サイロ固定式の新鋭ICBMですら、内モンゴルからでないとDCまで届かぬのならば、海南島から巨浪で米東部を狙えるようになる日は、はるかに遠いと言えそうだ。

 Chu Daye 記者による2021-2-21記事「US LNG exports to China may drop」。
   冬が寒くないことに長年胡坐をかいてきたメキシコ湾岸のテキサス州などが、このたび奇襲的に大寒波にやられて、電気も水道も各所で止まるという大騒ぎ。
 これで天然ガスの輸出も影響を受けることは必定だ。

 テキサス州知事はすでに、日曜日まで、天然ガスを州外へ出すなと命令した。※暖房が都市ガスというところが多いのだろう。

 じつは米国から中共に輸出されるLNGのほとんどはテキサス州内で調製されているので、中共が直接的にこの影響を蒙る。

 米国から中共向けの天然ガスの輸出は2017年にとつじょ激増。2018年に少し減り、2019年にはさらに極端に減少して2016年の実績の半分以下に落ちている。中共はしかし2020後半に、米国産エネルギーの輸入を増やす方向に舵を切ったのだが、今回の寒波騒ぎにより、実績が2021年に好転回復する望みは薄くなった。

 天然ガスは北米の各所からパイプラインによって、輸出港近くまで集められる。そこでLNGに加工して積み出される。専用の積み出し施設のある港は限定されている。コーパスクリスティとかフリーポート港(いずれもテキサス南岸)だ。

 ただでさえ新コロ不況の影響で、中共のガス需要は減っている。それに、出荷側のゴタゴタも加わることになった。

 天然ガスは、中共では、発電、自動車用燃料、ケミカル産業の原料、そして、セメント工業に需要があるのだという。

 中共国内にはLNGの貯蔵施設があまりない。だから、間欠的に輸入をし続けないとならない。

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 Megan Cerullo記者による2021-2-23記事「Cherokee Nation chief tells Jeep to stop naming cars after tribe」。
   ジープ社の親会社はステランティス社という。このたびチェロキー族の酋長は、ジープのブランドに「チェロキー」と名付けるのは人種と文化に関して不適切であるからやめろ、と求めた。
 具体的には「ジープ・グランド・チェロキー」と「ジープ・チェロキー」の2商品。
 この2車種は年に33万台売れている。値段は実勢で2万6555ドルくらい。

 きっかけだが、『カー&ドライバー』誌の編集部が酋長に、「部族名の使用を承認したのか?」と尋ねたことによる。

 ホスキン酋長いわく。時代は変わった。各種商品だけでなく、スポーツチーム名にも、ネイティヴアメリカンの名前、イメージ、マスコットを使うのは遠慮して貰いたい。

 そうした名前を最初に使おうと決めた人々に悪意があったとは思わない。しかし、自動車の側面に自分たちの部族名が貼り付けられているのを見るのは、愉快じゃないんだよ。

 NLBの「クリーヴランド・インディアンズ」は、球団名を変えることを既に決定している。ただしいつから改名するかは未定だ。
 こんな例もある。「ジェミマおばさん」という社名であったパンケーキとシロップの会社が、その名には人種的にステレオタイプなイメージがあるといわれてしまい、今月、「パール製粉会社」に改名した。

 ※そうなると訊きたくなる。ヘリコプターの名前はどうなんだと。コマンチ、アパッチ。イロコワやチヌークにいたっては発音からして不正確だし……。シカゴをチカゴとは読まねえだろうに。

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 Joseph Trevithick 記者による2021-2-26記事「Did Russia Try To Refute Criticisms Of Its Missiles By Showing One Blowing Up A Syrian Hospital?」。
    ロシアのRIAノヴォスチを通じた宣伝。「イスカンダルE」という地対地弾道ミサイルが、シリアで好い調子だというビデオフッテージ。

 ロシアからこのミサイルを提供されていたアルメニアのパシンヤン首相が、2月23日にテレビで、ナゴルノカラバフでこの兵器はからきしダメであった(前の首相は褒めていたがそれは嘘だ)、弾頭が不発になることも多かった、と悪罵したため、イメージ回復の必要に迫られているのだ。

 ところがこのロシアの宣伝ビデオ、「イスカンダルE」ではない。
 2016年に、別な短距離地対地巡航ミサイルで、シリアのアザズ市(トルコ国境に近い)の病院を狙って直撃させた、その古い映像を編集しているのだ。

 素材は、ロシアの無人機から撮影したビデオのようなのだが、クロスヘアが病院の建物に重ねられているので、狙って破壊していることもバレバレになった。

 アルメニア軍は、イスカンダルの他には「トチカ」というロシア製の固体燃料弾道ミサイルを装備している。トチカとイスカンダルは、TELが違う。尚、イスカンダルは、同じTELから、弾道弾と巡航ミサイルの両方を混ぜて発射できる。

 アルメニアの参謀総長が、ナゴルノカラバフでイスカンダルEを使ったと言明しているのに、ロシアの国防大臣は、イスカンダルEはナゴルノカラバフで使われなかった証拠がある、などと平気で嘘をつき続けている。

 イスカンダルEはアルメニア軍とアルジェリア軍だけが輸入している。実戦使用されたのは、これまでは、ナゴルノカラバフが初だったと考えられてきた。しかし今回のビデオ工作のおかげで、ひょっとしてもっと早くからシリアに持ち込んで病院などの民間施設をターゲットに実戦テストしていたのかもしれないという疑惑も出てきてしまった。