家内が「うちはびんぼうだ」といっていますので、またユグドアのことを思い出していただけますと、ありがたいのであります。

 某御所に何者かが忍び込み、電気的なアラームが詰め所へ通報しているにもかかわらず、警備官が誤報とみなして出動しなかったという。
 電気だけのトラップ警報システムは、これがあるから困る。

 大きな体重やモーメントによってしか作動しない、物理的スイッチを用いた警報装置の併用を、おすすめする。
 賊は、その場で発生する大きな音や光や煙が警備隊や通行人や住人の注意を惹いたと自覚する他ないため、それ以上の侵入はただちに諦められるのである。

 本格的な仕掛け装置の代表例としては、米軍が1943年から朝鮮戦争期まで使っていた「M48 トリップ・フレアー」がある。

 径2.4インチの発射パイプが土中に鉛直に埋められており、その脇に、トリップワイヤーの支柱が、地表へ頭を出している。そこからはワイヤーが地表近くに水平に張られて、近くの立ち木かペグに、他端が結び付けられる。
 支柱の頭には、圧迫式点火装置も仕込まれている。

 何者かがこのワイヤー線をひっかけると、支柱内の撃針バネを圧縮保持しているピンが抜かれ、軍用手榴弾に類似した延時薬に点火され、3秒後に発射筒基部の75グレインの発射薬に着火。落下傘付きの照明弾が、高さ91m~152mへ打ち上げられる。そして黄色~白色の「吊り星」が20秒間、半径300ヤードを煌々と照らし出す。

 支柱上端のプレッシャーキャップに上から20ポンド以上の踏み圧がかかった場合も、延時薬に点火される。
 地雷と違って筒も支柱も残るから、「再装填」すれば何度でもこれは使い続けられる。

 ところで陸自にこのような火工品はあるのかと気になるところだが、無いのではなかろうか。
 わが国はオタワ条約を批准しているため自衛隊は対人地雷をすべて捨てた。しかし非殺傷性の「トリップ・フレアー」やそれに類する信号火工品ならば装備できる。

 こうした信号火工品や、火薬類を使わぬ電気的なトリップ・フレアーには、あたかも対人地雷のように、敵ゲリラを驚かせ、その大胆不敵な行動を控制してしまう心理効果があるはずなので、研究を怠るのは宜しくない。

 特に研究が期待されるのは、空中から散布することができる、侵入警戒用の簡易な信号火工品だ。

 枯れ枝状の外観で、人が踏めば、間隔をおいて5回、連続爆鳴する信号火工品。破片が飛び散ることはなく、殺傷威力も無いが、附近を警戒している味方歩哨は、この、聞き間違えることがない音響によって、敵ゲリラの動きを察知できる。

 小石状の外観で、人が踏めば、識別しやすい波長・パルスの閃光フラッシュを発する「電気的トリップフレアー」。味方歩哨が双眼鏡で監視していれば、この光源を見逃すことはない。

 いずれも一工夫が必要なのは、保蔵中・輸送中や使用前の自然発火、あるいは暴発を防ぐ仕組みだろう。
 特別な磁気を出す専用のデバイスを通過させることによって、はじめて機能が活性化(アームド)されるようにしておいたら、いいのではないか。

 御用邸等、庭付き施設の警備用には、物理的トリップワイヤーをトリガーとする埋設固定式が適している。まさか照明弾を人家の庭先で打ち上げるわけにもいかないけれども、人畜無害な白煙のノロシを上げ、周囲を内臓バッテリーで電気照明し、ソレノイドによって「鳴子」を打ち鳴らすくらいの舞台効果はゆるされるはずだ。



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(管理人Uより)

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