バーコードまたはQRコードを、望遠レンズで、遠くからブレずに読み取れる軽量デバイスが、開発されるべきなのでしょう。

 JAMES LAPORTA, JUSTIN PRITCHARD and KRISTIN M. HALL 記者による2021-9-30記事「Military units track guns using tech that could aid foes」。
    ICタグを兵隊の小火器に付着させることで補給管理に役立てるという話が米四軍内で論争に。
 無線で位置を追跡でき、いろいろな情報も読み取れる、こういうタグのことを米国では「RFID」とよぶ。
 米陸軍と空軍は、これによる小火器補給管理の導入を始めた。

 海兵隊はぜったいにやらないと言っている。海軍も導入を無期延期した。

 反対理由は、ローテクの敵ゲリラであっても、無線センサーを使えば、そのタグが内臓された小火器をもった米軍部隊が接近中であるという情報を、目視距離以遠で早々と得ることができる。

 また、武器を盗み出そうとしている悪徳兵隊なら、簡単にタグのコピーを作ってしまえるだろう。

 ※その武器を戦場で敵に拾われれば、その正規の持ち主の機微情報まで敵に与えかねない。

 なぜこんなタグが陸軍では導入されたか。米国内で武器庫から小火器が盗み出され、それがストリートギャングに売り渡されているのだ。その追跡をしようというのである。
 ※部内者が盗まなければ持ち出せるわけがない。そこまで腐っているのか……。

 海軍は、LAより北にある基地でちょっと実験してみたが、これを全基地には採用できぬと結論した。

 そもそもRFIDが導入されるきっかけとなった事件がある。2018年に、空軍の、核ミサイルを貯蔵する弾薬庫の警備をしている部隊で、機関銃が1梃、消えてしまったのである。この武器はやがて発見・回収されたが、大問題になった。
 それでRFIDのメーカーが、軍に「こういうものがありますよ」と提案した。

 ちなみに、ナイジェリア政府軍とサウジアラビア政府軍は、すでにRFIDを小火器管理に採用している。

 管理する側としては、とてつもなく仕事が楽になる。たとえばRFIDがない小火器の現存を確認するには、1梃ずつ、シリアルナンバーを読んで帳簿に転記しなければならない。バーコードだったとしても手間はあまり変わらない。
 しかしRFIDならば、武器管理係は、個々の銃を取り出して手に取る必要がない。武器庫に入り、手持ちのセンサー端末を起動させれば、すべての武器が、棚に並べられている状態のままで、あるいは木箱に入った状態のままで、その存否を確認できてしまう。仕事は瞬時に終わるのである。

 湾岸戦争のように大量の武器をいちどに外地の末端部隊にまで配送しなければならないとき、このシステムがあるとないとでは、兵站管理の効率が段違いになるわけである。

 このシステムを売り込んでいる会社の言い分によれば、センサー端末で読み取れる距離は、数十フィートよりも短いという。
 しかしAPが独自に実験調査したところでは、手作りの安価なセンサー(背中に背負える大きさ)によって、ライフルに内臓されたRFIDの存在を、「数十フィート」よりもはるかに遠い位置から、検知できた。

 無線愛好家のハッカーは、500ドルでRFIDの探知機をつくることができ、それによって、210フィート先から探知できた。

 気の利いた敵軍なら、「数マイル」先からでもこの信号は検知できると推定できた。

 海兵隊は過去に演習で実験している。このRFIDを小銃に内臓していたらどんなことになるか。2018-12に南加州の砂漠の訓練場において、なんと、戦車の中にその小銃が置いてあっても、敵軍には、信号がパッシヴに受信できてしまうことがわかった。こっちが敵を不意打ちしてやろうと思っても、敵はRFIDが発する電波によってこっちの所在と動静を、目で見ぬうちから察知してしまうのである。

 次。
 Seth Robson 記者による2021-9-29記事「Russian fighter jets intercept US bomber near disputed island north of Japan」。
    択捉島に近いオホーツク海上で、1機のB-52Hが、9月26日早朝、3機のスホイ35Sによってインターセプトを受けた。ロシアが報道した。

 ※日本語では「エトロフ」というが、英語では「イトゥラップ(Iturup)」と表記する。これはわたしの持論だが「tu」という発音は、石器時代から、太平洋全域で「島」の意味で通用していたのだと思う。本朝の「いと国」「つしま」すべて然り。南洋の「ツバル」、アリューシャンの「アッツ」また然り。

 次。
 Ankit Panda 記者による記事「North Korea’s New ‘Hypersonic Missile’: Not a Game Changer Just Yet」。
    ロシアのICBM級のHGVである「アヴァンガルド」や、中共の戦域級のHGVである「東風17」は、米軍の「SM-3」によっては迎撃ができない。ミッドコースが読めないからである。

 しかし、ミッドコースではなく、着弾点でまちかまえて、ターミナル・フェイズで迎撃する方法は、いくらでもあり得る。ターミナル迎撃なら、飛来物が弾道弾でも高速巡航ミサイルでもHGVでも関係がないのである。
 ※超低速&低空の自爆UAVスウォームだけが対処に困る。

 北鮮が、敵国のBMDを凌駕しようと思ったら、「飽和攻撃」すればいいだけ。その方法はすでにある。中距離ミサイルを複数弾頭化したり、中距離ミサイルの数そのものを増やせばいい。

 ※北鮮版のハイパーソニック滑空弾とやらが、日本のBMDを飽和できる安価な手段になるのかどうかがこれから問われるということ。そもそもHGVに核弾頭を搭載するほどの「小型化」技術が北鮮には無いので、いまのところはほったらかしでも大禍がない。全国各地の原発建屋を破壊されると日本は困るが、その事態は、韓国海軍フリゲートが普通に装備する短距離艦隊空ミサイル(艦隊地ミサイルではなく)によっても、いままででも、いつでも簡単に起き得たのであるとわたしは昔から口を酸っぱくして警告し続けている。つまり、日本人の安全度or危険度は、フクイチ前から、変わってない。