此一戦。

 Charlie Lyons Jones & Raphael Veit 記者による2021-2-19記事「The Port Operators Behind China’s Naval Expansion」。
     世界の港湾業務を着々と支配しつつある中共の2大国有企業(SOE)は、「COSCO」と「チャイナマーチャンツ」である。
 COSCOの社員の三分の一は中共党員だ。

 COSCOは全会社員をミリシャにできるようになっている。パラミリタリー組織である。

 南シナ海で勝手に領有宣言している海域に、一般支那人を連れて来て観光ツアーの案内をする、そのような触法的な対外宣伝工作作戦にも、COSCOは便利に動員される。

 ギリシャのピレウス港の拡張土木工事にも、COSCOの人員が投入されている。COSCOは諜報補助組織であり、国家総動員の要であり、グレーゾーン侵略工作の尖兵なのだ。

 豪州、米国、日本は、COSCOの戦略的積極活動に「後手」で反応してきたこれまでの怠惰を反省しなくてはならない。
 我々がぼんやりしている間に彼らは世界の36港をすでに支配下に収めてしまったのである。

 豪州、日本、合衆国は、世界のすべての港湾についての《ミシュラン・ガイド》を作成しなければならない。それを参照すれば、中共支配下のリスクしかない港湾にカタギの民間会社がうっかり関与しないで済むようにすべきである。

 中共の影響力を排除した港湾ネットワークを、三国は積極構築しなければならない。そこに中共が手出しをできないように、「先手」戦略を選ぶ必要がある。

 ※中共に関する最大のパラドクスは「先進国相手の戦争が起これば《セルフ海上ブロケイド》が自動成立して体制は終焉。先進国相手の戦争になりさえしなければ、中共の外洋進軍が半永久に続く」ということ。このパラドクスを衝く最良の戦略は、中共にもし海上で挑発されたなら、先進国はそれに積極的に応戦するようにし、けっして「グレー」段階では事を済まさせないようにすること。そのためにわが国に必要な施策は、海上保安庁の戦力を海自並に増強すること。そのためには陸自の人員・兵器を海保に割愛し、尖閣や小笠原海域で海保に直協できる装備・編制に、残余の陸自をあらためること。

 次。
 Robert D. Kaplan 記者による2021-2記事「Solzhenitsyn & the engine of history」。
   小説家のソルジェニツィンは、歴史が理性によって進展するという考えに反対した。
 むしろ現代史は、非理性によって創られたと主張する。

 ロマノフ家の終焉とレーニンの登場を準備したのは、1914年8月のタンネンベルグ会戦だったとソルジェニツィンは見る。あの大敗さえなければ、ロシアは共産化しなかったと彼は考えていた。つまり、20世紀の歴史そのものが、ガラリと変わっていた。たった一戦が、人類の運命を変えるのだ。