「手首かざぐるま」を商品化すべきだろう。

 羽根の部分は「てのひら」に模した平面形になっており、肘ちかくに取り付けた回転ハンドルをもう片方の手でルアーのリールのようにまきあげると、メカニカルリレーにより、手首かざぐるまが強力に旋回。

 クルクルと無限にてのひらが返される。
 ドリル回転だ。

 まさにわが国の国際スポーツファンが自嘲しつつ自重するのにふさわしい、哲学的グッズではないか?

 これを使うと、電力を1ワットも消費することなく、隣の人を扇いでやることもできる。まことに省エネの耐乏商品だ。

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 David Hambling 記者による2022-12-1記事「Russian Loitering Munition Racks Up Kills But Shows Limitations」。
  露軍の特攻UAV「ランセット」も、逐次に改善型が登場しているようだ。
 いま、使われているのは「ランセット3M」もしくは「製品52番」という。自重15kg、飛翔速度70マイル/時、終末ダイブは190マイル/時、弾頭は5kgのHEATである。
 最大レンジは25kmと宣伝されているが未確認。通常、先行させた偵察用無人機が発見した高価値目標を襲う。

 これまでにランセットは、ウクライナ軍の牽引砲×10門、SP×7両、SAM車×6両、レーダー車×4両、無線中継局(TB2リモコン用)×1を、破壊している。
 戦車×6、APC×8、軽装甲車×1、トラック×4、SUV×1両も、ランセットの命中弾をくらっている。

 以上はOryxが公開画像で確認できたものなので、他にもっと未確認の戦果があるだろう。

 面白いのは、ランセットが外れたシーンの動画も14本が投稿されていること。(一見、当たったように見えるので、投稿されたのだろう。)

 それとは別に、デコイ兵器に吸引されたランセットが2機、確認できる。そのうち1両はGPS解析から、露軍の囮だった。つまり、味方撃ちをやっている。そんなのを区別もなくSNSに投稿している。露軍は敵味方識別について、基本的になげやりであることが、うかがわれる。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-11-30記事「‘Scary’ Lancet-kamikaze fails, bursts a tire on a D20 howitzer」。
     ウクライナ軍の保有する牽引式十五榴「D20」に露軍のランセットが命中した。しかし、タイヤ片輪がバーストしただけで済んだ。

 ランセットは目下、露軍のリモコン式自爆ドローンとしてはいちばん活躍している。が、弾頭威力が小さいのが玉に瑕。

 ※このビデオから分かったこと。ランセットの弾頭には、対人毀害力を強化するために「棒鋼」の切れ端がわざと挿入されているらしい。ここからヒントを貰うなら、「主翼そのものが爆発物からできている自爆ドローン」を日本が新規にこしらえる場合に、その応力外皮を「ブリキ板」にするのも一法かもしれない。旧ドイツの「V-1」はアルミ合金ではなくてスチール外皮であった。それはアルミ資源を惜しんだためのやむをえない選択だったのだが、われわれの場合、爆発時の殺傷威力を増す、積極的な意図から、敢て、炭素繊維ではなくスチール薄皮の応力外皮を使ってもいいかもしれないと思う。内側にメッシュの切れ込みをマイクロスケールの深さにレーザーで印影しておけば、そのとおりのサイズの小破片になってくれる。スチールをプレス成形したモノコック外皮の中に、TNT炸薬を溶填するのであれば、工程はほとんどロボットに任せられようから、ますます安価に大量生産ができてしまうだろう。主翼にあとづけする、胴体や尾翼は、炭素繊維複合素材のモノコック外皮でいい。

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 Vijainder K Thakur 記者による2022-12-2記事「NASAMS vs PATRIOT: Why Ukraine ‘Desperately Wants’ Patriot Missile Systems When NASAMS Have Achieved 100% Kill Rate?」。
   11-27のNYT報道によると、米国は、チェコ共和国、スロバキア、ブルガリアの三ヵ国に、旧ソ連規格の弾薬の製造ラインを再開するように呼びかけた。特に152ミリ砲弾と122ミリ砲弾。

 ※NATOによるペトリの対宇供与はまず確定方針だろう。またヒラリー・クリントンがイスラエルにアイアンドームの対宇提供を呼びかけている。この一連の動きは何を意味するのかと考えると、やはり米国は「核攻撃」を気にし出したのだろう。ランセットも在庫が尽きたとき、露軍が次に繰り出すものは他にはないので。

 ※スペイン軍放出の「ホーク」は、すでにウクライナ領内に搬入された。

 ※ウクライナ国内でも旧ソ連規格の砲弾の製造ラインが再開された。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-11-30記事「Russian army gets increased penetration bullets for Udav pistols」。
   露軍の最新世代の拳銃は、マカロフの後継の「6P72 Udav」という9ミリ・オート。2019年から採用中。このたび、これ用の新弾薬が2種、全軍に支給開始された。
 ひとつはボディアーマー対策として弾丸の貫徹力を増している。もうひとつは消音器と組み合わせるために弾速を落としている。特殊部隊用。そちらには屋内戦闘用のレーザー照準器も取り付けられる。

 ※雑報によるとベア・グリルズがウクライナの冬をサバイバルする実技のロケのため現地入りした。

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 Beth Mundy 記者による2022-12-2記事「Fertilizing the ocean to store carbon dioxide」。
    特定の、比重の重い「肥料」を海にブチまけることにより、海中の植物プランクトンの光合成が活発化し、その肥料といっしょに海面近くの二酸化炭素を大量にとりこむ。そして重たくなったプラントンはそのまま浮力をうしなって海底に沈殿。海面は空中から二酸化炭素をとりこみ続ける。だから、どんどん二酸化炭素が大気中から除去されて、半永久に地中へ収納される。

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 Isabelle Khurshudyan, Mary Ilyushina and Kostiantyn Khudov 記者による2022-12-2記事「Russia and Ukraine are fighting the first full-scale drone war」。
    「オルラン-10」は、発進させてリモコンさせるための「ミニ基地」の開設を必要とする。そこでウクライナ軍はドローンによって「オルラン-10」の跡をつけ、その発進位置(たいがい農家の納屋の外)を見極め、別の味方の爆撃用ドローンを呼び寄せて、その納屋に投弾している。

 ウクライナ語で両目のことを「オチ」という。その名がついた偵察班は、市販の「メトリス300」クォッドコプターを操縦する。DJI製。自重8ポンド。通販で調達すると、モニターとコミで4万ドルしない。おそらくこれよりも安い軍用の航空偵察手段は今、ないだろう。

 Mavicのクォッドコプターは、露軍も宇軍もよく使っているので、それを空中にみかけたとき、どちらの所属か、だれも確言はできない。ただ、地上部隊の上空で長くとどまっているようなら、それは敵のものだと認定してよい。そして撃墜するようにする。味方のクォッドコプターなら、すぐに飛び過ぎるものである。

 先月のヘルソン南部戦区で撮影された、ウクライナ軍特殊部隊の自作した「地雷原啓開」システム。コカコーラの空き瓶の中に爆薬を充填し、それをMavicドローンから3個、つづけて投下するだけ。ロー・コストで、歩兵用の通路ができてしまう。

 敵戦車に対して、擲弾改造の超小型爆弾を投下しても、よほどいいところに当たらないと、小破もさせられないで終わる。しかし、空から爆弾で狙われた敵兵としては、爾後は全く心が休まらなくなる。すでに自車がターゲティングされていることは確実なのだ。同じ場所にぼやぼやしていたら、次の瞬間には、155ミリ榴弾が降って来るか、ATGMが飛来するか、わからない。ゆえに、ドローンは、その姿を一回敵兵に示すだけでも、敵兵の身心を疲弊させてやれる。

 マヴィックだけがドローンじゃない。シンセンの別なメーカーの製品「EVO II」とか、ドイツ製の「Vector」とか「Cypriot Poseidon」などもウクライナ軍は使用中である。民間のTVセレブが醵金を呼びかけ、通販で手に入るものは何でも調達して、ウクライナ軍へ献納しているのだ。

 ウクライナ政府が公式によびかけているクラウドファンディングを通じても、すでに1000機近くのUAVが調達されたと、同国のデジタル移行担当大臣のミハイロ・フェデロフが語っている。

 しかしフェデロフの希望はでかい。「1万機が必要だ。それだけあれば、全戦線で起きているできごとをリアルタイムで《放送》できる」。

 ウクライナ軍の機械化歩兵旅団の大隊副官が、4月にハルキウ前線で体験したこと。ある場所に2時間、自動車を停めていたら、上空に「オルラン-10」の音がした。姿は見えない。しかし向こうからは見えていたはずだ。そして、こっちが将校斥候であるということも察知されたのだろう。それから数時間にわたり、車両をどこに移動させようとも、露軍の砲弾が次々に降って来た。それはおそろしく正確だった。

 当初、露軍は、「オルラン-10」を2機いちどに飛ばし、1機には広域偵察をさせておいて、もう1機は砲兵の着弾観測に専従させるという技法を採用していた。
 しかし「オルラン-10」は夏を境にめっきり数が減耗し、今では単機出動が多いという。

 この固定翼偵察ドローンは役立つものである。だから、必死で増産をさせようとしていることは疑いもないのに、戦場で飛ばせる機数はどんどん足らなくなっていると思しい。ロシアの銃後では、軍需工業が弱りつつあると見ていいだろう。

 ハルキウ戦線に関し、露軍の「ヴォストーク大隊」の指揮官が9月にSNSのテレグラムに投稿した。今、いちばん困っているのは、対砲兵戦に必要な偵察の手段がないことだ。敵からの砲撃を何時間も受けているのに、その敵の砲兵の位置情報が、ちっとも得られない――と。

 ウクライナ陸軍の高射砲兵の長である大佐いわく。わが軍は2-24以降、すでに580機以上の「オルラン-10」を撃墜できている。そしてこのごろ露軍は、別な機種のUAVを砲兵観測に投入するようになってきた。そのことは、「オルラン-10」の在庫が尽きてしまった裏事情を示唆している――と。

 代替機を増産させようにも、西側製のチップが輸入できなければ、それは「神経なしドローン」でしかない。

 かたやウクライナ国内では各種UAVを大増産しつつある。それらの工場はすでにグーグルマップ上から消去された。空爆対象にされるからだ。

 国産しているドローンには、ミニチュア級もあれば、30マイル飛べる物、5ポンドの兵装を吊下できるもの(たとえば「パニッシャー」)、偵察用のグライダーまである。

 デジタル省のフェドロフ大臣いわく。年内に、月産2000機体制にするつもりだ、と。