「ベンチャーが企画し、老舗大手企業が後援する」という分業の兵器開発スタイルにしないと、日本は韓国にも敗れるだろう。

 Julia Zaltzman 記者による2021-10-24記事「Demand for Private Submersibles Is Soaring. Here’s What It’s Like to Take One on an Underwater Dive.」
    「トライトン 3300/3」という、市販されている1人乗りのプライベート潜水艇。アクリル・キャノピー越しに360度の水中風景を満喫できる。泳げない人でも。

 これで、許容潜航深度は3300フィートである。
 愛用者は多く、たとえばBBCの『ブルー・プラネット II』ではアッテンボローがこれを操縦していた。

 連続45分の潜航は安全である。

 こうしたミニサブが成熟してきたおかげで、ヨットを所有する金持ちたちは、そのヨットにミニサブを収容するスペースを付属させるようになった。潜航ポイントまではヨットで行き、そこから潜るのが便利なのだ。

 値段は安くない。『3300/3』は1隻380万ドルする。
 ライバル・メーカー「Uボート・ワークス」社の製品である『スーパー・ヨット・サブ 3』だと290万ドル。

 趣味の海中観光だけが普及原因ではない。こうしたミニサブを使うと、水中考古学で成果を出したい人、新種の海底生物を発見したい人などの、研究がはかどるのである。

 カリブ海のオランダ領であるキュラソー島に、「スーパーヨットサブ3」の操縦教習所がある。深度500フィートで90分ほど。同艇は最大で1000フィートくらい潜れる。

 ただし深さが増すごとに太陽光線が届かなくなり暗くなるので、レジャー目的で何百mも潜る人は少ない。
 艇には前照灯がついているので、海底を照らすことはできる。
 「スーパーヨットサブ3」の水中の最大速力は3ノット。

 10分ごとに操縦者が「生きている」反応がないと、マシンが自動的に艇を浮上させる安全機能がついている。また水上との通信はケーブルを使わずに確保できるという。

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 Alessandra Giovanzanti 記者による2021-10-22記事「ADEX 2021: Korean Air signs MOU with Insitu to develop VTOL UAV」。
   大韓航空はボーイングの子会社のインシツとMOU(合意メモ)を取り交わした。垂直に離着陸して、固定翼で巡航する、あたらしい無人機を共同で開発することについての。

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 AFPの2021-10-24記事「Self-driving race cars make history in Indianapolis」。
    インディアナポリスで土曜日、無人操縦自動車だけが参加するタイムトライヤルのイベントがあり、ミュンヘン工科大学チームが出走させた車体が、平均時速218kmでスピードウェイのコースを完走し、優勝した。路面はウェットだった。
 彼らは賞金100万ドルを手にした。

 ただしある出走車は23万ドルで製造されていた。そこに搭載されている最新技術を合計すると100万ドルでは足が出るのである。このレースは個人の遊びではなく、欧州の複数の研究機関が参戦している。

 今回はいちどに1台ずつ走らせるタイムトライヤル形式になった。直前まで、全車を一斉に走らせるつもりだったのだが。

 今回と同じ参戦者の顔ぶれで、来年1月に、ラスヴェガスでまた無人車のレースを開催するであろう。

 ※無人車競走は、午前中にタイムラップを1台ずつ公開で計測し、同日の午後に、あらためて、出走車を全車一斉にスタートさせて着順を競わせるという方式にするのがよいだろう。そうするならば、他車の不具合や意図的妨害に巻き込まれて、観衆の前で本来の「実力」を示せないというリスクは半減されるから。この保証がないと、参戦メーカーにはリスクのほうが大きくなってしまうだろう。

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 Julia Jones 記者による2021-10-24記事「Assistant director on ‘Rust’ was subject of complaints dating back to 2019」。
    話題の空砲殺傷事件だが、背景として、札付きの助監督の存在が名指しされている。デイヴ・ホールズ氏だ。
 とにかく銃器や火薬に関する安全規則を守らず、撮影現場ではセクハラまでしているので悪名高かったという。

 今回の事件で、アレック・ボールドウィンに実弾入りの銃を手渡したのが、ホールズ。
 そのさいホールズは、空砲すらも入っていない銃を意味する「コールド・ガン」と言って、渡したのだという。

 小道具銃のメーカー・兼・特殊効果用の火薬取り扱い免許をもっている会社の人による証言。Huluで「イントゥー・ザ・ダーク」というシリーズを2019-2~3月に撮影した。そのときホールズは、撮影開始前の安全確認会議を開こうとせず、また、危険な銃器が現場に存在することの注意喚起を現場の誰に対してもしないことがしばしばあった。それは必ず警告するというのが当然のしきたりなのに。

 助監督が火器についてがさつなので、臨場した小道具係が助監督にいちいち注意を促す必要があったと。

 火器や火薬を使用する現場には、メディックも配置しなくてはいけない。

 ホールズはCNNの取材要求に応じていない。

 ホールズは、ロケ地に嵐が通過して地上の照明配線がショートしそうな状況でも、その危険にはかまわずに撮影を続けさせようとしたという。

 またホールズは、撮影現場の女の背中、ウエスト、肩に無遠慮に手を触れてくるので悪名高かったと。

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 Marco della Cava 記者による2021-10-24記事「Gun safety protocols are rigid on film and TV sets. This ‘should never have happened.’」。
    この業界は狭い。全員が知り合いだ。だから皆、怒っている。撮影の現場には、「実弾」は1発でも存在してはいけないんだ。

 薬室にタマが入っていないかどうか、アーマラーは細い棒を通して確かめる。
 そしてアーマラーが小道具係にその銃を渡す。
 小道具係も、もういちど、銃の安全状態を点検する。
 そしてケースに収納して、撮影現場に持ち込む。

 撮影現場では、まったく同じ手順がもういちど、反復される。その点検には、助監督が立ち会う。

 リハーサルの段階では、ゴム銃を役者にもたせるのが普通である。
 本番撮影で、真銃を使うように監督が求めた場合のみ、真銃が持ち込まれる。

 そこで、小道具係もしくはアーマラーが空砲を装填するのだが、その空砲は、役者が発砲するつもりである回数よりも1発たりとも余分に装填することはしない。

 空砲が装填された銃を役者に手渡すときに、助監督(ファースト)が「ガンズホット」(この銃は装填されているぞ)と叫ぶのがなわわしである。

 役者が銃を手にしたあとで、さらに監督が照明をいじったりして、間があくことがある。そのようなとき、アーマラーは、その装填銃をいったん回収する。役者に、手持ち無沙汰に持たせておいたままでは、いけないのである。

 発砲シーンの撮影が済んだら、小道具係はまた銃を点検しなければならぬ。残弾がないかどうか。

 発砲のシーンでも、監督が役者に「シュート・オフ・アクシス」(射軸逸らし射ち)を命ずることがある。これは、銃先(つつさき)を微妙に、標的とされた役者の人体からわずかに外して引き金を引くことを言う。万一、実弾や異物が飛び出してしまったとしても、あるいは発射ガスが異常に猛烈でも、これなら誰も死なずに済むわけだ。画面の上では、観客には、銃のボアサイトが少しずれていることなど、分かりはしない。

 役者がカメラの方角に向けて銃器を発射するシーンを撮影するときには、そのカメラのレンズの前だけに開放穴をあけた、プレクシグラスの防弾板により、カメラマンの安全措置を講ずる。空砲ガスでも危険だからである。カメラマンは防弾ヴェストやヘルメットやゴーグル等を着装していることが推奨されるが、もし、銃口からカメラまでの距離が15フィート以内であるときには、もはやカメラのそばにいてはならない。撮影はリモコンでなされるべきである。

 馬からころげ落ちた役者の銃口に泥がついたように見えたら、もうその次の発砲をさせてはならない。泥が弾丸の代わりに飛び出して、前方の人馬を傷つけるからである。

 もし、集団が火器を乱射乱撃しているところに主役が敢えて飛び込んでくる、というシーンがあったら、アーマラーは監督に「これはCGでやってください」と言わねばならない。空砲の入った小道具銃でそんなシーンを撮影させてはならない。