コバンザメがアオザメを牽引する「永久機関」を考えた会社、偉い。

 Rachel Zhang & Laura Zhou 記者による2021-4-16記事「Chinese fishermen find drone ship ‘used for spying by a foreign country’」。
 江蘇省の塩城市沖の黄海で、漁船が、全長3mの外国製の無人艇を、たぐり上げた。中共国営CCTVが水曜日に報じた。ASWのための海水データを自動で収集・電送していたと思しい。
 ※山東半島と上海の中間点。

 上面にはソーラーパネルと通信アンテナ。
 報道はそこまでだが、中共の軍事オタクがSNSに投稿している情報によると、これは米国ボーイング社の子会社であるリキッド・ロボティクス社製の「ウェイヴ・グライダー」ではないかと。

 ※この記事に添えられているリキッドロボティクス社の説明イラストがとても興味深い。それによるとこの無人艇には、長さ8mのアンビリカルコードによって真下に懸吊した、前後長2.2mの水中艇体が伴っている。水上艇と水中艇が、一組なのである。そしてこの水中艇は、左右に突き出した複数の水中翼を前傾させたり水平に戻したりという「ねじり」運動を反復することによって、おそらくは飛行機の翼面に揚力が発生するのと同じ機序により、前進推力を得る。問題はその、水中翼のピッチ角を変えるためのエネルギーをどこから得ているかだが、これがなんとソーラーパネルではなくて、波の運動エネルギーをそのまま利用するようだ。つまり水上艇が波によって押し上げられたり押し下げられたりする、その動きがダイレクトに懸吊ケーブルで潜航体に伝達されて、水中艇体も上下に動かされるわけ。この「上向きモーメント」が生じたときに、水との抵抗のため、水中翼は取り付け軸を中心としてひねられる(前傾する)。ついで、水面の艇が波底に至り、ケーブルのテンションが緩み、潜航体が重力で沈み込み、それにつれて翼のピッチが水平に戻ろうとするときにおそらく翼面に揚力が発生し、それが自動的に前方への推力となるらしい。簡単に表現しなおすと、水上艇が波で上下動することにより、水中艇は前進力を生み、水上艇は、水中艇によって前へ引っ張られるのだ。水上艇にはプロペラなどの推進装置が皆無で、ただ、舵だけがついているのである。



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