なぜ三重県の神主はこう言わなかったのだろうか。――「その200円のお賽銭は、わたしがあげたのです。四十郎さん、なぜ貴方は、ここにあるいちばん価値のあるものを持って行かれなかったのですか?」

 ミリエル司教のたった一言の中に、作者ユゴーは、《銀の燭台などよりも、キリストの教えの方が数万倍も価値がある》と示唆させた。荒んだ心の持ち主ヴァルジャンはその意味に気づいたのでハッとして、46歳にして改心するのである。人々を助けるために余生を生きなければならない、と。

 ここは、邦訳ではちっとも伝わらない機微だろう。

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 Markus Mannheim 記者による2021-12-11記事「Wing resumes drone deliveries in Canberra after raven attacks forced pause during nesting season」。

 キャンベラ市で、VTOL+固定翼巡航のドローンで商品(調理済み食品、ホットドリンク、薬品、雑貨)を届けるビジネスが、南半球の烏の営巣期に重なってしまい、野鳥保護団体から文句を言われるため、休業を余儀なくされている。

 会社でも野鳥専門家を雇い、危険性のないことのPRに躍起。

 だが保護団体は、ドローンビジネスと野鳥保護は両立できないとかたくなに叫んでいる。

 キャンベラを手始めにビジネスを全豪まで展開しようとしていた会社は、いきなり大障害に直面した。

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 本日《note》にアップロードしました《続・読書余論》の最新コンテンツは、坂部護郎・著『戰争秘録 將軍長岡外史』です。
 https://note.com/187326mg/ をごらんください。


★《続・読書余論》 坂部護郎『戰争秘録 將軍長岡外史』昭和16年刊