またタイムリーな出版物を読むことができた。

 鈴木傾城氏著『ボトム・オブ・ジャパン 日本のどん底』2020-7 集広舎pub. を、感銘とともに読了した。
 わたしたち日本国の住人が、避けられない偶然や、やむをえない必然、はたまた気まぐれなどから、住居のグレードを逐次に下げていけば、そこにはどんな世界が待っているのか、都市部での生々しいリポートをまじえて、じつに分かりやすく教えてくれる。

 ここ半年ばかり引きこもっていたにも等しい小生、居ながらにして、最新の日本社会の擬似体験をすることができました。ありがとう鈴木氏。

 世の中を良くしたいと思っている人士は、まず世の中がどのくらい悪くなっているのかを知らねばなりますまい。この1冊は、その手頃な役割を果たすだろうと信じられました。たくさんの情報を集めたうえで、それを1日で読める分量に整理してあるのも、適宜だ。

 ところで、この場を借りまして、小生の転居先にわざわざ「引越し祝い」をご恵送くださいました皆様方に、篤く御礼を申し上げたいと思います。
 おかげさまで、次の冬の光熱費はずいぶん節約できるだろうという見通しは立っております。

 『日本のどん底』の中では、《グレードダウン転居》の推奨はなされていないようですけれども、いちはやく思い立って実行した者としまして、これはオススメです。
 そのさい、転居先選びの着眼点のひとつとしまして、《ガレージを物置にできる余裕はどのくらいあるか》は、部屋の広狭以上に大きな意味があると、偶然にも、知ることができました。これが広ければ、万事に余裕が生まれるのです。

 もちろん、これまで自家用車を2台もっていた世帯ならば、1台は手放すことを検討すべきでしょう。ぐずぐずしてないで。
 中古車が高く売れる今のうちに、こうした決断をするべきではないですか? なぜって、真の大恐慌がやってきてしまえば、もはや中古車の買取り価格だって暴落してしまうかもしれないからです。理想的には、ファミリーカーの機能を、中古の軽自動車1台のみに、集約・整理してしまうことでしょう。

 ……と書いているうちに、T市のかのよしのり先生から、最新刊の『大切な人を守るサバイバルの技術』(SBクリエイティブ株式会社)と、サツマイモが届いたよ。かの先生、さっそく拝読させていただきます!

 地方都市郊外の土地付き住宅の魅力は、やはり自家耕作ができることですね。関東以西では、冬の凍死の心配もしなくていいから、ほんとうにうらやましい。
 全国の田舎の休耕地や荒蕪地をうまく使えば、都市貧民を大量救済できるかもしれないことにつきましては、2013年刊の『兵頭二十八の農業安保論』(草思社)でひとくさりご提案をしました。あれは、今でも有効だと思っています。あのとき提案した「100万円持ち家」が、いまだに実現できないというわが国の技術と法制の停滞が、わたしにはショックでならないのです。



ボトム・オブ・ジャパン 日本のどん底



大切な人を守るサバイバルの技術 身近なものを徹底活用して生き延びる (SBビジュアル新書)



兵頭二十八の農業安保論