「無音除雪機」が、日本の軽自動車メーカーのサバイバル・レーンとなるはず。

 北海道では、小特~大特の農機具を売っているショップで、エンジン付の小型除雪マシンも売られている。
 だがこいつは使い勝手が悪い。
 除雪が痛切に必要になるのは《早朝》である。その早朝に、動かすことができないためだ。
 近隣住民が「うるさい」と文句を言うんだそうである。だから、購入して持っていても、フル稼働させられない。
 それでは、買ってもお徳だとは思われない。買い手が限定されてしまう道理だ。

 一戸建てに暮らしている人や、広い駐車場を抱える雪国の人たちには、確実に需要があるのに、《早朝に使えない》というネックがあるがため、普及しないわけだ。

 昨日、ご紹介をした、カナダの電動 Mono-Track マシーン「MTT-136 / 154」。
 これの宣伝ビデオの中に、マシンの前端に《ミニ排雪板》をアタッチメントとして取り付けて、ミニドーザーのようにして除雪作業しているシーンがある。

 この流儀であれば、隣人の耳に騒音が届くこともなかろう。
 わたしはこの 電動 Mono-Track マシーン にこそ日本の軽自動車メーカーは着目するべきであると思う。

 手始めに、除雪マシーンとして売り出し、そこで技術を洗練してから、次の戦略として「小特」枠のコミューターカーに拡張ができるはずだ。被牽引トレーラーをキャビン構造にすればいいのだ。それでトータル200万円以内にできるはずだ。

 目先が利かず構想力の劣るわが政府が、東電に対してリーダーシップを発揮できず、全国の火力と原子力発電所をLNG発電所に転換して行く長期プランをフクイチ事故の直後に樹てられなかったせいで、とうとう、皺寄せのケツが自動車産業にもちこまれることになった。このままだと、軽自動車が主軸であるメーカーは、お先真っ暗である。

 だが電動モノトラックを《万能牽引車》とするなら、米国開拓時代の荷馬車が、電気で復活するようなもの。貧民にもそれは購入可能で、維持費も安い。もちろん最大速力は無理しても40km/時しか出せなくなる(小特の法定制限速度とは別)。だが、それでいいではないか?

 従来の「小特」マイクロヴィークルは、総重量の制約からくる構造上・機構上の弱さゆえに、どうしても交通事故に関する不安が払拭できなかった。
 だが、単履帯の装軌トラクター+トレーラーキャビンという構成であれば、スピードが出すぎることは絶対になく、ブレーキングは確実。うしろから見た姿は「Eバイク+キャンピングトレーラー」と大差がなく、これに追突してくるようなキチガイ自動車は、オートバイやリヤカーにもぶつかる奴だろうから、別な手段で社会から排除するのが合理的な筋になるだろう。

 電動軽自動車に高速道路を走らせようなんて思うから、200万円以下ではトータル設計が成り立たなくなってしまうのだ。屋根付き原付バイクよりも堪候性のある、座乗安楽性の高い「小特」でいいのだ。それでも回るような日本経済に変えていけばいい。



日本の陸軍歩兵兵器 (GINGA WAR BOOKS)

(管理人Uより)

 武道通信で、電子書籍の『日本の陸軍歩兵兵器』やマスターピース『日本の防衛力再考』がまだ買えるようです。なんと200円! 他も名著ばかりの品ぞろえです。