ドラッグストアの店員さんが「N95」を知らないので、また特定品の品薄の混乱が再燃する下地はあるなと思った。

 Michelle Roberts 記者によるBBCウェブ版の記事「South Africa coronavirus variant: What is the risk?」。
    すべてのウィルスは、自己複製を続けるうちに変異を生ずる。
 たいていの変異は、われわれにとって取るに足らぬ意味しかない。
 しかし稀に、人間の免疫を回避して伝染しやすくなる、あるいは強毒になる構造や機能を獲得する。

 専門家たちが今、心配しているのは、南アフリカで確認されている、「501.V2」とか「B.1.351」と名づけられている武漢肺炎の変異ウイルスだ。

 南ア変異タイプに感染した場合、世界じゅうのどの人であれ、旧タイプ感染時よりも重症化するのかどうか、データはまだ得られていない。

 旧タイプの場合、年寄りや、すでに健康を損ねている人が感染した場合の致命リスクが高かった。南ア型の場合、その傾向がどう変わるのか、まだ不明である。

 データ抜きの直観では、南ア型は、旧型よりも高速に伝染する。そして既成ワクチンの効きめは、やや鈍らされる。

 変異は、ウィルスのスパイク部分の蛋白質組成を換えてしまうことがある。このスパイク部分が、ヒトの特定部位の細胞にそのウィルスが侵入できるかできないかの分かれ目になる。そのスパイク部分に照準を合わせているワクチンにとっても、これを無視できない。

 南ア変異型の「N501Y」は、伝染力が旧型より強そうである。
 また、それとは別な「E484K」という変異型は、ウィルスにヒトの免疫反応をたくみに回避できる力を与えているようだ。だとするとこれはワクチンの効き目も阻害するはずである。

 ひとつ断言してもよさそうなことはある。これらの変異ウィルスが、既存ワクチンの効き目をゼロにしてしまうことはないだろう。ワクチンは、依然として、人々の役に立つのである。特に罹患後の重症化を予防する働きにおいて。

 「N501Y」がファイザーワクチンを無意味化するかどうか、20人の血液サンプルを使って予備テストがなされた。結果、ワクチンの効き目は、依然としてあることが確かめられた。

 モデルナ・ワクチンでも、同様のテスト結果が得られている。ただし、その人に与えられる免疫の強さや持続期間が、以前よりも減ずるようである。

 英国でこれから承認されるノヴァヴァクスとジャンセンの2種の新ワクチンも、それぞれのメーカーでは、変異型への対策を考え中。

 英国ですでに接種が始まっているアストラゼネカのワクチンは、南ア型に対しては、限定された有効性を証明しつつあり。つまり重症化を防ぐ役に立っている。

 なお最悪の場合でも、ワクチンの「設計変更」は、今日では、数週間、または数ヶ月で、できるようになっている。

 南ア型のウィルスはすでに20ヵ国以上に広まってしまった。
 現在、英政府は、タンザニアやコンゴ民主共和国を含む、アフリカ南部諸国からの旅行者の入国を禁じている。

 ※これでどうやって五輪? ワクチンが間に合わないことが明白になっている今日、《東京五輪の無期延期》を堂々と主張できないすべての日本の野党には、もはや政府を罵る資格などないだろう。科学的に事態を考える力もなく、国民を救うための政治的な勇気も発揮し得ないのだから。