英語版のウィキペディアで「Edd China」さんについて読んでみた。
1971年うまれの彼は「ロンドン南岸大学」でエンジニアリング製品デザインを専攻した。
在学時代に「カジュアル・ロファ」という、自走するソファーを設計製作し、これがヒットして、ベリーズの投資銀行に資産を築くまでになった。
卒後はテレビ業界に入る。初仕事は1994年の「ファーザー・テッド」というコメディ番組のために特殊効果ガジェットをいろいろ提供する技師であった。
1998年に「トップ・ギア」に出演し、「カジュアル・ロファ」を運転してみせた。
同年中に3回、エドは「チャンネル4」の「ビッグ・ブレクファスト」に出演した。それぞれ、「カジュアル・ロファ」「ボグ・スタンダード」「ストリート・スリーパー」という彼の作品を運転してみせた。
また「スクラップヒープ・チャレンジ」(米国では「ジャンクヤード・ウォーズ」という番組名)にも2回、ゲスト出演。
1999年、チャイナはBBCの「パニック・メカニック」の専属デザイナーに迎えられた。
さらに「トップ・ギアー」の企画「しわい予算内でボンドカーを作れ」では、200ポンドで調達された中古の「ローヴァー800」に、費用100ポンドで、射出座席を組み付けてみせた。
2005年、チャイナはBBCの、子供向け料理番組にゲスト出演(彼自身には子供はいない)。また同年、マイク・ブルワーと共演で「オート・トレーダー」という、短命におわるテレビシリーズのホストを勤めた。このシリーズは「ディスカヴァリー・チャネル」で放映された。
2005年からディスカバリーチャネルが放映したミニシリーズの「クラシック・カー・クラブ」等にも彼は出演している。これは英国車だけが対象。
2003年、チャイナはディスカヴァリーによって、マイク・ブルワーとともに雇用される。
これが「ウィーラー・ディーラーズ」(日本のCSでは「名車再生! クラシックカー・ディーラーズ」という番組タイトル)の始まりであった。
このコンビは13シーズン続いた。2003年から2017年。
チャイナの脱退宣言は2017-3-21のユーチューブ・チャネル上であった。
別サイトによると、このときのメッセージはこんな感じ。
「ウィーラーディーラーズ」は世界の約220地域で放映されている。おそらく自動車番組としては世界最多の視聴者がいるだろう。
この番組をスタートさせたのは、英国の小さなニッチ・チャンネルだった。当初の番組スタッフは、「アタボーイTV」という番組制作会社の幹部2名と、1人の番組制作指揮者、1人のカメラ、1人の音響、そしてディーラー役のマイク・ブルワーとメカニック役の私(エドワード・チャイナ)だけ。つまりぜんぶで7人でやっていた。
番組が人気を得るにつれて、最終的にスタッフの数は45人以上に膨らんでいる。取り扱った自動車は135台だ。
※ここが重要。そこまで一人で分っているわけがないだろうというディープでワイドなノウハウが披瀝されるようになって行く。だが編集のテンポがよいので、それでも気持ちが好いのだが……。
シーズン12以降は米国の「ヴェロシティ・チャンネル」が放映権を握り、撮影本拠地はカリフォルニア州の「ディスカヴァリー・ステュディオ」に移った。
ヴェロシティの経営陣は、この番組で、いちばん手間時間=すなわち人件費が発生する部分、すなわち、ワークショップ内でエドが次々と修繕を加えて行く説明シーンを、削減しようと望んだ。私は、その方向で行くのなら、私(エド)抜きでやってもらえれば満足なので、チームから抜けることにした。
思えば2002年から私は「ウィーラーディーラーズ」にフルに関与してきた。こんなことができるだろうかというチャレンジと達成の連続。ローラーコースターの気分だった。
というわけでシーズン13をもって、私は消える。
しかし「ウィーラーディーラーズ」の制作は続行される。マイクと組む新顔のメカニックは、アント・アンステッド君になるようだ。応援してやって欲しい。
私はすでに別な番組で驥足をのばしている。ユーチューブでもいろいろ始めるよ。
――以上が、2017-3-21メッセージの抜粋。
ブルワーは、いやワークショップシーンを1秒たりとも縮めることなどないという打ち消し発言を発信したが、ブルワーのところへは番組ファンからの脅迫メールが殺到したそうである。
検証したファンがいる。「Was Edd China right? Have Wheeler Dealers reduced workshop time?」という記事が公開されているので抜粋しよう。
シーズン14の番組制作方針について、マイクとエドの、どっちが正確な発言をしたのか?
調べるため、まず、シーズン13までの、修理工場でエドが修理する様子を説明するシーンだけをストップウォッチで計測してみた。エピソード選択はランダムにした。
シーズン4のエピソード7では、17分4秒。シーズン7のエピソード2では、19分51秒。シーズン8のエピソード5では19分40秒。シーズン13のエピソード13では、25分32秒だった。
とうぜんこれしきのサンプルではラフな大づかみしかできないが、平均してエドの作業には番組のなかで19分から20分をあてていたのだとイメージできる(ただの会話シーンはカウントしていない)。
次に、メカニックがアント・アンステッドに変わった「シーズン14」から4回分のエピソード(ランダム抽出)について、同様に、修理シーンの尺を計測してみる。
エピソード1では、17分58秒、エピソード3では11分17秒、エピソード6では13分55秒、エピソード8では18分53秒、であった。
2つのエピソードは、メカニックの解説に18分から19分を割り当てているが、あとの2つはガックリと減っている。
平均して、「シーズン14」以降は、番組中のメカニック解説は5分くらい短縮されたと見ていい。
エドが語った通りになっているじゃないか――。
2018-5-1にユーチューブチャネルにて「エド・チャイナのガレージ・リヴァイヴァル」という新シリーズのパイロット回が公開された。これは、続いていないようである。
しかし「ウィーラー・ディーラーズ」を視たファンからの質問にユーチューブで答える彼の活動は続いている。
※完結したがために、奇跡の面白番組となった。つまりエドさんは良い潮時に身を退いたのだ。象徴的だったのが、電動モーター化したマセラッティ。いずれはガソリン・エンジンそのものへの風当たりも強くなるだろうと予見させた。あと、たった14年間のことなのに、再放送で見比べると、エド氏がどんどん老けて行くのが、哀しいんだよね。若々しいが頼れるメカニック、という外見とキャラのギャップがセクシーだったのに……。そんなことが気になる年齢になってしまいました……。
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