《note》の最新Upは、「弾薬補給に関する摘録集」「ダーウィン著『種の起源』」「化学兵器と防毒 特集」の三本です。

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 R. B. Watts 記者による2022-2-15記事「Poor History and Failed Paradigms: Flawed Naval Strategy and Learning the Wrong Lessons from a Century of Conflict」。

 マハン理論はWWIのユトランド海戦という反証によって破綻している。史上最大の海戦は、すこしも決定的ではなかった。

 しかしいまだに米海軍の主流は、マハン型の海軍を追求し続けている。このままでは中共に逆にしてやられるだけだろう。

 WWIIの大西洋海面は、小型艦が主役となる戦争だった。相手はUボートだった。非マハン型の戦争だった。
 今日、対支の参考になるのはこの大西洋の海戦史であって、太平洋の海戦史ではない。こんなことが提督たちには分からないのだ。

 対潜作戦には大型空母は貢献しない。それは大西洋の戦いで学習されていたこと。にもかかわらず戦後の米海軍は大型空母中心の無駄な投資を続けた。

 旧冷戦中の対ソの海軍構築もまちがっていたし、現今の対支の海軍構築も、まちがっているのである。

 海では、「じっさいに直面している敵」(リアルの中共海軍)を考えなければいけない。米海軍の提督たちが夢に描く「直面したい敵」(過去の日本海軍のような愉快な敵海軍)ではなくて。

 空母によって大陸国家/沿岸国家を攻撃することぐらい「非決定的」な戦法もない。それはベトナム、イラク、アフガニスタンで幾度も証明されているのである。

 こっちからの攻撃(艦上機による対支空爆)は少しも決定的にはなり得ないのに、敵の超音速ミサイルや魚雷(2006に『キティホーク』を1回支那潜は「撃沈」した)によって米海軍の正規空母が1隻でも沈められてしまえば、それは米海軍にとってとてつもないダメージである。米支角逐の未来の太平洋抗争史の上でも「決定的」になってしまうだろう。

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 Robert Zubrin 記者による2022-2-15記事「NATO Needs Ukraine」。
    ウクライナはNATOを必要としている? 違う。NATOがウクライナを必要としているのだ。なぜなら欧州でロシアを抑止するには有力な陸軍が必要であって、その有力な陸軍をもっているのがウクライナだからだ。

 1943のテヘラン会談で、チャーチルはスターリンに、ローマ法皇が戦後のポーランドに関してひとつの注文を持っている、と伝えた。その返事:「ああそうですか。で、ローマ法皇は何個師団を持っている?」。

 ロシア指導部は、陸軍が弱体である相手の言い分など、聞く耳を持っていない。

 NATOの陸軍兵力削減はクリントン政権時代から始まり、オバマ時代にはとても危険な水準に下がった。
 ライン川以東でロシア軍とわたりあえそうな陸軍は、ポーランド軍の18万人だけしかなくなっている。これではプーチンは誰の言い分も聞く必要がない。NATOに陸軍が足りていないのだ。

 ポーランドや他の東欧諸国陸軍をあわせたよりも多い、45万人の現役将兵を、ウクライナは擁している。このウクライナ陸軍を米英空軍によって対地直協してやり、さらに装備弾薬を補給してやれば、立派に露軍に対抗ができる。プーチンはもうおとなしくするしかなくなる。

 スターリングラード市をドイツ軍から防衛するのに、ソ連兵は25万人が死んでいる。そして勝利した。
 これを西部戦線のマーケットガーデン作戦と比べてみよ。たった1万5000人が死傷しただけで、英米軍は総退却した。もしソ連軍だったら、そのくらいではちっとも敗北にはむすびつかないのだ。

 欧州大陸では、陸軍の数以上にモノを言うものはないのである。

 チェコは35個師団もっていたが、英仏軍と一体になっていなかったのでヒトラーに切り取られた。
 ポーランドは39個師団もっていたが、やはり同じようにしてヒトラーの前に単独で壊滅させられた。
 欧州諸国は、侵略者の前では団結している必要があるのだ。


★《続・読書余論》 弾薬補給に関する摘録集

★《続・読書余論》ダーウィン著『種の起源』1990年刊

★《続・読書余論》 化学兵器と防毒 特集