アルカイダはサウジ発の反米組織だが、タリバンはもともと反米と何の関係もなかった。ISは反イラン(反シーア)機関である。

 2021-8-27記事「What is ISIS-K? Two terrorism experts on the group behind the deadly Kabul airport attack and its rivalry with the Taliban」。
    カブール飛行場の爆弾テロについて犯行声明した「ISIS-K」とは? 最も詳しい研究者2人に聞いた。

 この「K」は「ホラサン」(Khorasan)の頭文字。アフガニスタンの地方名である。
 「ISKP」とか「ISK」とも略称される。

 2015-1にこの集団は旗揚げした。

 そして短期間のうちに、複数の北部や北東部の地域を支配し、全アフガニスタンからパキスタンにかけて人殺しを繰り返すようになった。

 さいしょの3年間は、彼らのターゲットは、少数派部族、公共機関、大都市内の政府機関であった。攻撃場所はパキ領内をも含む。

 2018までに、彼らは、世界でもっとも凶悪な四大テロ組織のひとつに成長。

 2019後半から2020前半にかけ、米軍とアフガニスタン政府軍に圧迫されて、彼らは1400名以上の投降者を出している。

 このグループの出発母体は、パキスタンとアフガニスタンのタリバン、およびウズベキスタンのイスラム運動である。その後、他の多様な集団を吸収した。

 最初の地盤は、南部のナンガラ州。そこはパキスタン国境にも近く、アルカイダが根城にしていたトラボラもあった。
 ようするにそこには「兵站」の便があるのだ。

 イラクやシリアのISから資金等の援助を受けていたことについては、間違いない証拠がある。その金額だが、ある専門化は1億ドル以上と言っている。

 この集団の大目的は、その支配域を、全中央アジアおよび南アジア一帯に、拡げることにある。

 この集団は、ハザラ族〔モンゴル系のアフガニスタン人。シーア派なのでイランに親近〕、シーク教徒〔16世紀に起こり、一貫してイスラムに抵抗し続け、19世紀に英東インド会社がムガール朝を打倒するのに協力した〕、ジャーナリスト、エイドワーカー、政府系のインフラを敵視し攻撃する。

 この集団が追求してやまないのは、混乱である。他のテログループに所属していたが失望したメンバーを自軍の戦列に糾合し、住民の間には、政府は安全を保証してくれないという疑いを抱かせる。

 「ISIS-K」は、アフガニスタンのタリバンとは、戦略的にライバル関係にある。
 というのは、アフガンのタリバンはナショナリズム運動に他ならず、パキスタン北部のパシュトゥーン族とは同士意識を有するが、アフガニスタン国境の北側スタン国家群や西側イランに対しては、関心はゼロなのだ。
 それに対して「ISIS-K」は、国境も民族も越えた宗教覇権運動である。

 だから、「ISIS-K」は、いっぽうではタリバンから戦闘員を雇い上げているが、いっぽうではタリバンの拠点をアフガン全土で攻撃しているのである。

 もちろんタリバン側でも「ISIS-K」を各所で攻撃している。

 しかし、これまで「ISIS-K」の構成員を最も多数、殺害してきたのは、米軍の空からの精密爆撃であった。それはアフガン政府軍の地上作戦と連動して行なわれてきた。

 次。
 Chad Garland 記者による2021-8-27記事「‘I demand accountability’: Marine battalion commander calls out senior leaders for Afghanistan failures」。
  現役の海兵隊中佐が、クビ覚悟で怒りのSNS投稿。
 バグラム飛行場はエバキュエーション完了まで放棄するべきではなかった。それに同意した米軍最高幹部は辞職せよ。それが「アカウンタビリティ」というものだ。

 この御仁、シェラー中佐が最初にアフガニスタンにかかわったのは2005年。カブール空港に配された。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-8-27記事。
    パキスタン内のタリバンはTTPという。「Tehreek-e-Taliban Pakistan」の略である。その勢力は、アフガン内のタリバンの三分の一である。
 TTPはアフガンのタリバンとは違って、麻薬ビジネスには反対であるという。
 TTPは、アルカイダをその内部に取り込んでいる。理由は、TTPの大目的はパキスタン政府を転覆させることにあり、その目的に、アルカイダが役立つからである。

 TTPはアフガニスタン東部にアジトを有し、そこから越境出撃してパキスタンを攻撃している。
 パキスタン政府は当初、この攻撃はインドの特殊部隊の仕業だと非難していた。

 パキスタン政府軍は2014にTTP討伐に乗り出し、その結果、TTPはアフガン領内に逃げ込んだのである。
 ここ数年、在アフガンの米軍が、アフガニスタン内のTTP拠点を空爆するようになった。
 米軍の狙いは、TTPと融合しているISILメンバーや、ハッカニ・グループ(パキスタン軍が裏で操るテログループ)の殺害にあった。

 パキスタンは2020-1に、自宅軟禁していたTTPリーダーの逃亡を許している。それにはパキスタン軍の大佐、少佐ら12名が関与していた。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-8-27記事。
   外航船に乗組んでいる船員たちの新コロ注射が進んでいない。
 2020前半時点で、世界の海を、7万5000隻の外航商船と、190万人の船員が走っていた。
 平均すると、1隻25人。

 大きな船を25人以下で動かすというのは、勤務する船員にとってはそれだけ疲れる。仕事の魅力は低下しつつある。

 また、2射が必要な新コロ注射の場合、下級船員はそれをなかなか受けられるものではない。

 たいへんなことになっているのが、全船員の2割弱を占めている士官クラスの幹部船員。
 クルーが新コロの注射を済ませていないならば、その船を受け入れないとする港が増えている結果、従来のペースで士官の勤務交替をすることができなくなって、結果として、連続して何ヶ月も洋上勤務を続けるというシフトが強いられつつある。

 そんなこんなで、18ヶ月のロックダウンが明けて多数の商船を再稼動させなくてはならないときに、人が集まらない。

 下級船員手配会社もどんどん潰れている。これは、下級船員の給料を上げれば、下級船員不足の問題が解決するわけではないことを示している。

 ※洋上勤務中に派遣会社が潰れたのでは、船員は行き場がなくなり、大困り。そういうことがあるので、海員の世界では保険が充実していたはず。

 ※中国で人件費が高くなってきたので、工場主たちが困っている。あるいは彼らは、現代の「蟹工船」を考えるのではないか? すなわち、倒産した船会社から巨大貨物船を買い、それを、「浮かぶ工場」(従業員の宿泊設備付き、賄い付き、逃亡不可能)に改造し、公海上に浮かべ、そこにアフリカ人や南アジア人の工員を集めて工業製品を製造するのである。