インド移民がじつはロシア政府のスパイだったというノルウェーでの事例。これから増えるだろう。

 The Economist の記者による2020-9-12記事「Tanks have rarely been more vulnerable」。
   シンクタンクのIISSによれば、全欧に戦車は5000両以上あり、全世界では5万4000両あるという。
 ことし2月、トルコ国産の固定翼ドローンがシリアにおいて、わずか2日のあいだに数十両のロシア製戦車を空対地ミサイルを放って撃破してしまった事件が、斯界に重く受け止められた。

 3月に米海兵隊は、対支作戦を睨んで、戦車を廃止する方向を打ち出した。それに続いてこんどは英陸軍が、戦車を捨てると言い出している。

 じつは先進国軍として最も早く戦車を見限ったのはオランダ軍で、今から10年も前だった。しかし現在オランダは、ドイツから戦車18両をリースで借りている。

 全周から飛来する対戦車ミサイルを戦車の側から迎撃して叩き落そうというシステムもあるが、コスパの面で歩が悪い。イスラエルの「トロフィー」システムは、連続2回この迎撃機能を発動するとタマ切れになる。3発目のATGMが飛来したら、アウトなのだ。

 ※陸自にまだ「対戦車隊」があるのかどうか知らないが、対戦車隊こそがまず「攻撃型ドローン」を装備して運用するべきだ。それがとても有効であることは実証されているのだから。先年、米国の演習場に遠征して、偽装などまったく役に立たないことを確認した7師団も、もう戦車の時代じゃなくなったことに同意するんじゃないかな。しかし一足飛びに、トルコ軍レベルの能力は持てまいと思われるので、まずテーザー式・マルチコプター型のドローンを、長距離対舟艇ミサイルのセンサー・プラットフォームとして導入するところから、始めるといいのでは……?

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 Andrew Knighton 記者による2017-6-21記事「The First Tank Attack: The Battle Of The Somme」。
     第一次世界大戦における戦車のデビュー戦は、1916-9-13のソンムであった。
 英国が発明した菱形戦車は、重心が低いのはよいのだが、全体が28トンもあったのに、エンジンはたったの105馬力。不整地では時速1.5マイルしか出せないのだった。燃費は、その1.5マイルを進むために、ガソリン1ガロンを燃やす必要があった。

 耐弾装甲もまだ研究が未熟で、機関銃で撃たれると、鋼鈑の内側表面が剥離し、銃弾から受け取った運動エネルギーをもらって車内を跳ね回った。

 最初の戦車兵たちは、革のヘルメットとゴーグル、そして鎖編みの垂れ布で首から上を保護していた。

 敵歩兵による手榴弾攻撃を用心して、最初の菱形戦車の天板部には、六角メッシュの金網が張ってあった。しかしすぐに、それは無用であるとわかる。

 ステアリングは、片側の履帯にブレーキをかけることによっていた。そのため、両サイドに1人づつ、ブレーキ係を置き、それを車長が統制した。

 直協する砲兵射撃は、戦車の前進予定コース上には、終始、1発の砲弾も落とさぬように気をつけた。というのは、砲弾がほじくりかえした湿った地面は、真の底なし沼のような状態となり、無限軌道であってもスタックするであろうことは、常識的に予見できたのだ。

 ソンムでは、英第41師団は、7両の菱形戦車に続行して攻撃前進を開始したが、あまりに面白くなってしまい、味方の戦車を超越して、先にドイツ軍の塹壕線まで達してしまったという。

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  Chris Baraniuk 記者による2020-9-14記事「Did a Solar Ejection Hinder the Titanic?」。
       1500人が溺死した『タイタニック』号遭難事故は1912-4に起きた。
 このときじつは太陽嵐が吹いていて、北大西洋のある場所ではオーロラが目視できたという。
 その影響で、船舶のコンパスはわずかに狂わされており、無線は通じなくなっていた。しかしクルーはそれを認知できなかった。それが事故を避けがたくしたのではないかとの仮説が『ウェザー』誌に寄稿された。

 付近を航海していた『カルパチア』号は、SOS無線を聴き、漂流者705人を救出できている。
 だが『ラ・プロヴァンス』号は、この救助信号を受信できていない。他の船舶無線は受信できていたのに。
 かたや『モンタンプル』号は、『タイタニック』からのSOSを受信して返信した。しかし『タイタニック』号の側では、『モンタンプル』からのその返信を受信し得ていない。

 『タイタニック』号事件研究の第一人者を自負するティム・マーティンは、この新仮説にはご不満のようだ。事実、タイタニックの沈没地点は、まさしく、タイタニックの計画針路上である。コースは狂ってなどいかった。

 すくなくも生存者のうち3名は、オーロラを見たと言っている。

 ちなみに、記録されている過去最大級の太陽磁気嵐は1859年。キューバでもオーロラが見えた。当時の有線電信機材からは火花が飛んだという。「キャリントン・イベント」と呼ばれる。こんな磁気嵐が今、やってきたなら、現代世界はたいへんな混乱に見舞われるだろうことは間違いない。

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 Diane Peters 記者による2020-9-15記事「The Scramble to Defuse the ‘Feral Swine Bomb’」。
     フェラル豚とは、家畜だったのが脱走し、すっかり野生化しハイブリッド化が進んだ、たくましすぎる豚たちのことで、特に北米大陸では、この野ブタが おびただしい数に増えている。

 フェラルスワインは自然に身を隠すのが巧みで、簡単にハントできない。
 大群で行動しており、もし1頭がライフルの銃弾を受ければ、音声の警告が伝えられて、他のブタは皆逃げ散る。嗅覚はおそろしく鋭敏で、智能も高いゆえに、とてもハンターが一網打尽になどできない。

 合衆国内だけでも900万頭もいるのではないかと試算されている。生息域は30年前は17州だったが、いまは38州にまたがる。
 カナダ領については統計がないものの、すでに広範に棲息しており、さらに拡散し北上するのは時間の問題にすぎないという。

 豚は多産だ。飼育状態では牝ブタは年中妊娠し、年に10匹以上の仔豚を産む。順調なら、倍倍ゲームで増えていく。米農務省の担当者はこの問題を「フェラルスワイン爆発」と表現する。

 これら21世紀型の北米野ブタには、古代の欧州のワイルドボア=大型野猪の遺伝子も、もともと入っている。それが自然界でどんどんミックスされ、今や「スーパー野ブタ」が爆誕しつつあるのだ。

 家畜のブタのサイズは、農家が肥育を制御しているからアレで収まっているわけで、野生ブタにはそんなリミットはない。古代のワイルドボアのように信じられないほどに巨大化することは可能だ。厳しい冬を乗り切るためには、巨体の方が有利。フェラル豚は、このコースを辿るだろう。

 この豚軍団、農家の畑を荒らし、仔牛や仔羊を襲って喰らい、さらには妊娠中の母牛や母羊すらも襲撃するという。野生生物や自然生態には当然、インパクトを与えている。
 アフリカ豚熱が北米に急に広まったのも、野生豚が媒介したのではないかと疑われている。

 ※巨人や火星人が人間を襲って食べてしまうといったSF設定よりも、新世代の巨大豚の大軍が人類と敵対し地球を支配しようとする可能性の方が高いのか? 雑食だしな……。

 テキサス州には野ブタが150万頭。これを駆除するため州政府は毎年400万ドルも支出している。だが、頭数が減っていない。
 1匹の野豚の平均行動域は、30平方マイルである。
 ハンターの圧力が加わると、彼らは夜行化して対抗する。

 フロリダ州、ジョージア州、カリフォルニア州も多い。
 モンタナ州にはまだフェラル豚が侵略できていない。州政府は、州民への啓蒙活動を通じて水際撃退の体制を準備している。
 2013年にモンタナ州のハンターがテキサスからフェラル豚をわざわざもちこんで、野生ゲームとして増やそうとした。州政府はこれをすべて殺処分せしめ、2015年に、フェラル豚猟を違法化し、州内でフェラル豚を所有したり移動させた者には最大1万ドルの罰金を課せるようにした。



日韓戦争を自衛隊はどう戦うか