ひょうどう偶懐――米政権交代が済んで

兵頭二十八の放送形式 Plus

 合衆国の連邦首長の交代式が、狙撃や爆発物による不祥な騒ぎもなく、おわったようですね。
 気が早いようですが、いきなり4年後の想像からしてみたいと思います。

 共和党はペンス氏をかつぐのではないかと思います。就任式で彼の挙措が光っていた。
 議事堂に突入した暴徒から命を狙われていたというのが、彼の勲章になりました。上院議長として彼は合衆国憲法に忠実に、トランプを斬った。そのさなかに命を狙われていた。こうなると、「俺はイラクとアフガンで負傷した帰還兵だ」と自慢できる候補者に近い資格がある。

 そもそも対中共の公式絶縁宣言を叩きつけたのはトランプ氏ではなく副大統領のペンス氏であったという厳然たる事実も日本人は思い出すべきでしょう。

 民主党の著名人としてはオバマ氏のでしゃばりが目立った。あの老人はまだ現役返り咲き――そして「オバマケア」の完成――の未練を棄ててませんね。精神年齢と肉体年齢が、余っているようです。4年後に向けて、民主党内からかつぎ出す勢力が、現れるかもしれません。

 それと、クリントンの女房は、どこへ消えた? かんぜんに燃え尽きちまったんだな、4年前に。映画界とTV業界は罪つくりなことをした。あれだけアバターを活躍させて、支援射撃があって、それで大落選。《胴上げ殺人》みたいなもん。そして今は、誰もインタビューに行かない。ひでえ………。

●マシーン投票と郵便投票の区別がつかない日本人たち

 ここ数ヶ月で少々あきれましたのが、《郵便投票では大々的な不正がなされる/なされた》という米国トランプ陣営の主張を鸚鵡返しに増幅した日本人の多さでした。中共の情報工作であやつられているんだとしたら、大したもんだと思います。

 わたしは過去記事で数回、ペーパーレスの「マシーン投票」は危険だというMIT系の警告をご紹介してきました(これは大統領選のずっと前からです)。
 ペーパーレスだと、あとから検証しようがないのです。

 しかし郵便投票制度は、「紙」が残されるんですよ。「紙」が現存する以上、あとからチェックすることができます。再集計がいくらでもできる。
 もし「紙」が行方不明になれば、その数量も把握できます。
 その「あやしい」数量が、もし州の投票結果を逆転できるくらいに多ければ、それも隠すことはできません。

 こんな単純な理屈が理解できんという人が多いことに驚いた。
 不正の規模が、州の投票結果を左右できるくらいに多い、という主張を prove できなかったから、トランプ陣営の訴えはすべての裁判所で退けられています。
 紙の証拠力に、負けたのです。

 こんかい騙された人に老婆心ながら忠告したい。あなたはデジタル時代にデジタルに騙されやすいから、できるだけ紙を頼って生きなさい。決済は「日本銀行券」と小銭でしなさい。銀行では常に冊子の貯金通帳を、有料でも惜しまず作ってもらうといいよ。通信環境ではFaxを導入し、維持しなさい。
 いまはデジタルに対応できているとあなたは思っているが、あなたが老人になれば、ついていくことは不可能です。あなたは巧妙な詐欺の被害者になり得ます。
 そんな老後にも安心して頼れるのは、紙だけですから。

 旧通産省系の軽佻浮薄な役人は、ガソリン車を禁止しようというのと同じノリで、ペーパーを禁止しようとするだろう。国民よ、抵抗せよ。騙されるな。トヨタさんも先手を打ってオレを対抗宣伝者として雇用すればよかったんじゃない? 公式に政策化しちまってからじゃ、もう遅いけどね。

●もといじめっこが隣に土地を買って豪邸のあるじになったら?

 無職ニートがトランプファンになるというのは、アリでした。
 しかしその人々にはトランプに投票しない人の心理がわからないだろう。
 《こいつが自分の上司になったら、自分は堪えられるか?》ってことを、有職ホワイトカラーは、頭の中で想像します。そして、それは絶対に無理だと結論されたのです。
 トランプ政権の4年間で次々にクビにされた閣僚や高級スタッフたち。
 この、馘首免黜された面々の心境に、有職ホワイトカラーは、同化できていました。
 その想像ができるグループとできないグループの間の断絶は、埋めようがなかったのです。

 プロスポーツの世界で尊敬されるのは、「グッド・ルーザー」の態度でしょう。実力があった現役スーパースターが、ライバルに遂に負かされるときがくる。プロにとっての真の見せ場は、そこです。敗れて去る者をいかに格好好く、観客に対して自己演出できるか。人々はそこを見ている。
 プロたるもの、ふだんから、そういうことを考えてイメージトレーニングしていないと、ダメなのです。
 ドナルド・トランプにはそれがまったくできないんだということが、ここ数ヶ月で、彼の支持層だった人々の目にも、ハッキリしてしまった。
 それで、これまでは左翼からの悪意ある宣伝だろうと疑われていた話の一部が、じつは真相に近かったんだと信じられるようになった。すなわち、高校~大学時代のトランプは、不正競争し放題の、誰からも尊敬されない、ガタイのでかいいじめっこボスだったという話です。
 勝負に負けたのに負けを認めない奴――です。誰も、そいつと一緒にいたら愉快だろう、とは思いません。

 その性格が、成人しても直っていないとしたら? 有職ホワイトカラーは、そんな人物と同じオフィスにいたくないなと想像するだけです。トランプ氏の4年後のカムバックは考えにくいでしょう。「バッド・ルーザー」の見苦しい姿を、彼はさらしすぎたようです。さようなら。

●ナヴァロさんのこと

 学校時代のいじめっこが町内会長になったら困るでしょうが、他国の外国元首だったなら、そんなの関係ねえ、ですよね。ぜんぜんオッケーだ。
 米国の外交政策のアウトプットが、日本に有利で、儒教圏に不利なら、安全・安価・有利の三拍子で、日本人にとり、まさに大歓迎。何の不満もあるわけがなかった。
 そのアウトプットがでてくるブラックボックスが愉快なものか不愉快なものかなんて、日本人には、どうでもいい話でしょう。

 これまでそのブラックボックスを支えてきたのは、ナヴァロさんでした。政権内で厚遇されていたとはいえないが、トランプ氏個人にあくまで忠誠を尽くすという態度を維持したので、最後まで干されずに済んでいます。日本政府はナヴァロ氏に勲章をやらなければダメだ。

 しかしナヴァロ氏個人が払った犠牲は大きかった。《選挙は盗まれた!》という親分の主張をそのままサポートしてました。テレビインタビューで。

 近代空間とは、公人が公的な嘘をついたら恥じなければならない空間です。ナヴァロ氏はその空間から逸脱した。近代人ならば葛藤します。(儒教圏人は近代人ではないので、葛藤しません。)

 しかしこういう「会社役員」の姿にも、有職ホワイトカラーは同情しますよ。『オレにはそこまでできんわ』と思った人が多かったでしょう。
 ボスに忠義を貫かないと、じぶんの昔からの主張を公式の政策にして世の中を変えていくことができない。権力機関のインサイダーとして、ありがちな、板ばさみ。
 ボスがこんなにクレイジーでなければ……と心の中ではナヴァロさんも思っているのでしょう。有職ホワイトカラーはそこには同情したと思います。

 バイデン政権の対支政策ですが、これも、方向を決めるのは「とりまき」です。その「とりまき」の姿はまだ浮揚していません。論評するのは早いでしょう。

●巨大SNS会社は反トラスト法でバラバラにされる

 もし第二のトランプを狙う候補がこれから選挙運動をしていくのならば、じぶんの「テレビ局」をもたないとダメでしょうね。超マイクロTV局でいいはずです。
 その「テレビ局」でまずじぶんの発言を発信し、その動画を、誰でも自由にインターネット空間でコピペ共有していいよ、ということにするのです。
 この流儀なら、ツイッターその他から選挙戦の途中でいきなりアカバンされても平気でしょう。

 あと、日本のカネ余り大企業は、日本国内に「巨大サーバー」を構築する事業に対して投資すれば、それで国際的な大きな商売ができることに気づいたのではないかな?
 巨大サーバーに使われているのは、グラフィックボード。その集合体は「AI」としても機能させることができます。チップの量産工場は、やっぱり必要みたいですね。

 巨大サーバーは冷却コストが馬鹿にならないので、北海道に誘致できるでしょう。オレが夕張市長だったらまっさきに手を挙げて「炭坑跡の地下空間を、サーバー施設に使ってください!」と申し出るよ。

 世界最高速のコンピュータなんてどうでもいいんだ。米国から制肘されない巨大サーバーを複数、北海道内に構築することが大事。これがきっと日本を救うことになると予感します。

(管理人Uより)

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