冬季五輪中にプーチンが戦争を始めた場合、北鮮は便乗して核実験するので、しばらく「風向」の気象情報が気になる。

 Alison Bath 記者による2022-1-28記事「US Navy and NATO presence in the Black Sea has fallen since Russia took part of Ukraine, figures show」。
    黒海の軍艦パトロールは伝統的に米海軍が担任してきたが、プーチンがクリミアを占領した2014以降、そのプレゼンスはすっかり落ち込んでいる。然るに米政府は、米艦隊のプレゼンスはステップアップしている、などと詭弁を弄してきた。

 イスタンブールに「Turkishnavy.net」というサイトがあり、ここが、黒海で各国の軍艦が何をしているか、すべて調べ上げてくれている。それによると2014年には米艦は総計210日、そこに所在したのに、2016年には58日に著減している。

 2021年だけ見ると、第六艦隊の旗艦『マウント・ウィトニー』を初め、12隻の米艦が、合計182日以上、黒海をパトロールした。

 駆逐艦『アーレイ・バーク』は2021-11-25に黒海に入り、ルーマニアのコンスタンタ港、ブルガリアのヴァルナ港に寄港し、21日間、黒海に所在して、出て行った。

 ドイツ海軍、ポーランド海軍、オランダ海軍は、2014から2021まで、黒海に入っていない。

 この結果、ますますプーチンがつけあがってしまった。
 脅かせば敵は引っ込む、と信ずるようになったのだ。

 スペイン海軍は健闘している。2021の1年間に、黒海に軍艦を92日間、派遣した。
 英海軍は61日である。イタリア海軍は52日。

 ギリシャとフランスも昨年は黒海に3回、軍艦を乗り入れた。
 しかるにドイツ軍艦は2021年には1隻も黒海に入っていない。2020年だと11日だ。

 ※これでは独海軍の制服ボスが「自爆引退」したくなったのも頷ける。黒海に入ることじたい、怖いのだ。

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 Brent M. Eastwood 記者による2022-1-28記事「Russia Has Big Plans to Upgrade Its Nuclear Missile Forces」。
    露軍のICBMについて。
 「RS-28 サルマト」は、冷戦末期の重ICBM「SS-18」の後継である。液燃二段でサイロ収納。
 SS-18は10個MIRVだったから、サルマトもそのくらいだろう。
 ところがサルマトの完成が遅れている。予定では2021に実戦配備予定だったのに。プーチンはイライラしているだろう。

 「RS-24 ヤルス」は、サイロからも、また、16軸運搬車からも、発射できる、固体燃料式ICBMだ。「トポル-M」を改良した。MIRVは3個から10個だろう。それぞれが300キロトンの水爆弾頭。発射位置の確定にはGLONASSの電波を使う。発射は7分で手順が終わる。
 すでに2010には実戦配備についている。

 露軍は、対米戦争になったらSSBNもサイロもぜんぶやられると知っている。だからこの車載機動式ICBMが「第二撃」の真打なのである。

 「ヤルス」用の機動運搬車(ラーンチャー兼)は135両くらいある。

 ロシアの近年のパターンは決まっている。通常戦力で隣国に侵攻すると同時に、車両移動式の戦術核ミサイルを前進させ、NATOが反撃するなら核戦争だ、と脅すのである。同時に、ICBMを「試射」して、その脅しを強化する。

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 Thomas Newdick 記者による2022-1-26記事「An Air Stewardess Fell 33,000 Feet And Lived To Tell The Tale 50 Years Ago Today」。
   飛行機が墜落したが命が助かった、高度記録の保持者は、スチュワーデスのヴェスナ・ヴロヴィックさん。1972年1月26日に乗務していたDC-9が爆破され、高度3万3000フィートから墜落したが、チェコスロバキアの山の中に落ちた機体後部の中央で、生きているのが発見された。

 機体はユーゴスラビア航空の所有で、クロアチアのテロリストがストックホルムで乗ったときに手荷物入れに爆弾を仕掛けて、コペンハーゲンで降りたのだと疑われている。
 飛行機は、ストックホルムを離陸して、コペンハーゲン、ザグレブ経由、ベルグラードへ向かう便。爆弾は、機が東独の国境を抜けるあたりで爆発した。
 そのスチュワーデスはセルビア人だった。

 ヴロヴィックは機内食事サービスの手押し車を押しているところだったようだ。
 背骨2箇所を含め、ほぼ全身を骨折。しかし意識はあり、暗夜、その声が、救援隊に混じっていた木こりの耳に聞こえたのである。

 病院に搬送されたところで意識を失い、それから1ヵ月間、昏睡状態だった。一時は下半身も麻痺していたものの、奇跡的に全快。同じ航空会社のデスクワークに復職している。

 第二次大戦中、高度2万2000フィートからパラシュートなしで飛び出したソ連人のクルーが、雪がクッションとなって助かったケースがある。
 同じく先の大戦中、高度1万8000フィートから落下傘なしで飛び出した英爆撃機のクルーが、樹木と雪がクッションになって助かったケースがある。

 1972事件の原因解明がうやむやになっているのは、当時のチェコスロバキア政府が証拠をクリーンにしてしまったため。
 それゆえ、事故についての異説が多い。何かの理由で旅客機は低空を飛ぶように指示されていて、混乱したチェコ戦闘機が低空でそれを撃墜した、とか。低空だから人が生存できた、というわけである。

 ※高空から落ちたか低空から落ちたかは、デブリの散乱パターンを見ればすぐにわかり、隠せることじゃないはずだ。

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 2022-1-28記事「UCF to lead $10m NASA project to develop zero-carbon jet engines」。
   ゼロカーボンの航空用ジェットエンジンのために水素燃料を使うという案は、感心できない。
 というのは、それでは世界中の空港に、液体水素を取り扱うための途方もない追加投資が必要になってしまうので。

 そんなわけで米国は、まず既存のジェット燃料を、アンモニア燃料に変えていく。

 フロリダ中央大学などが取り組んでいる。液体アンモニアを航空燃料に使うのが最も有望だ。既製のタンクが流用できるから。

 アンモニア分子は、窒素原子1個と水素原子3個からできている。この水素原子3個が、クリーンに燃えてくれる。

 しかし燃焼過程で酸化窒素もできるだろう。これは公害物質なので、触媒によって取り除いてから排出させる。