今、狙い目の「ニッチ」ロボットは、木登りスナイパーだ!

 狙撃犬ロボットが開発されたのなら、狙撃猿ロボットもあっていい筈……と思ってユーチューブで探してみたところ、「木登りロボット(tree-climbing robot)」の分野は、数年前からぜんぜん進化していないらしいことを確認して、あらためて驚いた。

 とっくに、洗練された製品が市販されているかと思ったのだが、老舗のボストンダイナミクス社も、あちこちの大学研究室も、見放してしまったのか、改良・改善のヤル気を見せていない。

 とくに、一抱え以上ある大樹の根元からよじのぼり、複雑に枝分かれした梢近くまで自力で這い進める、汎用のマシンは皆無と見えた。

 だとすれば、まさに防衛省はこの分野に注力すべきであろう。

 「狙撃犬ロボット」は、攻撃軍側が使用するのに適している。

 それに対して「狙撃猿ロボット」は、防御軍側で使用するのに適しているからだ。

 「狙撃猿ロボット」には、木の皮を使って厳重なカモフラ擬装を纏わせねばならない。
 その狙撃ロボットを、敵が浸透して来そうな樹林内に点在させておく。樹上の無人監視者・兼・狙撃兵として。

 敵はある段階でこの樹上の狙撃者に気づく。その段階で、ゲリコマによる浸透作戦は、諦められる。

 なぜなら、全部で何体が配置されているか不明の「狙撃猿」をすっかり駆除するためには、その樹林帯ぜんたいに砲爆撃を加えて、裸地になるまで樹木を吹き飛ばしてしまう以外に、方法はないからである。

 防御側では、真の「狙撃猿ロボット」の他に、狙撃猿ロボットのように見えないでもない「デコイ猿」を、あちこちの樹上にひっかけておくことができる。もちろん「デコイ猿」にも、樹皮等をかぶせて、適度に偽装してやるのである。

 敵側からでは、この「デコイ猿」と、ホンモノの「狙撃猿ロボット」の、区別などつかない。

 もし民間企業でこうした「狙撃猿ロボット」を開発しようとするなら、まずひとつ前の段階として、「烏の巣破壊ロボット」をこしらえるのが、合理的なアプローチになるだろう。
 一般市場の需要が大きいからだ。

 自律的に自然樹木によじのぼり、巣を「占拠」してしまい、玩具のエアソフトガンや、スプレー、非殺傷性のレーザー等によって営巣カラスにイヤガラセする。最後にオペレーターが下からロープを引っ張れば、しがみついている巣ごと、落下する。

 この商品をじゅうぶんに洗練させた上で、軍用の「狙撃猿ロボット」にスケールアップするのなら、きっとうまくいくだろう。