セメント製造には大量の化石燃料を燃やした熱が必要である。となると、これからは新世代の「石造住宅」を考えるのが、いちばん「脱炭素」につながるのか?

 豪州ABCの2021-5-1ウェブニュース記事「Netherlands unveils home 3D printed with concrete, and it wants to use the technology to house its growing population」。
    オランダは住民が増加しつつあり、万年住宅不足で、戸建ての家屋需要がある。これから10年であらたに数千戸が必要だという。

 そこで新工法。
 工場の3Dプリンターでコンクリート製の平屋の一部の立体セクション(24ユニット)をこしらえ、それらが乾燥したところでトレーラーで現地へ運び、現地でクレーンを使って数セクションを接合させて、完成させる。
 同国の建築基準法を満たしつつ、プリント工程のみであれば120時間で完成する。
 すでに5戸竣工した。

 1見本。94平米で、寝室が2つある。
 平屋である。
 現場にはすでに布基礎が打ってあった。

 現地では、屋根などの仕上げ工程が必要である。

 練り歯磨き粉をチューブからにゅるにゅると出して行くような3Dプリントの特性上、壁面は、水平に薄い畝の層が多重に積み重なった外貌を呈する。※素材が、フランク・ロイド・ライト風のモダン・デザインしかゆるさぬわけ。これも課題だね。日本では雨水が層の窪みに溜まってカビてしまうだろう。

 コンクリートの3Dプリントは、型打ちコンクリートにくらべて、使用するセメント量を「三分の一」も節約できるという。
 ※生コンを余分に用意する必要がない、という意味らしい。

 将来は、3Dプリントで2階建て住宅もできるはずだという。
 プリントされた部材は有孔で、そこを断熱材が満たすという。※これはビデオでは確かめられなかった。

 中に入ると、防音性が特に良いことに気づくという。

 4月にはインドでもさいしょの3Dプリント住宅がお披露目されている。
 56平米の平屋。
 その工期はなんと5日で済んでしまったという。

 インドでは、2022年までに2000万世帯分の都市集合住宅と、3000万戸の郊外住宅が新築される必要があるそうだ。

 ※現状の仕上がりだと、わが国ではむしろ、「基礎コンクリート打ち」の工程に3Dプリンター技術を導入するのが、いちばん有望なのではなかろうか。基礎工事に人を1日しか使わずにすむようになれば、総工費が劇的に減るはずだ。

 ※基礎工事の必要がなければ、住宅は1戸540万円で供給できることが、コンテナサイズの移動式量産住宅「ムービングハウス」ですでに実証されている。大型トレーラーの荷台に載せてどこへでも運搬。現地で、電気、水道、ガスなどのライフラインを接続すれば、即日、一世帯が生活できるようになる。これに対して旧来の、場所が固定されてしまう造りつけの「仮設住宅」は1戸につき840万円かかるという。しかも用が済んだあと、他の被災地へ運搬して転用することができない。