3月に露軍の「Tu-22M3」が離陸準備中、エジェクションシートが作動して、クルー4人のうち3人が死亡したと。

 ストラテジーペイジによると、唯一助かったのは爆撃機連隊長で、操縦者シートに座っていた。操縦者シートだけは、自動では射出されない仕組みだったので。
 機長が最後に機体の落下方向を確定してから脱出するための配慮なのだ。

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 SETH ROBSON 記者による2021-5-2記事「Air Force lands Huey on Tokyo golf course’s helipad for first time in 40 years」。
    新宿の西方18マイルに「多摩丘陵リクリエーション・エリア」がある。米軍専用ゴルフコースの所在地だ。土曜日、ここにおよそ40年ぶりに、横田基地から飛来した「UH-1N」ヘリコプターが着陸した。

 このゴルフ場を、有事のさいの緊急ヘリパッドにする場合の調子を見た。

 ※横田も中共の中距離ミサイルで奇襲されると考えているわけだ。

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 Scott Trail 記者による2021-4-30記事「FVL: Don’t Pick The Tiltrotor, V-22 Test Pilot Tells Army」。
  もと海兵隊のV-22のテストパイロットであったスコット・トレイルは証言する。海兵隊の長距離作戦にはオスプレイが向いていた。しかし陸軍がブラックホークの後継をこれから調達するならば、ティルトローター機(ベル・テクストロン提案の「V-280」)ではなくて、「コンパウンド・ヘリコプター」(シコルスキー・ボーイング提案の「ディファイアントX」)の方が、コストを最小限にできて合理的だろう、と。

 ティルトローター機は高空を高速で飛翔することができる。しかし露軍や支那軍はSAMを揃えているので、陸軍機はひたすら低空を飛ばないと危ない。だからティルトローターの上昇性能は無駄になってしまう。〔海兵隊は海上を飛行するので、支那軍相手だろうと、しじゅうSAM脅威を気にする必要はない。よってオスプレイは無駄にならぬ。〕

 地面ギリギリで機敏に機体をコントロールしやすいのは、コンパウンド・ヘリコプターである。標高が大で、しかも地表気温が非常に高い時節――つまり空気が薄くてローターが揚力を稼ぎにくく、エンジンに送られる酸素も薄いのでますますパワーが出ない――戦場でも、コンパウンド・ヘリコプター型なら安全に密集編隊を組めるのである。

 またティルトローターの操縦訓練は陸軍のヘリパイにとってはゼロからの仕切りなおしとなるが、コンパウンドヘリの操縦は在来ヘリの延長でいいから、機種転換のためのコストが安上がりだ。

 陸軍が中型侵攻ヘリに期待しているミッションとは。
 高度200フィート以下で多数機が殺到し、至短時間の着陸で兵員を吐き出し、敵の予期しない場所での地上兵力の局地的な数的優越を一挙に確立してしまうこと。

 V-280は、低空飛行を強いられると、巡航時の燃費が、ディファイアントXよりも悪くなる。

 またV-280は、水平飛行モードではエンジン音は静かなのだが、垂直着陸モードに入ると、とてつもなくノイズィで、はるか遠くの敵兵にまでその騒音が聞こえてしまう。

 地上の兵隊は何によって敵ヘリの接近を知るのかというと、それはまず「音」なのである。これ、陸戦の常識。

 敵地内に急速に味方地上部隊の空挺堡を築いてしまうヘリボーン作戦の成否は、侵攻輸送ヘリが密集編隊を組めるかどうかにかかっている。

 陸軍第101空挺師団によれば、「H-60」ヘリが安全に集団で着陸するためには、互いに僚機から30m離れていればいい。しかしオスプレイの場合、僚機から76m未満の離隔距離では危険なので、密集着陸は不可能だという。

 ティルトローター機は、直前の僚機がつくった下降気流の中に入ると、左右のどちらかのローターが揚力を失い、機体が横転するという危険に直面する。着陸動作中には、これは致命的である。〔ローター軸が1個のヘリでもこの現象は生ずるが、ビンラディン襲撃作戦のときのように、横転しないで腹からクラッシュしてくれるので、乗員は助かる。タンデム2軸の場合は、パイロットによる瞬時のリカバリーができる。〕

 オーソドックスなタイプのヘリコプターの操縦者を、ティルトローター機にコンバートさせるためには、まずいったん固定翼機の操縦を習わせ、それからティルトローターで訓練させる必要がある。新人の場合なら、「通常回転翼機」→「固定翼機」→「ティルトローター機」の三段階もが必要になる。期間としては1年半がかりである。



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