Joseph Trevithick 記者による2020-11-25記事「Oil Tanker In Red Sea Struck In Mine Attack With Similarities To Past Iranian Strikes」。
またしてもフーシによる吸着機雷(リムペットマイン)攻撃だ。サウジとイスラエルの国交正常化交渉が、イランにとっては相当の打撃で、焦っているらしい。
紅海のサウジ沿岸に近いところで、マルタ島船籍の原油タンカーがやられた。ただし例によって小被害。
吃水線上なので、普通の機雷じゃない。ボートで近寄って爆薬を貼り付けたのだ。
昨年はオマーン湾で日本のタンカーがこれにやられている。
今回の被害船は『MT Agrari』号。傭船していたのはギリシャの船会社の「TMS タンカーズ」社。
船はロッテルダム港から何かを運んできたというのだが積荷の詳細は不明。
サウジの「シュカイク」港(スチーム発電プラントあり)で何か卸す必要があって寄港した後だった。だから沿岸に近かった。 ※いったい原油タンカーが原油以外の何を運んでいたんだよ?
爆弾は喫水線より1m上で爆発した。炸裂時にはまだシュカイク港内だった。破孔はできているが、オイル漏れはない。
フーシはまだ犯行声明を出していない。
こんかいの現場辺り(紅海南部)で、フーシの爆破工作艇のマザーシップになっていると疑われる船は、貨物船の『M/V Saviz』である。サウジは、これをイランが操っていると看做している。
※トランプ氏は、娘夫婦(クシュナー氏はユダヤ系)を4年後の大統領選挙に擁立するため、じぶんの最後の仕事としてサウジとイスラエルの国交正常化に注力することにしたのかもしれない。実現すればレジェンドになる。サウジをゆさぶる手段としてまずUAEにF-35を売ったのだとしたらこれも妙手だ(日本にF-35を売れば韓国もそれ以上に必ず買わずには気がすまんというのとほぼ同じライバル関係なので)。だとするとイスラエル政府はあらかじめすべてを理解していて、表面的な演技として「UAEへの売却に反対する」と唱えたことになる。そういうこともあるだろう。一連の動きの背景には《もはやイランの核武装は止められない》という判断があるはず。関係者全員が、その認識に到達したのだ。サウジはイスラエルの核に頼ってイランと対抗するしかないと考えた。ということは、その前にビンサルマンは、《パキスタンの核は将来、頼りにできぬ》とも見極めたはず。その理由となった事情が知りたい。
次。
Sandra Erwin記者による2020-11-23記事「Germany to become the first foreign military buyer of U.S. jam-resistant GPS receivers」。
妨害されないGPSの最新版を「M-Code」という。まずドイツ軍が受信機を大量発注した模様。
現状、31機のGPS衛星のうち22機が「M-Code」を送信している。
※ドイツは、ナゴルノカラバフで大活躍したイスラエル製の「ハロプ」無人機を前々からライセンス生産している。それに、スプーフィングに強い「M-Code」を組み合わせたら、ロシア軍はタジタジとなるはずだ。あとはロシアが頼れるのは核だけとなってしまうが、イランが核武装すればそれも中和される。弱るのはロシアだけだ(米国は国内ガスだけで足りているので中東で核戦争が起きたところで困りはしない)。オホーツクでは駆逐艦『アドミラル・ヴィノグラドフ』が『ジョンマケイン』をラミング態勢で脅したそうだが、衰弱した蛸の必死の反撃といった風情か。
空母を持って自衛隊は何をするのか: 朝鮮半島危機後の安全保障を再考する (一般書)
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