最新の 《続・読書余論》 は、吹浦忠正著『聞き書 日本人捕虜』1987年刊・ほか です。

 《note》 https://note.com/187326mg/  をごらんください。

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 Sean Spoonts 記者による2022-2-28記事「What Do Those Letters Mean On Russian Tanks And Vehicles?」。
   ウクライナに侵略中の露軍車両には白ペンキで目立つサインが注記されている。
 米軍には今やその必要はない。敵味方識別信号が電波ベースで把握できるからだという。
 露軍はあきらかに同士討ちをおそれている。ウクライナ軍の装備と基本は同じだからだ。

 「V」とペイントされているのは、露軍の「海兵隊」所属車である。
 「Z」とペイントされているのは、露軍の「東部軍管区」から来た車両だ。
 四角枠の中にZとペイントされていれば、それは「南部軍管区(クリミア)」から来た車両だ。
 「O」とペイントされていれば、それはベラルーシから来ている。
 「X」とペイントされていれば、それはプーチンがチェチェンに育成したカディロフ軍閥の差し出した車両。
 「A」とペイントされていれば、それは露軍特殊部隊SSOの所属だ。

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 Jon Hemmerdinger 記者による2022-2-25記事「Russia-Ukraine war opens prospect of aerospace titanium shortage」。
    エアバスとボーイングを筆頭とする世界の民航機のメーカーは、困っている。チタン合金の原料の多くは、ロシアの「VSMPO-アイヴィスマ」社からの輸入なのだ。

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 Niclas Poitiers, Simone Tagliapietra, Guntram B. Wolff, and Georg Zachmann 記者による2022-2-27記事「The Kremlin’s Gas Wars」。
   EUはその輸出商品の5%をロシア市場に売っているにすぎない。それに対してロシアはその輸出商品の半分を欧州で売っている。ここに依存度の非対称がある。

 EUの経済規模は、ロシアの経済規模の10倍もある。
 ※長年米国政府が、「おまえらもっと国防費にカネ使えや!」と迫っていたのも当然だ。余裕で自衛できる資金力があるのに、何もしてこなかった。それが今日の事態を招いた。

 EU加盟国で、ロシア市場に輸出品の2割以上を買ってもらっている国はどこにもない。
 また、最も高い率でロシアに輸出している、ブルガリア、エストニア、リトアニアですら、GDPに占める金額はそれぞれ、3%、3%、6%だ。

 フランス、ドイツ、イタリアに至っては、ロシア市場では1~2%しか、輸出品を捌いていない。
 したがってロシアは、「ガス止め」以外の経済的に有力な制裁報復手段を持っていない。

 エネルギーに関しては、EUの一部の国々が、まずい立場だ。

 スペイン、ポルトガルは、ロシアからはまったくガスを買っていない。※北アフリカからのパイプライン。
 ベルギー、フランス、オランダも、ロシアからは全ガス輸入のうちの10%以下しか買っていないので、あまりコタエないだろう。
 イタリアは40%だ。
 ドイツは、50%のガスをロシアに依存している。
 オーストリー、ハンガリー、スロヴェニア、スロヴァキアは、60%のガスをロシアに依存している。
 ポーランドは、80%のガスをロシアに支配されている。
 そして優勝はブルガリア。なんとガスの100%を、ロシアから買っている。

 とりあえずブルガリアとポーランドは、エネルギーをガスに頼りすぎている経済構造を全面的に改めないと、災厄に突き進むのみだろう。

 このように悪魔にキンタマを掴ませていた自業自得といおうか、露軍が侵略戦争をスタートした2月24日のみでも、全欧の天然ガス価格は、60%値上がりした。別にロシアはガスのコックを締めてはいないのだが……。

 これで「新コロ後」の経済回復の皮算用はすべてご破算だ。電力価格の値上がりは避けられず、それはインフレを招き、家庭の購買力を殺ぎ、企業の競争力は低下してしまう。

 日本や韓国がLNGタンカーで買っている分を融通しようとしても、とてもEU需要に足りるもんじゃない。これから数年間は、どうしようもないのである。

 ※いやどうしようもある。全家庭で石炭を燃やせばいいだけ。家庭用ストーブキッチンの最新型を開発しよう。煙もCO2 もあまり出さない形式を工夫するのだ。それがこれから先、数年続く大ヒット商品になると見た。


★《続・読書余論》吹浦忠正著『聞き書 日本人捕虜』1987年刊・ほか