日露戦争のグローバルな勝敗因を再確認したい人は、『亡びゆく中国の最期の悪あがきから日本をどう守るか』の第一章を見よう!

 Edward Goldberg 記者による2022-1-24記事「Moscow Should Remember the Russo-Japanese War」。
   ケロッグはインドでも、つめたいミルクと混ぜるシリアルが売れるだろうと思い込んだ。ところがインドでは、誰もが冷たいミルクを意図的に避ける。※食中毒を回避する知恵。

 パリにユーロディズニーを開設したとき、愚かにも場内でワインを出すことを禁じて大不評。

 企業は、このような失敗から学び、すぐに路線を修正する。だが、国家はそうはいかない。
 ロシアは、日露戦争の誤りを繰り返そうとしている。

 ロシア人は、じぶんたちの国を「第三ローマ」だと信じる。ロシアの専制君主がモデルにするのも、4世紀の東西ローマ帝国統一者にしてキリスト教擁護者であり晩年は恐怖政治を敷いたコンスタンティヌス1世なのである。
 こうした妄想的な自己イメージのために、国家は非合理的な戦争にしばしばのめりこむ。

 ※膨張主義国家はなぜ膨張するか—は、「ベルクマンの法則」から類推しやすい。恒温動物は体重を重くすると大きくなるが、その体重の増加よりも体表面積の増加の率が小さくなるので、体内で産生した貴重な熱が逃げにくくなる。よって寒冷地の熊ほど、おなじ熊でも、よりサイズが巨大化するのが合理的である。いつくかの条件の下では、この「体重 vs.体表面積」を、「面積 vs.国境線の長さ」に置換して考えられる国家があり、それが膨張主義国家になる。その「いくつかの条件」のひとつとして、「北側国境からは敵に攻め込まれない」があると私は思う。したがって西側自由主義勢力が「プーチン後」のロシアの再膨張を防遏したくば、「北極圏聯合海兵隊」の建設が有意義だ。米国がコーストガード所管の砕氷船の更新・増強を顧みないのは、この知見が無いことを示す。そしてロシアが世界最大の原子力砕氷船艦隊を鋭意整備し続けているのは、この知見があることを暗示する。米国はとりあえず、北極圏の「兵員輸送」に特化した原潜を設計するといい。

 ロシアにとって真の脅威は中共だ。ロシアのGDPはいまやスペインよりもちょっと大きいというレベルまでシュリンクした。スペインが中共相手に長期戦ができようか? しかもロシアの歳入の頼みの綱である原油は、長期的に資産価値が低下中。

 ※とつぜん思い出したが、昔、サンケイ第2次大戦ブックス という叢書があったでしょう。死んだ親父はあれを全冊、買っていた。それで、とうじ中学生だった私は、そこに挟まっている切手不要の「読者ハガキ」に「日清・日露戦争もとりあげてくれ」と、いつも書いては投函していた。今、考えると、シリーズタイトルが「第2次大戦」なんだから、日露戦争なんてまったくお門違いもいいところじゃねえか(笑)。ところが、シリーズの終結近くになって、「別冊」と銘打って、日本海海戦の本が本当に出やがった。版元をしてあれを実現させたのが、俺のハガキじゃないとしたなら、何? これぞ「ビンの口現象」、というやつだ。おそるべし……。

 次。
 FRANK JORDANS 記者による2022-1-25記事「German caution on arms to Ukraine rooted in history, energy」。
    ドイツ政府は、エストニアが、その〔旧東独軍装備であった?〕の古い野砲〔牽引式で三脚を使用して360度の対戦車戦闘ができる122ミリ長カノンのD-30らしい。つまり製造元はロシア?〕をウクライナにプレゼントしたいという意向を拒絶した。

 ショルツ首相は、最終決定ではない、と誤魔化しているが。

 ドイツの海軍軍令部総長〔とは呼ばないらしいが〕のシェーンバッハ提督は、対支の同盟者としてロシアを重視すべきであるという考えで、そこまではまだ分かるとして、金曜日にインドで開かれたシンクタンクの席上(それはビデオが公開された)、プーチンはリスペクトを欲しているのだからそれをくれてやれ、そんなのは只だから安い、と口走り、さらに、クリミアはもう二度とウクライナには戻らないんだからみんな諦めろよ、とまで踏み込み、ただちに馘になった(公式には、自分から解職を首相に申し入れた)。



亡びゆく中国の最期の悪あがきから日本をどう守るか 国防秘策としてのプロスペクト理論