ミニミとは軍司令官を意味するラテン語。司令官は小さいことにはこだわらない。――de minimis non curat praetor

 Brett Tingley 記者による2022-1-5記事「Air Force’s Small Telescope Tech Will Help Detect Enemy Satellites Sneaking Up On Friendly Ones」。
   米空軍が衛星監視用に採用していて、その性能は秘密であった光学望遠鏡が、レンズ径が1.5mしかないのに、すごい性能なので、人々は驚いた。

 よくある天文台にあるような巨大望遠鏡でもないのに、ここまで見えるのだと。

 ただし、この望遠鏡はいちおう基地固定式。「スターファイア・オプティカル・レンジ」といい、ニューメキシコ州のカートランド空軍基地内にある。

 公開された画像は、小惑星のカリオペの回りを廻るリヌス。径30kmで、カリオペからは1100km離隔しており、公転周期は3.6日である。

 カリオペは、火星と木星の軌道の中間の小惑星帯内にある。

 カートランドにある望遠鏡はこれ一つではない。多数の望遠鏡でLEO衛星を監視し続けているのだ。
 ロシアや中共により、米国衛星に対する偽装攻撃、妨害、ハッキング、イヤガラセ、異常接近は、日常的に起きている。そのすべてが報道されてないだけ。

 このようなクッキリ撮像が可能になったのは、地球大気の悪影響である「ゆがみボケ」を、形状可変レンズで補正し除去することができるようになったおかげなのである。

 その補正にさいしては、レーザー光線を「基準星」として用いる。

 この光学補正技術は冷戦期から研究開発がスタートし、90年代まではその存在すら世間に対して秘匿されていた。

 すなわち、地上のレーザー砲台から強烈なレーザー光線を上空に向けて発射して、それを味方のLEO衛星のミラーによって反射し、飛来するソ連の核バスを破壊しようというSDI計画の一環として、このミラー補正ソフトウェアは考えられた。つまりレーザーが大気を抜けてくるあいだに攪乱がおきてしまって、コヒレントな光束ではなくなってしまう。それだと弱いので、反射ミラーにおいてなんとか補正してやり、再びコヒレントな光束に戻した上で、その強力な光線を敵バスに照射したかった。

 こんな研究のスピンアウトとして、光学式宇宙撮像の革命が実現したというわけなのさ。

 ちなみに、今は機能停止しているが、プエルトリコにあるアレシボ電波望遠鏡も、元来、国防用だった。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2022-1-5記事「Russian-Led ‘Peacekeeping Force’ To Deploy To Kazakhstan In Response To Unrest」。
   集団安全条約機構CSTOは、アルメニア、ベラルーシ、カザフ、キルギス、ロシア、タジクからなる。 2009以降、国内の治安維持目的であっても、互いに軍隊を呼び込めるように決めている。

 2012にまずキルギスタンがこの隣国援兵を呼び入れている。
 ついで2021にアルメニアが、アゼルバイジャンとの戦争でCSTOに頼ろうとした。そして、停戦線を保証するため、露軍が配置についている。

 反政府暴動をまとめている、カザフスタンの「人民委員会」からの要求。
 食料品の値段を下げろ。
 燃料の値段を下げろ。
 老齢年金支給開始年齢を60歳から58歳へ前倒ししろ。
 拘置所や刑務所から政治犯を釈放しろ。
 労働者の賃金を上げろ。
 国営企業を潰せ。
 政府閣僚全員は辞任せよ。

 警備の焦点は空港である。空港が使えないとロシア軍を招致できないし、大統領や前大統領が逃亡するにも困るから。

 ※1992年4月、わたしは「戦車マガジン」の記者として最終末期のソ連に取材出張した。モスクワからサンクトペテルブルグに向う夜行列車の中で、あるロシア人のインテリおばさんから、こんな話を聞かされた。カザフスタンの大統領はとんでもなく腐敗しているんだ、と。雑談の中での唐突な強調であった。前後の関連情報はゼロ。だからこそ奇妙に覚えている。これはナザルバエフのことだったのだろうかと思い、ウィキペディアを見たところ、どうもそれ以外にない。いったいどこがどう腐敗していたのか、いまさらながらに、知りたい。