政府は筋悪のオリンピックなど誘致するのはキッパリやめてApple社のアイホン工場を本気で誘致したらどうなんだ? そういう着想が無いから支持率が下がるんだ。

 『WSJ』の特種で、アップル社は中共からの工場撤退を検討している(と雑報に出ていた)。

 すでに同社の他工場がある台湾、タイ、ベトナム、比島、マレーシア、インドネシアと比べると日本国内は人件費が高い。その点はこれまでであれば、工場経営者にとってのデメリットでしかなかった。

 だが、米支が世界を技術的に二分割する時代に突入すると、キッパリと中共の影響力を遮断できぬ東南アジア諸国は、地政学的に危険な工場立地だと看做され得る。

 長期的には、主力商品の製造拠点をもっと地政学的に安全な地域へ「分散」しなくてはいけないという事情が、アップル本社の経営陣の頭の中にはあるはずなのである。

 加えて「円安」基調。これは好機だろう。

 苫小牧のように土地が余っていて大空港とコンテナ港に近くて中共軍のミサイル基地からは遠い地方が、優遇策を列挙して必死で勧誘したなら、わずかながら、目はあるはずなのだ。

 地方の寒村はダメモトで公式サイトで招致の名乗りを上げたらいいじゃないか。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-12-3記事「Russia uses an airframe from the 80s to build MiG-35 Fulcrum-F」。
    もしウクライナ戦争が始まらなかったとしても「ミグ35」は量産されぬままであった可能性が高い、とミシガン州の航空ライターの Peter Suciu が書いている。とてもじゃないが「F-35」とは同列ではないからだ。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-12-4記事「Best mass-produced version of T-90 tank was captured in Ukraine」。
   ウクライナ軍は、ルハンスクの最前線で、状態の良い「T-90M」を1両、鹵獲した。

 T-90Mの量産バッチが前線に出されていることは、Oryxが確認している。すでに2両が鹵獲され、別の2両が破壊されているという。

 最初の1両は、ハルキウ戦線から露軍が大撤退する前に鹵獲されている。

 10月24日にブルガリア軍事ニュースが伝えた、サマラ駅で撮影された、貨車上の8両のT-90。いずれもアクティヴ防禦システムはついていない「裸」状態であった。

 ※11-30の雑報によるとロシアはインドに、500種類の部品を供給してくれと要請した。いずれも、自動車、航空機、鉄道車両の製造に必要な部品だという。

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 Defense Express の2022-12-4記事「Ukraine’s Military Told How the M113 Armored Personnel Carrier Is Better In Combat Than the Soviet BMP」。
   オランダが「M113」を改造したAPCをウクライナ軍が寄贈されて使っているところだが、好評である。
 クラッチが自動で、操縦しやすい。装甲は、重機関銃弾を止めてくれる。

 M113系をすでにウクライナ軍は200両以上、受領している。

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 Sakshi Tiwari 記者による2022-12-4記事「At -20°C, HIMARS To Become ‘Sitting Ducks’ For Russian Military Thanks To New Upgrades & Freezing Winters」。
   ロシアはMLRSのロケット弾の不発弾を入手しているという報道が以前にあり、それに尾鰭が付いて、すでにハイマーズの迎撃方法は解明されたと例によってフカしている。

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 Pandora Dewan 記者による2022-11-30記事「Boy, 5, Dies After Eating Common Plant More Deadly Than King Cobra」。
    猛毒の「トウアズキ」の赤い実を食べてしまったインドの5歳の少年、死亡。兄の7歳は、救命された。
 この実にふくまれるアブリンは、リシンの30倍、致死力がある。
 もし一粒をよく噛んで嚥下してしまったら、助かる道はない。解毒剤は知られていないのだ。

 キングコブラの毒はヒトの体重1kgあたり0.9ミリグラム以上人体に入れば致死量だが、トウアズキは体重1kgあたり0.1ミリグラム以下でも致死的となる。

 フロリダにまで自生している植物なので『ブレイキングバッド』の中で小道具としてとりあげられたこともある。

 次。
 ストラテジーペイジの2022-12-4記事。
    ロシアは8月をもって大隊戦術グループBTGの運用を止めた。

 なぜそれがわかったかというと、あらたに前線にやってくる兵隊がすべて、二等兵レベルの「軽歩兵」であり、基本の戦闘訓練を受けている様子がなく、専ら、穴掘りなどの土工築城作業に従事させられている。

 つまり、訓練された下士官や、下級将校、砲兵や戦車兵の補充が皆無なのだ。それらのプールは尽きたのである。未教練の新兵ばかり増やしても「戦術」行動は実行できない。

 ※雑報によればドンバスの病院が、負傷兵が多すぎるため、民間人の手術をすべて延期している。

 次。
 Liu Zhen 記者による2022-12-3記事「Are China’s integrated arms systems a match for South Korean rivals?」。
   先月の珠海航空兵器展示会で看取されたトレンド。いまや中共メーカーは、兵器を単品としてではなく、システムで輸出しようとしている。これは韓国メーカーの先を行っている、と。

 いま、サウジと米国の関係は微妙である。サウジが欲するすべての兵器の購入リクエストに米国が応じていない。そこに中共がつけこまんとしている。
  ※ファーウェイがサウジ内に5G網を構築してやるという話もある。

 これまでの中共兵器の最大の買い手はパキスタン。次がナイジェリア、アルジェリアというところ。
 韓国兵器は、ポーランド、英国、比島、インドネシアに売れている。

 ポーランドはすでに韓国から100億ドル以上の兵器を買い付けた。この総額、アジアの工業国としては空前の兵器輸出である。

 内訳は、戦車と自走砲が1600両以上、多連装ロケット砲車が288両、ジェット戦闘機が50機弱。

 ある解説者いわく。近年では、米国と西欧の大手兵器メーカーは、「○○を急いで大量に売ってくれ」という注文には応えられなくなっている。かたや東欧や北欧諸国には切実な「対露」用の緊急戦備需要が生じた。そこで、そのギャップを埋めることができたのが、西側工業圏では唯一、韓国の重工業界だったというわけ。

 ※これを「増産の弾撥性」という。製造ラインへの設備投資がすでに済んでいて、それが温存されていることが、必要条件だ。日本にもこの弾撥性が必要なことは、2020年春の新コロ流行初期に「マスク」が店頭に無くなってみんなが困ったことを思い出せばわかるだろう。しかし、よぶんなキャパシティの製造能力を稼動休止状態で温存しようにも、そうした設備や部品在庫に、容赦なく税金がかけられてくるから、民間企業ではふつう、できるわけがないのだ。ではどうすればいいのか? それが次に述べる国営の「シン造兵廠」の立ち上げなのである。

 次。
 GDP2%に名目上「倍増」する軍事費を、いったい何に使ったら、日本の経済に超絶プラスの効能をもたらしてくれるか?
 それは「軍工廠」を創設することだ。

 DARPAの日本版案は、話としては悪くないが、日本の組織文化ときっと相性がわるい。相性がよければ、それは20年以上前に、とっくに実現をしていたはずである。わたしゃその頃からDARPAの発明品を紹介し続けているからね。そして韓国やインドその他もとっくにDARPAの模倣組織を立ち上げている。90年代にそういう判断をしたのだ。日本にはその適合土壌がないから、いつまでも、できない。今後も、うまくいくまいと予想できるよ。

 ではDARPA模倣だとうまくはいかなくて、どうして現代版「東京砲兵工廠」ならばうまくいくのか。

 それは、ベーシックな構造と機能が、日本の「町工場」の集積版・分野統合版となるからである。

 この「シン工廠」は、民業を邪魔しない。すでに大手民間メーカーが良い製品を製造できているのなら、そしてそれをこれからも続けると言っているのならば、敢てその領域に踏み入ったりはしない。民間でうまくいっているのは、民間に任せておけばいいのだ。

 「シン工廠」は、もうウチの工場では造り切れませんやと町工場から泣きが入っている、事業承継されざる裾野分野を、国営のラインで引き受けるのである。

 官営工廠は、戦争が切迫していない端境期に、ラインと職工を温存できる。もちろん明治時代から熟練工の確保には苦労をし続けた。それを村田経芳や南部麒次郎がどうやって解決したかは兵頭の旧著が詳しい。村田は旧式小銃を改造して猟銃にして、東北のマタギに売り込んだ。それが「(猟用)村田銃」である。南部は自分が設計した自動拳銃や機関銃をシナ軍閥に売り込んだ。近代日本の工業製品輸出の第一号は、明治時代の南部の拳銃なのである。

 もちろん今では猟銃も拳銃も民間でいいものができているから、未来の「シン工廠」はそんなビジネスには手を出さない。
 戦前のように軍艦は造らないし、局地戦闘機も造らない。

 しかし温存ラインや中古機械を駆使して、民間企業がもう引き受けてくれない部品のサプライチェーンの穴を即応的に埋められる。

 いざというときには、急速増産の弾撥性を発揮してくれる。

 これは外交カードに直結する。たとえば155ミリ砲弾がどこかの海外戦線でたくさん必要になったときに、その補給を日本も部分的に分担できるのである。それはタイムリーに増産できなかったら意味がない。そして今日の大手メーカーは、製造ラインを遊ばしておける余裕がゼロである。

 「シン工廠」は日本国内に大きな雇用をもたらし、零細工場の中古機械の引き取り先にもなる。民業を邪魔せず、国家緊急のサプライチェーンを下支えし、独自に輸出で稼ぐこともできる。米国へ恩を売れる機会も多くなるだろう。「この工場があって助かったぜ」といわれるようになる。何兆円もかける価値があるはずだ。



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