世界の旅客機メーカーと民間航空会社にとって、核爆発なみのバッド・ニュース。

 Thomas Newdick 記者による2021-2-10記事「Yemen’s Houthi Rebels Strike Airliner In New Drone Attack On Saudi Airport」。
    バイデン政権が、サウジのイエメン作戦に対する支援はやめる、と新方針を打ち出したとたん、フーシ(=イラン)が調子に乗り、サウジの空港に駐機していた大型旅客機に、爆装ドローンを1機、激突させた。

 この民航機は炎上したという。
 空港はサウジ南部のアブハ国際空港。

 米国務省は、フーシをテロ団体指定からも外していた。
 ※これじゃイスラエル大おこだ。

 「エアバスA320」の写真が公表されている。機首の下部の右側面に命中痕あり。そこに焦げあり。不審なのは、「炎上」したという感じではない。やられた機体そのものなのかが、謎。

 これはサウジ国営航空会社「フライアディール」の所属機である。
 被弾したときは駐機していた。

 フーシのスポークスマンがツイートしたところによると、彼らは4機の爆装ドローンを、アブハに向けて放ったという。機種は、「サマド3」と「クァセフ2K」の2種類。

 イエメン空軍によれば、「サマド3」はレンジが930~1050マイルある。
 「クァセフ2K」は、見たところ、以前に「クァセフ1」と呼んでいたものと同じ。且つ、それは、イランの「アバビル」無人機そのもののようである。
 「クァセフ1」のレンジは最大124マイル。

 サウジ空軍は、過去12ヵ月に、イエメンから飛ばされた20機ほどのドローンをF-15によって「撃墜」しているという。2019-8-19には「クァセフ2K」を1機、落とした。

 アブハ空港はイエメン国境から75マイルしか離れていないところが脆弱である。だから前にもフーシのドローンと巡航ミサイルで数度、攻撃されている。

 さいしょの攻撃は2019-6-12で、民間人26人が負傷。
 2019-6-23にも攻撃があり、1人死亡、21人負傷。
 2019-7-2にも攻撃があり、9人負傷。

 2020-8-31には、フーシの爆装ドローンはサウジ軍によりインターセプトされた。破片は空港敷地内に落下したが怪我人は出なかった。

 サウジが後援している「反フーシ」武装集団の間でも相互に戦闘が発生している。イエメンはもうムチャクチャである。

 ※新コロさえ流行っていなければ、このニュースが最も深刻である。というのは、旅客機は安くない。それに対して片道特攻ドローンはとても安い。巡航ミサイルよりも安いのだ。いままでは、フーシは(つまりイランは)、サウジの飛行場の空港ビルに命中させることしかできていなかった(特に2019-6-12攻撃)。たぶんGPS指定による突入であって、画像イメージ・ホーミングではなかった。しかし今回は駐機中のエアバスに直撃している。旅客機の駐機場所がいつも決まっていたのでないとすれば、これは画像イメージ・ホーミングの可能性がある。市販のデジカメのソフトをちょっといじれば、飛行機らしいシルエットに自動ロックオンすることはできる。理論的には。それがいつ、実行されるかと、私はずっと思っていたのだが、とうとう、2020-2-10に実現した可能性がある。もしそうだとすれば、これからの戦争では、「飛行場」は使えなくなる。すなわち「空軍」が、前線からは運用はできなくなる。敵のロイタリング・ミュニションが附近の空域を徘徊しているかぎり、位置が既知である滑走路近傍には、「飛行機」のシルエットをした物体は、安全に駐機ができなくなるからだ。これで、いままでの戦争の前提がガラリと変わってしまう。また新コロが収まっても、民航会社の収益改善は、いよいよハードルが高くなるかもしれない。いつどこで、テロリストの安価なドローンにより、駐機中のエアバスが、丸焼けにされてしまうかもしれない時代。そういう時代が、やってきたのだ。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-2-10記事。
    イランは2015年に国産の「くっつき機雷」なるものをテレビで公表。それは42kgあり、ちょっと重かった。

 その後、水中工作隊が仕掛けやすい、軽量なリムペット機雷を複数開発している。2020年時点では、ダイバーが楽に運搬できるように浮き具を附加しておき、仕掛け終わったらその浮き具から空気を抜いてダイバーが持ち去れるようにした。

 米軍は2018年に制式拳銃を SIG Sauer に変更した。
 しかしシールズはまたしても今「グロック19」を選好しつつある。親方の海軍省が、海兵隊用にSIGを選定したというのに、それには逆らうわけだ。

 なぜシールズはグロックを気に入るかというと、この会社はユーザーから文句が出るとすぐにそれを改善してくれるのだ。そうやってコンスタントに、改善を続けている姿勢が、好まれている。

 グロック19の第一世代は1982年に登場している。
 第二世代は1989年だ。
 1991にも小改良あり。
 1998には第三世代がリリースされた。
 2010には第四世代。
 2017には第五世代。

 特殊部隊や海外派遣部隊はあちこちで他国の軍隊と拳銃についての情報交換をする機会が多い。何がいま一番すぐれているのかの定評は、口コミで拡散する。

 シールズは2011年にSIGを受領した。「マーク25」と称した。中味は「P226」である。レールがついているのが評価されたのだ。

 シールズは、2015年に、第四世代のグロックを受領した。それにより、ガタの来ていたSIGを更新した。

 海軍と海兵隊は2017年に、それまでのベレッタをSig Sauerに切り替えた。しかしすでに個人でグロックを買って装備していた者たちは、グロックにこだわり続けた。Sigの場合、そこまでして持ち続けようとする熱烈なユーザーは稀だった。

 グロックはハンマー式でなくストライカー式である。フレームはポリマー製で、海水によく耐えてくれる。

 今米軍によって選ばれているSIGのM17は、SIGのP320のバリエーションみたいなものである。P320は、1985年に米軍がベレッタを選んだときに、コンペで敗退していた。理由は、値段がちょっと高い、というものであった。性能は同じだと認められていた。

 ※ぜんぜん関係ないが、これから市販する野球の金属バットには「銅メッキ」をするべきじゃないか。表面に付着した新コロのウイルスを最もスピーディに不活化させることが知られている物質だからね。真空蒸着ならば、重量が変わることもないだろう。