中共がキリバス(フェニックス諸島)のカントン島に航空基地を建設する。

 先の大戦にて、帝国海軍が南東方面戦域にて最も東に確保できた拠点はタラワ(ギルバート諸島)だったが、カントン島はそれより1000km以上東。
 対米宣戦しないで、FS作戦=米豪間遮断作戦 を進捗させるという、地政学マヌーバの凄技だ。

 中部太平洋のミッドウェー島よりもカントン島は東にある。
 ただし、北太平洋のキスカ島に比べれば、カントン島はまだ西だ。

 それほど米本土に近いキスカ島から日本軍はまんまと撤退することができた。米軍も北太平洋にまでは戦争資源を割けなかったわけだ。

 次。
 James Durso 記者による2021-5-5記事「U.S. Bases in Central Asia: Where Will They Go?」。
   アフガニスタンから米兵は9-11までに総撤収ときまっているのだが、他の中央アジアの米軍駐留地はどうなるのか。
 米政府は、対テロの情報収集や出撃拠点に使うためにひきつづき、残すと言っている。

 カザフスタンは米国とは良い関係を持っている。同国内に多数の米軍用航空基地が所在する。しかしカザフとアフガンは陸続きではないから、中間の他の諸国の許可を得ないと対アフガンのいかなる航空作戦も不可能だった。こっそりやろうとしても、すでにその空域は民航機が飛びまくっているので、秘密にできないのだ。

 カザフには中共が莫大な投資をしている。カザフ産の石油/天然ガスの半分は、売り先が中共である。

 トルクメニスタンはアフガンと長さ500マイルの陸上国境を有する。しかし天然ガス資源が豊富なので、「永世中立」を指向し、それは国連特別決議ですでに認められた。だから米軍は基地を同国内には置けない。

 キルギス共和国は、2001年から2014年まで、マナス国際空港を米軍の対アフガニスタン作戦のために使わせてくれた。
 だが米軍用の燃料の売買契約をめぐるスキャンダル、キルギス民間人を米軍が殺したという容疑、などの芳しくない話がいろいろあって、政府間関係もすでに親密ではない。

 ※ホスト諸国にとってのこの地域での米軍プレゼンスの問題としては、米兵の犯罪を訴追しないことを米政府がホスト国に求めること、非軍用航空機を使った軍事支援活動を勝手に展開しようとすること、など、あまたある。

 ウズベキスタンとタジキスタンはアフガニスタンと国境を接するが、第三国の軍用機が対アフガン作戦のために自国上空を通過することを渋っている。

 ウズベキスタンは、米軍による対テロ合同訓練、対麻薬の協働活動には加わるものの、そこまでである。

 ウズベキスタン内には、タシケント空港とナヴォイ空港がある。
 タシケント空港は首都の飛行場であり、そんなところに米軍機がいると目だってしょうがない。米軍は、その機体が目立つことのない、田舎空港を使いたいのである。
 マナス空港も同じ理由で、米軍にとっては理想的ではないのだ。

 2001年から2005年まで、米軍は、「カルシ・カナバド」飛行場を利用していた。しかしそこはもう使いたくない。環境汚染がひどくて、駐留兵が健康を損ねるほどなのである。

 アフガン国境に近い「テルメズ」飛行場は、ドイツが対アフガン補給拠点として使っていたところだが、ここは補給の中継基地等として、使えるだろう。

 ウズベクとアフガンの国境線はたったの89マイルと短い。そこは陸路の麻薬密輸を見張るために警備がとても厳重だから、外国軍もそんなところでは活動はしにくい。

 タジキスタンはユニークである。露軍、支那軍、インド軍の基地を国内に置かせているのだ。
 イランとも、合同軍事活動していくことで合意している。
 タジクはアフガン産の麻薬の通過点になっているから、米軍としてはそれ対策を名目に駐留したいところだが、あまりにも他国軍の目が過密であるところが不都合だ。

 ウズベキスタンは、国境にあるハイラタン市から、アフガニスタンのマザリシャリフまで鉄道を敷設しようとしている。またアフガンの若者をテルメズ市の教育センターで受け入れている。またアフガンに対して電力も格安で輸出してやっている。
 首都タシケントにタリバンの使節を迎えたこともある。2018年に。ウズベキスタンは、タリバンと戦争する気はない。

 タジキスタンは、要するにウズベキスタンよりも資源がなくて貧乏なので、セキュリティを他国に頼りたいのである。そういう弱い立場。



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