アフガン撤兵スケジュールが前倒しされる。選挙向けに。

 Jacob Parakilas 記者による2020-10-7記事「Tanks vs. Drones Isn’t Rock, Paper, Scissors」。
     ナゴルノカラバフでアルメニア軍の戦車狩りに大活躍しているトルコ「バイラクター」社製の固定翼「TB2」無人機。なんで、非ステルスでしかも低速・低空飛行をしているのに、ロシア供与のAAによっては撃墜されないのだろうか?
 それは、有人機よりも小型で、エンジン音も小さいからである。

 そしてまた、2016年からアゼル軍がナゴルノカラバフ紛争に投入しているイスラエル「IAI」社製の自爆ドローン「ハロップ」が、SAM陣地や自走レーダー車両と刺し違えるスペシャリストで、これが第一波としてSEADを担任するので、どうもAnti-Air側に歩が悪いのだ。

 固定翼ドローン部隊がまず敵のSAMを制圧してしまうのが第一段階。それが済むと、次の段階として、TB2による、敵の戦車狩りが始まるわけである。

 ※有人機のSEADと同じことをドローンもするようになった。このまま日本の自衛隊は、世界から何周遅れてしまうのでせうね?

 戦車は上面を合理的に防禦することが難しい。上方を警戒するようになっていないし、上面装甲を分厚くしすぎるとその重量増のために機動力と航続力がなくなってしまい、輸送や補給にもさしつかえる。
 TB2のようなASM運用型ドローンが上空を支配するようになったら、敵陣営の戦車にできることは、トンネルにでも匿れることだけだ。

 かつて、第三次中東戦争から以降のしばらくの時期、対戦車誘導ミサイルを運用する小型で敏捷な装甲車があれば、陸軍に戦車など不要なのではないかと想像されたこともあったが、けっして、そのようにはならなかった。なぜか?
 ATGMは高額で、それを操作するには専門的な訓練を積んだ兵隊が不可欠だった。しかも、軽量な装甲車は、もし敵戦車の砲弾によって先に撃たれてしまったら、イチコロ。ミサイルオペレーターが下車すれば、こんどは敵の砲兵や、歩兵重火器によって火制されてしまう。装甲車も、浸透してきた敵歩兵のRPGによってすら、撃破されてしまうので、オペレーターの楯になってくれない。
 有利な点と不利な点が、拮抗していたわけだ。
 有人の攻撃ヘリも同じだった。AHは、レーダーによって簡単に探知され、SAMにもAAGにも撃たれればめっぽう脆弱なのに、取得費も維持費もあまりに高額すぎた。

 ところが今の「対戦車ドローン」は違う。TB2には、有利な点しかないのである。

 ※この趨勢を阻止するものがあるとすれば、それはAAレーザーだ。なにもドローンを空中で発火させるにはおよばぬ。センサーを効かなくするだけでいいからである。その目的に十分なレベルのハードウェアはすでに市場に出回っている――という実態を知りたい人は、インターネットで中共の業者から通販で買える60000mw(=60ワットである!)レーザーポインター等につき、調べてみよ。購入者がUpしたユーチューブ動画もあり、なんと材木板に火をつけることができるようだ。10ワット級やそれ以下の市販品でも、光束は10km以上も届くので、対「TB2」妨害用にはとうに威力は十分だと考えられる。残る問題は、上空ドローンを電子的/光学的に捜索・探知し、トラッキングし、精密に照準してやる技術だけなのだ。これについては、有害鳥を葡萄畑から追い払うためのレーザー鳥脅しシステムが欧州で販売されているので、参考になるだろう。日本のメーカーもこの分野に貢献できるはずだ。それは街のゴミ置き場からカラスを駆逐する「無害レーザー」を使うRWS(無人砲塔)だ。近年の研究報告によれば、ある波長の赤色レーザーは、動物の目に有害であるどころか、その視力改善に役立つという。つまり失明させる危険はないので、低出力にするなら鳥獣関連の日本の法律には違反しなくなる。そして興味深いことに、鳥は低出力レーザーにも非常に敏感で、それを目に当てられた場合、いたたまれず、かならず逃げて行く。赤色の無害レーザーによるカラス駆逐は、合法的に可能と考えられるのだ。それも、街のまんなかで。この自動ロボット銃塔システム(RWS)を民間用にまず完成したメーカーは、その技術を、そっくり軍用に転用(装甲車の天蓋に後付け)できるだろう。街の零細工場が、一躍、世界的な軍需メーカーとして、大化けできるかもしれない。

 次。
 ストラテジーペイジの2020-10-9記事。
  2017年と18年の使用体験から、米軍は、JLTVの要改善点を把握した。
 それは四箇所あり、三点は視野関係。のこる一点は、騒音関係だった。

 まず、車両前面の低い位置、ほとんどタイヤのレベルに、前方監視カメラを1個、設けることにした。これにより操縦手は、足元に死角がなくなった。のみならず、前輪で、2本の細い線を正確に踏んでいくことも簡単にできるようになった。洗車レーンを通過するときに、大重宝している。

 HMMWVレベルの軍用車両でも、後方監視カメラ(バックカメラ)が普及しつつある。特に中共軍はこの普及速度において米軍の先を行くという。

 JLTVの後方ドアの窓は防弾を重視して前方ドアより面積が小さかった。しかしこれでは便乗兵によるIED監視がしにくくてならないというので、後方ドアの窓の面積が250%増しに。目視による車外監視は、生存上、装甲よりも重要なのだ。
 排気系のマフラーは、消音性の高いものにした。そうしないと排気音がうるさくて、車内で兵隊同士の交話もできなかったそうだ。



日韓戦争を自衛隊はどう戦うか