バナー的を曳航する機体も、無人機にしておくのが、やはり正しいだろう。

 Thomas Newdick 記者による2021-6-4記事「The Last Time A Japanese Warship Shot Down A U.S. Navy Plane Was Actually Not So Long Ago」。
    CIWSは「シーウィズ」と発音される。
 「マーク15 ファランクス」は、毎分4500発の高レートで20mm弾を射ち出す。

 1996年6月4日、操縦手のウィリアム・ロイスター中佐と、爆撃手のキース・ダグラス中尉が搭乗していた「A-6Eイントルーダー」。空母『インディペンデンス』に所属し、厚木基地に配備されていた。

 同年のリムパック演習に、海自の『ゆうぎり(DD-153)』が参加していた。両舷に1基づつの、ファランクス。

 ロイスター機は、長さ6フィートの対空標的を曳航して飛ぶことになっていた。
 場所は、ハワイの西1500カイリの海上だ。

 ロイスター機は高度700フィートを、機速340ノットで航過。
 米政府の公式発表洋では、A-6Eと標的とのあいだには2.5マイルの離隔があったという。

 しかし日本の防衛庁の高官のヤナギヤ・トシノリ〔不詳。1996=H8の長官は臼井日出男である〕はロイターに対し、曳航用ケーブルは丁度100mしかなかった、と語っている。

 標的は『ゆうぎり』の左舷から接近してきた。
 曳航バナー的は、レーダーを反射する素材でつくられており、CIWSがロックオンしやすくできている。

 米太平洋艦隊の広報官、ジェフ・デイヴィス中尉によれば、初期型の「ブロック 0/1」ガトリング砲のレートは3000発/分が最大であると。

 天候は好かった。大気は清明であった。

 1秒で50発の20mm弾が、A-6の機体を襲い、エンジンはたちどころに火災を発生。機体のコントロールもできなくなって、スピンしはじめた。油圧系統がやられたのだ。

 さいわい2人の搭乗員には脱出の時間があった。弾丸は機体胴体の中央部にのみ命中したので、即死もまぬがれた。

 イントルーダーは『ゆうぎり』の右舷海面に墜落した。

 『ゆうぎり』のモーターランチが、わずか数分後に、2人を掬い上げた。その後、両名は、ヘリコプターで『インディペンデンス』まで送り届けられている。

 ロイスターは裂傷。縫合の必要があった。ダグラスの方は擦過傷だったので、すぐ軍務に復帰したという。

 誤射の原因は、さいしょは、ファランクスのシステム設計に至らぬところがあったのではないかと思われた。しかし調査の結果、原因はヒューマン・エラーだったと判明した。

 その後、アップデートされたファランクスには、ボアサイトに追随する赤外線カメラが付け加えられ、水上ボートにも対応可能になるとともに、そのビデオ画像を人間が見て、間違って味方機にロックオンしていないかどうかを、確かめるよすがともなっている。

 イントルーダーは1963年から飛んでいた機体で、そろそろ引退の時だったので、事故の損害のインパクトも大騒ぎされずに済んだ。