なぜ、《対外援助専用武器》としては日本政府は「単発の対物ライフル(12.7~14.5mm)」を準備貯蔵しておくのが「最適解」となるか?

 「対物ライフル」は、昔は「対戦車ライフル」と呼んだものである。しかしたとい20mmや23mmの実包を使うものであっても、今日の主力戦車の正面装甲は貫通できないので、「対戦車」というおこがましい名前を捨て、「対物」と名乗る。
 それでも、装甲車や軽戦車の側面や背面に対しては有効である。トラック、鉄道貨車、ガスタンク、倉庫などのインフラに対しては、遠距離から穴を開けることができる。

 「対物ライフル」はかさばるので、誰も隠して持ち歩くことはできない。これは、戦時国際法の精神に適っている。

 「対物ライフル」は、近接して飛ぶヘリコプターに対しても一定の威力があるため、敵のヘリコプターの活動を消極化させ、それが、抵抗側住民の士気を鼓舞する。逆に侵略軍側の士気は萎縮する。

 「対物ライフル」の銃弾は、敵軍部隊が着装する個人用アーマー・ヴェスト(防弾チョッキ)やヘルメットを易々と貫通するので、侵略者の士気を低下させ、抵抗側住民の士気を鼓舞する。

 単発の「対物ライフル」がもし侵略者の手に落ちたとしても、それで侵略軍側はちっとも戦力が強化されない。同じ銃弾を連射できる、車載の重機関銃を使った方がマシだから。

 「対物ライフル」は、市街戦でも野戦でも役に立ってくれる。

 弾薬を含まない「対物ライフル」だけなら、長期の貯蔵中や長距離の輸送中に、火災事故や発火爆発事故を起こす危険性が皆無。また、「壊れ物」でもないので、途中で雑に扱われても品質は保たれる。よってわが国から海外へ空輸によって援助するのに、甚だ都合がよい。

 「対物ライフル」の薬室と銃身の仕様は、海外現地で最も普及している重機関銃の実包規格に合わせておいてやる必要がある。しかし単発機構なので、量産工場に於けるそのバリエーション変更対応は、いとも容易だ。

 単発のシンプルな機構の銃器の使用法は、誰でも実物を見れば呑みこむことができるので、特別な訓練を施してやるなどの心配がまったく要らない。

 現地に平和が回復されたあと、この嵩張る単発銃は、地元政府によって回収され易い。貯蔵中の爆発事故や、不発弾のような戦後災害の原因にはなりにくい。

 今日、日本を除く各国の正規軍が「対物狙撃銃」として12.7ミリのセミオート銃やボルトアクション連発銃を整備しているが、まさに「優秀な兵隊の無駄遣い」というもので、そのような運用発想を是とした陸軍省や参謀本部は頭が悪いのかと疑うしかない。嵩張り、歩兵にとっては重すぎ、連射のファイアパワーがないために適用できる戦場がごく限られてしまうこの特殊な火器は、レジスタンス・ゲリラに対する援助用として設計してこそ、すべての欠点が長所に変わるのである。たとえば、豊富な弾薬補給を期待できないゲリラたちには、弾薬を濫費しないことが、たいへんなメリットなのだ。ひきかえて、重機関銃のタマを捨てるほどに抱えている正規軍にとっては、単発銃で自分の命を守れといわれても嬉しくはない。

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 Lawrence Chung 記者による2022-3-8記事「Taiwan dismisses talk of US F-16V jet swap deal with Ukraine and Poland」。
   米国は66機の「F-16V」を台湾に売ることに決めているが、この機体をポーランドへ振り向け、ポーランドからはウクライナへ「ミグ29」をくれてやる、という連携ができないかどうか、米国務省が模索している。
 このすっぱぬきは日曜日のNYT。
 台湾人はこれを聞いて困惑している。

 ポーランドも大反発している。戦闘機をウクライナなんかに渡さないと国防省が叫んでいる。

 ※対支逃亡されても困らないように手抜き設計されている「台湾モデル」なんか貰っても少しも嬉しくない。しかもウクライナ空軍にミグ29を使いこなす力量などありはしないと、隣国としてよく知っているのだ。猫に小判だ。8年間ロシアと戦争しているのに、飛行機掩体を築造せず、飛行場を分散させる着眼もなく、あれだけ土地があまっているのに戦時の予備飛行場を造成する努力すらして来なかった。ネアンデルタール人に打製石器以上のモノを与えるのは愚策である。

 もともとの計画では、2023から2026にかけて、F-16の新品が66機、台湾に納入されることになっていた。