最新の《note》 https://note.com/187326mg/  は、明治27年刊の『鴉片戰史』です。

 おまけとして、『明治維新史研究』、『藩學史談』、ジョゼフ・スティルウェル将軍の『中国日記』、小島直記著『洋上の点――森恪という存在』、防研史料の『支那事変教訓』などなど多数の摘録とコメントを併載。

 対支戦を考える人にとっては、「福袋」級にお買い得でしょう!

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 Brent M. Eastwood 記者による2022-1-1記事「M32A1: The US Marines’ Multi-Shot Grenade Launcher Is Truly Wicked」。
   もともと南アフリカで1980年代に開発されたものである。米海兵隊はM32A1を2005年にテストして気に入り、2006年に9000梃を発注した。

 40ミリ擲弾の弾薬には中初速型と低初速型とがあるのだが、この火器は、どちらも問題なく装填して発射できる。
 中初速型だとレンジは875ヤード、低初速型だと437ヤード先に擲弾を落とせる。

 テフロン・ニッケル皮膜でコーティング仕上げされているので、発射薬の残滓がこびりつきにくく、焼蝕も抑制する。
 ピカティニー・レール付きも注文できる。さすればレーザー測遠機が内臓された照準器を後付けできるわけ。
 この火器、6発装填状態で、重さが18.4ポンドになる。しかもずんぐりしているので、M4カービンといっしょに持ち歩くのには適さない。

 米海兵隊は、40ミリ擲弾と同じ発射機を共有できる「ドローン40」という偵察手段を取得するつもり。発射されると空中でマルチコプターになり、そこから1時間、およそ12マイルを飛び回って、隊員のスマホに画像を伝送してくれる。操縦信号もスマホから送るのである。
 また「ドローン40」は空中から煙幕を展張させる役も担うという。もちろん「自爆機」にもなる。

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 John Anthony Miller 記者による2018-12-11記事「Silent Partners ? Five Neutral Nations That Still Took Part In WW2」。
   ドイツは1940-4にノルウェーに攻め込み、ソ連は1ヵ月後にフィンランドを侵略した。
 スウェーデンはWWII中に、ドイツから中立をゆるされた。ただしドイツが対ソ戦を始めた1941夏、スウェーデン国内の鉄道をドイツ軍のために貸さねばならなかった。
 またドイツ兵がノルウェーから撤退するときも、スウェーデンが国内通過を許可している。

 アイスランドはどの陣営にも属さなかったが、先にドイツにとられてはいかんというのでイギリスが武力占領した。そののち、米軍も駐屯している。

 1943にドイツがデンマーク国内のユダヤ人全員(8000人)を国外追放したとき、スウェーデンが難民を受け入れた。

 スウェーデンはその国内で、ノルウェーとデンマークのパイロットに訓練の便宜を図っている。彼らはそれぞれドイツ軍を自国内から追い出すための作戦に参加した。

 スペインのフランコ政権はドイツのおかげで成立している。しかし長期の内戦の痛手をひきずっていたからドイツに加担しての正式参戦は断った。さりながらジブラルタルを英国に占領されている恨みから英国が負ければいいとは思っていた。フランコは東部戦線のドイツ軍を助けるためにスペイン兵からなる1個連隊を差し出している。ソ連はスペイン内戦で反フランコを応援していて、事実上の敵国だった。英国はスペインが実力でジブラルタルを回収しようとしては困るため、スペインのすることに目をつぶるしかなかった。

 ただし、スペイン内戦中に反フランコ側であった人々を、英国は、ドイツに対する偽情報提供者として有効に駆使している。

 スイスはドイツから石炭を輸入する必要がどうしてもあったのと、ドイツ軍が本気で攻め込んできたらその銀行を守ることはできないので、ドイツ寄りの中立を続けた。
 じつはヒトラーは、英国攻略の前にスイス占領を一時、考えていた。

 イタリアとドイツは、スイス領内を通過する鉄道によって、戦争中も、結ばれていた。

 ※今また、すごいアルプス縦貫トンネルが掘られていて、この鉄道が開通すれば欧州のトラック輸送の必要もぐっと減るから環境政策的に正しいと持ち上げられている。日本政府は浦賀水道の下に貨物鉄道専用の海底トンネルを掘ったらどうだ?

 サラザールの独裁政権下にあったポルトガルも中立を保った。同国内にはタングステンが産出し、それはボールベアリングその他の硬度の高い合金に不可欠なレアメタルだった。
 ポルトガルは、ドイツにも連合国にも、タングステンを売った。その代金はゴールドで受け取った。

 同国にはあらゆる政治亡命者が集まった。旧貴族の資産家も多かった。
 それで、リスボン郊外のエストリルが、戦時情報収集のメッカとなった。カジノで有名な町である。

 おそらく、滞在者の中で最も有名なのが、イアン・フレミングである。彼が描写したスパイの主人公はどうしてしょっちゅうすぐにカジノへ入り浸ろうとするのか? それは、エストリルでフレミングが毎日見ていた光景だったからという理由以外には、なにもないのである。戦争中は、他には娯楽はなかったのだ。スパイがギャンブル中毒でなければならぬ必然性など勿論どこにもない。

 ちなみにフレミングの正式の立場は英海軍の情報将校で、その名も「ゴールデンアイ作戦」という情報収集任務を与えられていた。

 英国の最大の関心は、スペインがドイツの仲間になってジブラルタルを回収しようとしないかどうかだった。フレミングはその噂を、隣国のリスボンで集めなさいと命じられていたのだ。

 ゆえに彼が戦後に書いた最初のジェームズ・ボンド小説が『カジノ・ロワイヤル』なのである。
 エストリルのカジノにいつも若い女連れであらわれるユーゴスラビア国籍の二重スパイが実在し、フレミングはそこから主人公のキャラクターを造形した。

 ポルトガルと英国の関係は、ナポレオン戦争時代から深い。だから公式には中立が標榜されたものの、ポルトガル領土のアゾレス諸島は英米軍のASW基地として貸し出されている。


★《続・読書余論》松井廣吉『英清 鴉片戰史』明治27年刊