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 Ray Payne 記者による2022-5-15記事「Uber-style tech helped wipe out almost entire Russian battalion」。
   「GIS Arta」は、ウクライナ人のプログラマーたちが、英国のデジタル・マッピング企業と合同で開発した、シチュエーション・アウェアネス・システムである。
 ユーバー・アプリのようなノリで、味方砲兵から射撃可能な位置に出現した敵目標に対する精密な砲撃の諸元指南〔おそらく方位角と距離、比高。射角や装薬は砲側で決めればいいから〕を、ひっくるめて2分間弱で済ませてしまう。従来であれば、標定だのなんなので、効力射までに20分間以上も要するものだった工程を、革命的に短縮したのだ。

 ユーバー・アプリは、乗車希望の客がいる位置の、最寄の場所を走っている車両ドライバーに、その客をピックアップするように指示を飛ばす、自動案内システムである。

 この「客」がロシア軍部隊、「私設タクシー車」が、味方の砲兵だと思えばよい。
 味方の偵察ドローンや、斥候、対砲レーダーが、敵の戦車、トラック、自走砲等の出現を偵知するや否や、そこにタマが届く味方の砲兵に、超速で射撃の指示が飛ぶ。そんな感じだ。

 だが、全自動ではなく、射撃統率司令官がいる。その司令官だけが暗号回線で閲覧できる端末に、戦場情報マップが示されるわけである。だから、人間が攻撃目標と攻撃手段をチョイスし、命令を与えるシステムだ。

 攻撃可能な味方の砲兵が複数あったばあい、射撃コンピュータのアルゴリズムが、最も適当と思われる砲を推奨する。それを射撃統率司令官が、選べばいい。

 このシステムがさっそく大戦果をもたらした。シヴェルスキー・ドネツ川を渡河せんとした露軍車両が、2日間のうちに70両以上、砲撃によって殲滅されてしまったのだ。

 「GIS アルタ」の協同開発は、相当前から進められていた。そして2014年5月には、ウクライナ軍に導入されたという。

 このシステムは、味方砲兵が「放列」を崩して、バラバラに離れた位置から砲撃しても、初弾の弾着がほぼ同時になるように、調整してやることができる。このようにされると、露軍の「対砲レーダー」は混乱し、こちらの砲兵の位置を標定できなくなるのである。

 露軍側砲兵にはこんな気の効いたシステムはないから、砲兵の射撃中隊は、一箇所で「放列」をつくらなければならない。それはこちらの砲兵としては、好いマトだ。

 「GIS アルタ」を、どの部隊が使用しているかなどの詳細は、秘密にしておく価値があるので、公表されていない。
 数は、「けっこう多い」そうである。

 ウクライナ軍は「対砲レーダー」に大いに助けられている。敵の放った砲弾や地対地ミサイルが、着弾する前に、狙われている味方の部隊に対して「そこからすぐ移動しろ」と警報できるのである。

 イーロン・マスクが提供した「スターリンク」通信網が、この「GIS アルタ」を機能させるために、役立っているという。「GIS アルタ」のチームは、マスク氏が開戦初盤にすばやく衛星通信環境を提供してくれたことに、強く感謝している。

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 The Maritime Executive の2022-5-16記事「MOL Partners to Develop Tilting, One Rotor, Floating Wind Turbine」。
   日本の三井OSK商船は、オランダのベンチャー会社「タッチウインド」が提案する、「水平回転一枚ペラ」の「傾いたフローティング風力タワー」の協同開発をすることに合意した。

 タッチウインドの創設者、リクス・ファンデクリッペ氏の発案は、「凧」の機能を回転翼に与えるというもの。
 このブレードは、花時計のように水平面を回転するもののようだ。
 ブレードが1枚なのでコストが抑制され、しかも、より大きな発電力を得られるという。

 支柱は、洋上風の強さに応じて、自動的に傾きを強める仕組み。こうすることにより、強風が吹くからといっていちいち発電を止める必要が、なくなるのだという。
 テストでは、風速70m/秒でも、問題がなかった。
 従来の風力タービンは、風速25m/秒で、発電中止となるのだが。

 フローティング型なので、陸上でぜんぶ組み立てて、それを所定の海面へ曳航して、錨をおろせばいい。
 長さ200mの一枚ローターを使うと、起電力は、12.5メガワットだという。