代には風に恵まれていた。いつでもテムズ川河口から安全快適に出帆できた。材木だけが足りなかった。蒸気動力時代には石炭にも恵まれていた。質も量も最高だった。それを輸入する必要などなかった。しかし石油時代に入って、事情が一変した。英国がロシア内戦に干渉したのはコーカサス油田が念頭にあったからだ。それにマッキンダー本人が参加しているのだが、彼は《石油の地政学》については一言も語らなかった。意図的に秘したのだ。後発の日本は、英国人が隠しているものを解明する必要があった。しかしその眼力のある者が戦前には一人もいなかった。ドイツ系の地政学者は薄々感づいたが、彼らの《アウタルキー》は石油の前に食糧の心配をする必要が大きすぎた。今、中共は、カネの力でベネズエラをいくらでも操縦できるように見えるが、その油田を確保したとして、米国が《制裁》を課したなら、そこからどうやってはるばるタンカーで石油を運んで来ることができるのだ? これが、石油時代の地政学のおそろしいところなのだ。
「地政学」は殺傷力のある武器である。〈新装版〉 ニュー・クラシック・ライブラリー