季刊『宗教問題』の最新号ではウズベキスタン事情を解説したよ。書店でごらんください。

 Defense Express の2022-9-1記事「Ukrainian Sappers Compare German DM22 With Soviet TM-62 Anti-Tank Mines」。
  ドイツ製の特殊地雷「DM22」の設置には、現場で、1分しかからない。仕掛けるのは工兵がやる。

 ウクライナ軍がもともと持っていた対戦車地雷は、ソ連時代設計の「TM-62」である。これだと敵戦車の履帯は切れるが、車内誘爆までは起こせない。「DM22」は、車内誘爆を起こせる。

 「DM22」にはトリップワイヤが付属している。これを道路上に張り渡す。敵戦車がそのワイヤを踏めば、ロケット弾が水平に飛び出す。そういう仕組み。

 トリップワイヤは、光ファイバーである。何かがそれを踏みつけると信号が乱れる。それで踏まれたと分かる。

 ドイツはウクライナに、2600発の「DM22」と、300個の通常型対戦車地雷「DM31」を引き渡している。

 ※今次戦争でどうもよくわからないことが二つある。なぜ迫撃砲弾や多連装ロケット弾に「VT信管」を取り付けないのか。いや、高額なのはわかるんだが……。そしてなぜ対戦車地雷を「磁気信管」付きの高性能なものにしないのか。道路を来るに決まっているんだから、道路の真ん中に少数の磁気地雷を仕掛ける方がコスパがいいだろう? あと、この記事を読んで考えた。「DM22」の光ファイバーの踏圧センサーと通常の対戦車地雷を組み合わせ、長さ1.8mの糸センサー×5本を「蜘蛛の巣」放射状に地面にひろげておいたなら、「アンテナ機雷の地雷版」ができるではないか。「T-72」の車幅は3.59mだから、この蜘蛛の巣センサー地雷を、ぜったいに無事に跨ぎ越すことはできぬ理屈じゃ。

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 Defense Express の2022-9-2記事「Finland Announced the New Military Aid to Ukraine」。
   フィンランドからの追加支援。品目は、BMP-2、MT-LB、「D-30」122ミリ加農、「2S1」自走砲、122ミリ多連装ロケット砲の「RM-70」。

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 Helen Davidson 記者による2022-9-2記事「Taiwan tycoon to fund 3.3 million-strong army of ‘civilian warriors’ to defend against invasion」。
  台湾の大手集積回路メーカーである「ユナイテド・マイクロエレクトロニクス(聯華電子)」社の創業者、ロバート・ツァオ(曹興誠、75)。

 木曜日に記者会見して声明。

 これから3年をかけて台湾に民間防衛隊を組織する。育成する人数は330万人。資金として個人の貯金から10億「台湾ドル」を提供する。米ドルに換算して3200万ドル。

 台湾には「クマ・アカデミー」という民間軍事教練企業がある。ここと協働する。

 ツァオは以前は大陸との「統一」を叫んでいた。そして台湾政府がじぶんの企業を捜査したというので怒って台湾国籍を返却し、シンガポール人になりきっていた。そこからの転向である。

 香港の弾圧を見て気が変わったという。
 なんと木曜日に、シンガポール国籍を捨てて、また台湾人に戻ったのだという。

 「クマ・アカデミー」は2021年に創設されている民間訓練学校で、市民に射撃術やゲリラ戦法などを教える。8月にはクラウドファンディングも呼びかけていた。そこでツァオが名乗りをあげた。

 UMC社はしかし、この企画には関係ないと言っている。ツァオは10年以上前から、会社の経営からは引退している。

 ※金門島での石投げ案件だが、木こりが高枝にロープを投げかける「スローライン」用の道具として最近では「ビッグショット」という専用のゴム・パチンコ(グラスファイバー竿の先にパチンコフォーク)が2万円台で売られており、高さ30mまで細紐を投げ上げられるという。これを使って、短いナイロン糸と鉛ペレットを結んだものを打ち出したら、敵の油断しているミニドローンを絡め落とすことができるだろう。またナイロン糸をグラファイト糸に変えれば、送電線を短絡させるゲリラ向きの道具にもなるはずだ。

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 Sofiia Syngaivska の2022-9-3記事「Russia Feels Lack of Weapons to Wage War in Ukraine, Hope to Get Indian BrahMos Missiles」。
   ミサイル飢饉に陥った露軍は、インドから超音速巡航ミサイル「ブラーモス」を買い付けたがっている。

 ブラモスはロシア軍では「P-800 オニクス」という。すでにウクライナに対して40発、撃ち込んでいる。
 ただし露軍は開戦前に400発持っていたはずで、まだ在庫は9割、残っているはず。

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 Defense Express の2022-9-3記事「Five out of Five – Ukrainian Air Defense Troops Shoot Down all Russian Missiles Launched on Dnipro」。
   9月2日深夜から3日未明にかけて、露軍はカリブル巡航ミサイルを5発、ドニプロ市に向け発射したものの、ウクライナ軍のSAMが、そのすべてを撃墜した。

 8月2日には、カスピ海から発射された8基のカリブルのうち7基を撃墜している。

 ※カリブルは亜音速なので簡単に撃墜されてしまう。だから「12式」の射程を延伸しても、対地用としてはあまり期待できない。これはソリッドの弾道弾にするしかないのだ。それがどのくらいの抑止力を発揮できるかを知りたくば、BOOTHで発売中の『くだらぬ議論は止めよ! 敵地攻撃力はこうすればいい!』を読んでくれ。大型護衛艦なら、これを簡単に搭載できるだろう。

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 Defense Express の2022-9-3記事「Ukraine Called on US and Germany to Provide Abrams and Leopard 2: How Realistic It Is」。
   ウクライナの首相がドイツを訪問する直前、「レオパルト2」をくれ。またアメリカは「エイブラムズ」をくれ、と発言。

 だがどうもNATOには暗黙の掟があるようだ。ウクライナに対しては、旧ソ連製の戦車や西側製の装甲車/自走砲なら融通してやるが、西側設計の戦車だけは与えるつもりはない。いまのところ1台も、西側製戦車は引き渡していない。

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 Defense Express の2022-9-3記事「Became Known How Many russian Military Equipment Was Destroyed by Bayraktar-TB2 UAVs for Three Days」。
   8月31日から9月2日にかけて、TB2は、敵戦車8両、自走砲1両、歩兵戦闘車1両を撃破した。

 ちなみに「2S3」の単価は160万ドルと見積もられる。T-72の単価は300万ドルと見積もられる。BMPは60万ドルと安い。

 ※2008のグルジア侵略では露軍はたった3両のMBTを喪失しただけだったという。このぐらい不甲斐なさ過ぎる軍隊だと、もう外国からも助けては貰えない。

 ※ウクライナが国産している「DP-1」というクオッドコプターからは30mm~40mm級の擲弾改造の爆弾を投下できるのだが、それをBMPのエンジンルームに命中させると、簡単に全体に火が回ってしまう。そのビデオがSNSに投稿されている。

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 Joseph Trevithick 記者による2022-9-2記事「AC-130 Gunships Used ‘Big Ass Green Lasers’ During Kabul Evacuation」。
   カブールからのエバキュエーションで役に立った工夫。AC-130Jにグリーンレーザー(コンサート用に市販されているもので、眼に無害)をとりつけて地面を点滅光で照射したら、タリバンはおとなしくしてくれた。

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 ストラテジーペイジの2022-9-3記事。
    2004年時点で、韓国の徴兵が受領する俸給は、月に81ドルという、只みたいなものであった。当時、台湾の徴兵はその4倍を貰っていたし、ドイツの徴兵(期間は6ヵ月)は11倍だった。

 いま、韓国の徴兵は月給を372ドル貰っている。これがシャバだったら、底辺労働でも時給7ドルである。つまり、法定最低賃金の1週間の週給が、国軍の二等兵の月給と同じなのだ。

 すくなくとも台湾兵並に給料を上げろという声がある。が、それは納税者に25億ドルの負担増となりますよといわれると、皆、黙ってしまう。

 給料が低いのもだが、若い徴兵がいちばんショックを受けるのは、兵舎がものすごく古くてボロいことだという。育った実家とのギャップが、ありすぎるのだ。

 ※いやホントに歴代韓国政府は機転が利かない。兵舎のビルを超豪華に建設し直してやれば、八方が喜ぶ。誰もそれに文句なんか言わないし、景気だってよくなる。まあ、知ったこっちゃないですけどね。

 ※雑報によるとマリウポリでは内部に屍体がまだたくさん残っているアパート群を重機でさっとと崩してしまい、サラ地化して町を再建するという工事が始まっている。ロシアのGDPは韓国と同じくらいだと言われるけれども、ロシアは、一方で戦争しながら、一方で町をまるごと再建できる力があるのだ。

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 Sarah Sicard 記者による2022-8-31記事「‘Devotion’ trailer pays homage to pilots of America’s forgotten war」。
   ジェス・ブラウンは、米海軍航空隊で最初にフライト・トレーニング・プログラムを卒業した黒人(ただし下士官)。
 このブラウンが朝鮮戦争でF4Uコルセアを飛ばして(もちろん空母上から)大暴れするという映画が新作の『デヴォーション』である。

 ※鉄橋破壊シーンがあるが、ここに描写されているように、朝鮮戦争では、すぐ近海の空母からも鉄道網に対する猛爆を加えていたのにもかかわらず、けっきょく共産軍占領地の鉄道はさいごのさいごまで、稼動し続けた。現代軍隊は、敵の鉄道をうまく止める方法を、いまだに発明できていないのである。それでウクライナも苦労している。

 史実。1950-12-4に、ブラウン乗機が北鮮の長津湖(Chosin Reservoir)で撃墜され、同僚のハドナー(頭脳優秀な白人だったが家が貧乏でハーヴァードに行けず、かわりに海軍兵学校へ進んだ)が軍律を破ってブラウン機の近くに意図的不時着。その後、ともにヘリで救出されたがブラウンは戦死。死後叙勲あり。駆逐艦の名前にもされた。ハドナーは軍法会議にかけられているが、はるか後でメダルオブオナー。やはり駆逐艦の名前になっている。ブラウンは小作人のせがれだが海軍入隊前にオハイオ州立大が選択肢にあったというから社会制度によって救済されつつあった黒人だ。

 ※アマゾンが出資して製作させたトルーキンの指輪シリーズの最新作で、キャストが無理やり黒人に変えられているというので欧米圏では不満囂々。アマゾンが困って、ネットの意見書き込み欄へのアクセスを封じたというのでまた炎上している。ちなみに日本ではよくわからぬジョークに「ネットフリックス」がある。これは、ネットフリックス制作のオンラインドラマでは、なんでもかんでもキャストが黒人にされる傾向が濃いことを白人視聴者が反感を込めて皮肉る表現で、ネトフリ以外のドラマに関してもしょっちゅう言われる。また日本のアニメはこのポリコレ縛りから免疫になっているというので異常に評価が高い。かんけい無いが衛星で『アメリカングラフィティ』を久々に観たらすがすがしいほど有色人種が一人も出てこず、これがどうして70年代の「古典」になったのかを漸く理解した。主人公が今はカナダで作家になっていると最後に紹介されるのは、ベトナム戦争中は彼だけが(意識が群を抜いて高いが故に)徴兵逃れをしたのであることが暗示されている。

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 Mike Yeo 記者による2022-9-3記事「F-35B jets out of Japan make debut at Australia’s Pitch Black exercise」。
    岩国から12機の「B」型F-35が豪州での「ピッチブラック」演習に参加する。


くだらぬ議論は止めよ! 敵地攻撃力はこうすればいい!


宗教問題39:参院選2022、そのとき宗教は!?