アビィ・ゲイトの自爆ヴェストの重量は25ポンドだったと推定される。報復にISIS-K幹部を自動車ごと吹き飛ばしたドローンは、中東の某基地から離陸した。

 Nabih Bulos and Patrick J. McDonnell 記者による2021-8-28記事「Long before the airport bombing, ISIS-K was terrorizing Afghanistan」。
    ISIS-Kの「Khorasan」は、かつて、今のイラン、アフガン、そして南アジアに広がる地域のことを指していた。

 ISIS-Kは2020年には、妊婦服を着て爆弾ヴェストを包み隠し、自爆テロを敢行。
 同日に葬列をも攻撃して32人を殺している。

 2021-5-8にはアフガンの女子学校を複数の自動車爆弾で攻撃。11歳から15歳の少女を中心に90人以上を殺し、240人を負傷させている。

 ISIS-Kの初期メンバーには、アルカイダからの逃亡者が含まれていた。

 木曜日に一度の爆発で米兵13人が死亡したのは、おそらく20年間のアフガニスタンにおける米軍の活動の中でも、最悪規模のケースであろう。

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 Jonathan Baran+Alex Horton+Elizabeth Dwoskin 記者による2021-8-26記事「An army of veterans and volunteers organizes online to evacuate Afghans, from thousands of miles away」。
    デジタル・ダンケルクだ。
 インターネットのテキスト通信機能を使って、アフガン人たちの国外脱出を遠隔支援するボランティア組織が米本土にて活動中である。
 もとグリーンベレーとかの、退役軍人グループ。軍以外の政府機関の職員だった者もいる。いずれも現地の土地勘あり。

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 Karoun Demirjian and Alex Horton 記者による2021-8-28記事「US bases to house up to 50,000 Afghans」。
    国防総省によると米本土内の米軍基地に最大5万人の脱出アフガニスタン人を一時収容する。
 基地の数は当初発表の4箇所から、もっと増やす。

 空輸作戦は、金曜日の午前までで、総計11万人をカブールから脱出させた。

 そして金曜日の昼にはつごう1万4000人のアフガニスタン人がダラス国際空港に到着。

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 Adam Taylor 記者による2021-8-28記事「Growth of Afghan opium trade may undermine Taliban pledge to kick the habit」。
   1999年、アフガニスタンのタリバン支配区では4600メトリックトンの芥子が生産されていた。それは前年の2倍以上であった。(タリバンは1996から存在する。)
 それから今日までのあいだにアフガニスタンは世界最大の芥子栽培地に育っている。

 しかるに今年の8月17日、タリバンのスポークスマンのザビフラ・ムジャヒドは、タリバンは芥子の収穫を国内で禁ずると、外国メディア相手に語った。

 できるわけがあるだろうか。国連データによれば、2020時点で世界の芥子の85%は、アフガニスタンから供給されているのである。ミャンマーもメキシコも、目じゃないのだ。

 芥子やそこから作るヘロインだけではない。アフガニスタンは、すでに大麻や覚醒剤の供給者としても、地球規模のメジャー・プレイヤーなのだ。

 イスラム法の「ハラム」では、ハシシュとタバコは禁じられていた。身体に有害なものはすべて禁止なのだ。にもかかわらず連中は90年代にそれを大拡大して今日に至るのである。

 タリバンは西側世界の圧力に屈して2000年に芥子栽培を禁じた。しかし2001年に米軍のアフガン戡定作戦が発起されたあと、タリバン蟠踞区では逆に栽培が激増した。

 2017年に米軍が芥子撲滅活動のために費やしたコストは90億ドルであった。にもかかわらず同年のアフガン国内での芥子生産は9000トンもあると見積もられている。

 今後、タリバン政府は、国内の麻薬濫用者対策を考えねばならない。

 ヘロイン産業が繁栄するのには理由があった。温暖かつ乾燥した土地で芥子はよく育ってくれる。わずかな灌漑水しか必要としない。芥子成分からモルヒネを精製し、モルヒネからヘロインを精製する。それは、非常に軽量なのに、高額で外国に売れる。交通インフラが原始的レベルで、国境外への輸送アクセスが悪いアフガンにおいて、これにまさる「軽量」な、すなわち輸出ができる「加工製品」など、他にありえないのだ。農民はとうぜんにこれを栽培したがる。穀物よりも世話が容易で、しかも比較にならぬ良い稼ぎが得られるからだ。

 アフガニスタンでは芥子は18世紀に栽培されていたことが、西欧人によって記録されている。
 近代アフガニスタン政府はそれを有効に禁圧していたのだが、1979にソ連軍が侵攻して無政府状態となったことから、一挙に栽培は公然化した。

 1996にタリバンが地域権力を掌握した時点で、世界の芥子生産の59%がアフガン産であった。

 2000-7にタリバン創始者のムハマド・オマルが芥子収穫と取引を禁じさせたのは、米国から見返りに4300万ドル受け取ったからであった。

 だが翌年に米軍が攻め込んできたので、この4300万ドルは敵に贈った塩と化した。

 米国がバックについたアフガン政府も麻薬産業を禁止できなかった。というのは政治ボスも役人も皆、腐敗していたからである。タリバンからたんまり賄賂を受け取り、まじめに取り締まらなかった。

 ある調べ。アフガンのニムルズ州。2000年において、そこで合法商品や燃料の輸送に「関所税」を課して得られた政府収入が4009万ドル。それに対して同州の麻薬産業は510万ドルぐらいの規模であったという。

 世界の麻薬産業は、ヘロインから覚醒剤にシフトしつつある。覚醒剤原料は、畑での栽培など必要とせず、化学プラントで無限に合成できるからだ。アフガンの麻薬ギャングもこのトレンドに対応しているという。

 おそらくタリバン新政権は、麻薬を取り締まってほしければ、カネをよこせ、と国際社会に要求して行くことになるであろう。

 アフガン国内で麻薬取締りが強化されると、これまでの密輸出ルートの途中に位置する国々が、あらたな原料や製品の供給者になるだろう。ちなみに米国市場に流入するヘロインは、主にメキシコから来る。アフガンの芥子が最後にはメキシコまで渡ってきているわけなのだ。

 2015の調査では、アフガン国内には290万人から360万人の、麻薬濫用者がいた。