SCAは、マンション収益にあぐらをかき、マンション管理をサボっていた大家のようなものか?

 Francesca Street 記者による2021-3-28記事「What it’s really like steering the world’s biggest ships」。
    パンデミックの以前、スエズでは巨大コンテナ船と巨大クルーズ客船が毎日平均106隻、通航していた。

 コンテナ船の乗組員たちは、4ヶ月から9ヶ月の期間契約労働者である。それが20人から25人、乗っている。

 海象のうち、もっとも気にすべきなのが、コンテナ船の場合は、風。
 高く積まれたコンテナが、壁のように風を受けるので。

 貨物船の中でもコンテナ船は高速が出せるように造られている。ということは、停止力もそれだけあるということ。
 しかしながら巨体であるため慣性が大きい。全速から停止までには14分から16分かかり、そのあいだにフネは1.8マイル前進してしまう。

 スエズ運河に北から進入するにしろ南から進入するにしろ、かならずSCA(スエズ運河管理公社)のパイロット(水先案内人)を1名以上、同乗させなくてはいけない。

 水先案内人は、場所ごとの水深を知っているので、大型船が座礁を避けるためには、船長はこいつらを頼りにするしかない。直前に水深が浅くなっているとじぶんで気づいても、手遅れ。止まれやしないから。

 運河内では原則、追い越しは禁止である。ただしスエズ運河の途中にはとところどころ、巾の広い水面があり、そこでは、追い越しも許される。
 追い越しをかける場合は、パイロット同士が無線で打ち合わせる。

 運河の中でも特に巾が狭い区間では、タグボートが護衛につく。
 タグボートは、巨船とタンデムに並走し、万一に備える。※今回、このタグボートは何をしていたんだという話。

 船舶は、背が高くなるほど、風に押されやすくなる。さいきんの巨大コンテナ船はこの点、最悪である。
 スエズの砂嵐は、予告無しに襲来する。視界も奪われるので厄介である。

 スエズを通るときは、コンヴォイを臨時に組まされる。そのため、入り口の手前で待機させられる。
 客船はスケジュールがタイトなので、たいてい、コンヴォイの先頭にしてもらえるが、しばしば、着荷のタイムリミットに追われているコンテナ船も、コンヴォイの先頭にされることがある。

 クルーズ客船にはパイロットは2~3人が乗り込んでくる。交代で執務するため。

 あるクルーズ客船の場合、全速状態からエンジンを停止すると、船脚が止まるまでに15分かかり、そのあいだにフネは1.75マイル進む。

 「クラッシュ・ストップ」を実施することもある。すなわち、機関停止ではなくて、後進全速(フルアスターン)をかける。これをやると、巨大客船も5分にして行き脚を止められる。制動距離は「四分の三」マイルである。

 スエズにも、霧がかかることはある。運河の岸や他船は、目視できなくなってしまう。

 次。
 Michael Safi 記者による2021-3-28記事「Stranding of Ever Given in Suez canal was foreseen by many」。
   こんかいのエヴァギヴン号の事故、じつはOECDが何年も前から警告してきたことであった。それを世界の海運業関係者は、無視しつづけてきたのだ。

 西暦2000年には最大のコンテナ船でもせいぜい1隻に5000個のコンテナを積むだけだった。それがいまでは2万個だ(このクラスはまだ世界に数十隻のみだが)。

 1隻が大型化した背景には、燃料代(原油価格)の高止まりもあった。2000年代に。
 それで「規模の経済」が追求された。

 さらに背中を押したのが、2009年の恐慌に続く低金利。これで船主は、馬鹿みたいな巨船を建造できるようになったのだ。

 プリマス大学の研究者氏いわく。巨大コンテナ船が入れる港は欧州でもごく限られる。その限られた港でたとえば停電などが起きたら、巨大コンテナ船はそこで立ち往生するしかない。1隻に載せられた荷物が多いほど、損害は大きい。海運業界人に、リスク分散の着意がなさすぎるのではないか。

 2015年にOECDは、巨船化傾向は行き過ぎていて危険だと警告していた。経済からも乖離していると。

 その中でOECDは、スエズでこんな巨船が故障を起こしでもしたら、サルベージの能力が追いつかず、再開通までに、ずいぶん長い時間がかかってしまうぞと、ご丁寧にも、予言をしてくれていた。

 デカけりゃ良い、というものでは、なかったのである。



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