銃身は窓枠等に依托するが、射手は顔も手も外部に曝さなくて可いようにするのである。
とうぜん、特別なペリスコピックサイトが必要だ。
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ストラテジーペイジの2022-3-14記事。
シリアとウクライナで勝手が違っているのは、防御軍側のMANPAD密度だ。シリアではほぼ無視できたが、ウクライナには数百基単位で、持ち込まれている。ウクライナ兵は「間道」を知っているので、幹線道路ではないところから発射してくる。このため露軍はヘリの運用を大胆にはできなくなった。
ウクライナ軍が保有するTB2は、20機以上。最後の納品はポーランド経由でなされた。
※TB2は、6機で1セットとなっている。
開戦劈頭のミサイル攻撃と空襲は、開始の数時間前から、NATOがウクライナ軍に知らせてやったようだ。それで軍用機の退避が間に合った。
シリアで使っている誘導爆弾を、露軍機はウクライナではまったく使っていない。要するにこういうことだ。シリアはロシアにとって、新兵器の試験場だった。ロシア製の誘導爆弾が、実戦で機能することは、シリアで確認し、世界にも宣伝できた。しかし、それを量産させて自軍に装備させる調達予算は、ロシアにはなかったのである。
暴露されたロシアの計画文書を見ると、侵攻開始から15日にしてキエフに傀儡政権を樹立してしまうつもりでいたロシア軍は、今次戦争を「内戦」感覚で実施している。数が限定されている誘導爆弾のストックは、NATOとの本格交戦の事態が起きないうちは、手をつけたくないのだろう。
ウクライナ軍は、現役と予備役をあわせて20万人。げんざい、それにプラスして10万人の市民義勇兵が加わっているはず。
露軍は10万人で侵攻してきたが、なにしろ地積が広いので、点と線を一時的に支配することしかできていない。主要道路は常時、ウクライナの民間車が通行し放題で、それを使ってウクライナ兵が各所に散開している。
TB2の使われ方だが、幹線道路上の長いコンヴォイの油槽車を1、2両、レーザー誘導爆弾で破壊すると、車列ぜんたいが前進できなくなる。そこに地上からウクライナ軍歩兵が近づいて、残りを始末する。そうなることをトラックの操縦兵たちは知っているから、路上で身動きできなくなったらすぐにトラックを捨てて徒歩で逃亡してしまう。
※トラックドライバーはほぼ全員が徴兵(=初年兵)で、戦意がない。先週くらいに公表されたビデオで、叢林のため見通しがよくない村道を、戦車×3両の前にタンクローリー(おそらく空荷)×3台を押し立てて、1列縦隊で通過して行ったシーンあり。先頭のタンクローリーを囮にし、後続戦車が、近寄ってきたウクライナ歩兵をしとめる戦術ではないかというのだが、これは、タンクローリーの操縦兵が全員徴兵で、戦車乗員が志願兵(古兵)という「身分差」があることを理解して、初めて事情を得心できる。中世のモンゴル軍のやり方だ。
2019の初輸入いらい、ウクライナ軍はTB2からレーザー誘導爆弾で攻撃させるのはずっと控えていたのだが、2月下旬の侵攻が始まる4ヶ月前、初めてそれをドンバスで実行した。というのは露軍が停戦協定を破って自走砲を使ってウクライナ兵を2人殺したので、その自走砲を破壊して復仇したのだ。これが、ウクライナ軍保有のTB2による、最初の獲物となった。
※『ドイチェベレ』の新旧記事比較が面白い。以前はTB2のことを、《エルドアンの殺人マシン》などと形容していたのに、今は《ヨーロッパ最後の希望》と大いに持ち上げている。掌クル~。
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Patrick Malone 記者による2022-3-12記事「What Russia’s nuclear escalation means for Washington state, with world’s third-largest atomic arsenal」。
ワシントン州の軍港「バンゴール・トロール」はロサンゼルス級のSSBNのひとつのメッカ。
トランプ政権時代に、新RVの「W76-2」の量産調達予算がついたが、それがようやくSLBMのバスに搭載され始めている。古い「W76-1」と「W88」を更新するのだ。
バンゴールに所属するSSBNだけで、630発のRVを敵国領土に落とすことができる。その630発とは別に、490発の予備RVが、軍港近くの地下トンネル内に保管されている。
大西洋岸のSSBN基地は、ジョージア州の「キングズ・ベイ」である。
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Mia Bennett 記者による2022-3-13記事「Opinion: Russia’s Arctic Gas is Funding the War in Ukraine」。
巨額のユーロがロシアに流れ込んでいる。すべて、ガス代だ。
2月には、1日に2億ユーロだった。しかし今では1日に5億ユーロ。戦乱でガス代が値上がりしたからだ。
ポーランドの首相は指摘した。われわれ欧州人がプーチンに、侵略のための軍資金を貢納しているようなものだ、と。
「西シベリア・パイプライン」は、世界第二の天然ガス田である「ウレンゴイ」から西ウクライナの「ウズゴロド」まで通じている。この資本の一部は、ウクライナ企業の「ウクトランスガズ」社が出している。
このパイプラインを経由して、西欧は、ロシアからのガスの半分を受け取っている。したがってウクライナもそれで儲けている。
こうしたビジネスで今も巨額の収益が流れ込み続けているオリガルヒたちはその私有の豪華ヨットを、インド洋へ移動させつつある。そこなら欧米による差し押さえの手が及ばないからだ。
※ロシアマネーの逃避先が、インドの腐敗した地方権力者たちとなるとしても不思議はない。