次は海底ケーブルの切断が来る。

 Jim Geraghty 記者による2022-3-7記事「What Breaks First in Russia’s Invasion of Ukraine?」。
   なぜキエフ北郊の1本の幹線道路に70km近い渋滞ができてしまったか。この渋滞は発生してから8日間が経過している。
 最初の渋滞ができたときに、事前の計画を変更せずに、そこにあとからあとから予定の通りにコンヴォイを送り込んでしまったから――いう説明がいちばん納得できる。
 行軍の「プランB」が、なかったのだ。

 ロシアの装輪式のトラックは、露外機動力が無い。だから幹線道路の脇を進むということもできない。これで燃料の推進が止まってしまった。

 渋滞が長期化するうちに、各車、燃料切れになり、バッテリーが上がったと考えられる。

 ウクライナは、現地の貯水調整池の水門を開けば、幹線道路以外を泥濘化させることができる。

 露軍にはトラックが足らなかったと考えられる。
 もし、ある部隊に、45マイル前進する作戦に十分なトラックがあったとする。その作戦距離が90マイルに伸ばされると、その先頭部隊は当初よりも33%少ない補給を受けることになる。もし180マイルに伸びると、当初より66%も少ない補給しか受けられない。

 今次侵略に投入された露軍のトラック数は、90マイルまでの作戦にしか、対応できない数だ。180マイル前進したくば、すべての「補給支援旅団」に400両のトラックが必要だった。露軍のトラックはその半分しかない。

 元レーサーのイゴール・シュシュコがツイッターで教えてくれていること。FSBが怒っている。プーチンと軍が阿呆な作戦を始めた、と。かりにウクライナを占領できても、戡定は無理だと。

 またいわく。FSBは、プーチンがもし対NATOの脅しとして核を爆発させるなら、その場所はウクライナ領内だと見ている、と。それは何か軍事目標の上に落とすのではなく、まったくの脅かしとしての限定爆発になるだろう。

 プーチンのボディガードは、年齢35歳以下でなくてはならず、身長は175センチから190センチでなくてはならず、体重は75kgから90kgでなくてはならない。複数の外国語が理解できなくてはならない。
 プーチンの周囲では携帯電話はまったく使えない。それは仕掛け爆弾の起爆信号のデバイスとなり得るからである。

 護衛の持っている拳銃は「グルザ」という9ミリ径で、1分間に最大40発、発射できるという。
 護衛の持っている傘はケヴラー製で、もちろん雨を防ぐためではない。

 次。
 Sarah Sicard 記者による2022-3-3記事「Calling all pirates: This US lawmaker wants you to seize Russian vessels」。
  テキサス選出の共和党議員、ランス・ゴーデンがすごい法案を提出。

 なんと「私掠船」の復活である。私掠できる対象は、ロシアの特権富豪の所有する豪華ヨットと、プライベート飛行機。

 過去、合衆国大統領が最後の私掠船の免状を発したのは、1812年の対英戦争のさいだった。

 それができるのだという根拠は合衆国憲法の「アーティクル1」だという。そこには議会の権能が列挙されている。

 次。
 indomilitary の2022-3-7記事「Vasiliy Bykov Class Stealth Patrol Vessel (Russia) Hit by Missile Attack from Ukrainian Territory」。
  デフェンスブログというブログが3月7日に書いているところによると、ロシア黒海艦隊所属の『ワシーリー・バイコフ』級のステルスコルヴェットが、ウクライナ領土から対艦ミサイルを食らったと。

 ミサイルは「RK-360MC ネプチューン」ではないかと。沿岸防御用の対艦ミサイルである。
 自重870kg。弾頭重量145kg。ポテンシャルとして、5000トン以下の軍艦なら沈められるだろう。

 推進方式は、ケロシン燃料を小型ジェットエンジンで燃やす。亜音速で130km飛翔。最新型だと300km飛ぶ。

 次。
 Kelsey Vlamis 記者による2022-3-7記事「Russia is recruiting Syrian fighters to aid in the Ukraine invasion and help take Kyiv: report」。
   すっぱぬきはWSJ。米高官が語った。
 シリア人傭兵がすでにロシア領内で訓練されていていつでもウクライナに投入され得る。

 シリア人は市街戦のプロなので、ロシアはその技術を買いたい。キエフに投入するつもりだ、と。

 報酬は、たったの200ドルから300ドルで、半年契約だという。

 ロシアは2020年にリビア内戦に投入するため数百名のシリア人を雇ったことあり。

 ※これは『WSJ』がロシア発の情報操作作戦にひっかかっている。シリア人もとっくにスレており、誰が気前の良い雇い主かということは分かっている。逆に、トルコなどに高給で雇われた、数にして数十倍のシリア人傭兵が、ウクライナ入りすると思う。トルコはこの方法で、リビア内戦においてロシア雇いの傭兵軍を撃退しているのだ。

 次。
 主に「9GAG」でみかけた雑情報。

 キエフを占領したらすぐに住民デモを鎮定できるように、ロシアの正規軍隊とは別建ての、大量の「治安維持警察部隊」がベラルーシからトラックで送り込まれたが、この憲兵軍の士気が低い。外国の領土でロシアの国内法に基づいた警察活動ができるわけがないことをよく知っているからだ。なお、ベラルーシに入った時点で全員がスマホを取り上げられていたという。

 ロシア空軍には精密誘導爆弾のストックが無いので、無誘導爆弾を正確に当てようと思ったら、相当の低空を飛ぶしかない。ところがチェチェンやシリアと違って、敵地上軍はSAMを持っているのである。
 露空軍は同時に4機以上を飛ばす訓練をこれまでほとんどしていなかったという。
 露空軍機の無線がアナログというのは本当だった。交話はすべて地上でウクライナ人によってモニターされている。

 南部の大河に架かった橋のウクライナ側橋頭堡の道路に沿った、地上部隊同士のこぜりあいを、住民のウクライナ人がドローンで延々と撮影している(それもロシア兵サイドの頭上から)。この戦いが酷い。小学生同士の戦争かというレベルだ。ウクライナ側は4×4装甲車を持っているが、露軍歩兵はそれを攻撃するRPGを持っておらず、手榴弾ばかり投げている。その手榴弾でウクライナ側はタジタジである。かたやウクライナ側も重火器は使っていない。ウクライナ側はあきらかに122ミリ加農×2で道路をふさいだつもりでまちかまえていたのだが、それをまったく使用できぬうちに牽引姿勢のままで露軍に浸透されてしまっている。この動画から呑みこめてくること。ウクライナ軍には野砲の在庫はあるが、砲兵将校というものがいないのではないか。仮にこいつらに「FH-70」と155ミリ砲弾をくれてやっても、これではまったくの無駄だ。有力火砲を遮蔽陣地に据える配意もなく、敵が間違いなく通る道路上に事前に照準をつけておくという着意も皆無のようだ。ネアンデルタール人なみに創意工夫が足りない。この戦争、「いい勝負」すぎる。

 スウェーデンの「AT-4」が早くもウクライナ兵の手に渡った。スウェーデンは5000発もこれを寄越すつもりだ。狭い屋内からでも安全に発射ができるので、キエフのすべての建物がピルボックスになる。

 スペインも独自の使い捨て型の対戦車ロケット弾を供与し始めた。

 ロシアが鉄道の無蓋貨車で前送している軍用車両の中に、スズキの4×4だとか、あきらかに市販品のキャンピングカー(おそらくフィールドキッチン代わり)などが、いろいろ混じっている。露軍はすでに制式軍用車輛だけでは後方を支えられないのだ。

 露軍のトラックのタイヤのパンク率が非常に高い。頑丈なタイヤなどにかけられる資金がないのだろう。

 次。
 Michelle Grattan 記者による2022-3-6記事「Australia Plans New East Coast Base for Nuclear Submarines」。
   豪州のモリソン首相は月曜日、新原潜基地を東海岸に築くと表明。

 絞り込まれた三候補地は、ブリスベーン、ニューカスル、ポートケムブラ である。
 その前に豪国防省が19箇所の候補地を挙げていた。

 現在のコリンズ級潜水艦は「フリート・ベース・ウェスト」を母港にしている。

 なお、次期原潜をどのフネに決めるのかは、2ヵ月以内に発表するそうだ。その戦列化は、2040年よりは前倒しされるだろうとのこと。