土曜日にミズーリ州ウィットマン空軍基地に、B-2が緊急着陸。滑走路上で火災消火。クルー2名は歩いて出てきて無事。

 TOCの2022-12-12記事「Japan increasing PAC3 detection range to counter the DF-17」。
   空自は、PAC3によって「東風17」ハイパーソニック弾を迎撃できるようにするために、最新型の米国製のLTAMDSレーダーを輸入するであろう。これで探知距離を数倍に延ばすのである。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-12-12記事「Turkey is ready to start serial production of its main battle tank」。
    トルコは「アルタイ」主力戦車を100両とりあえず国産することを決めた。
 エンジンは韓国製の「DV27K」である。

 最初の2両が来年、できあがる。それでデータを取って、のこり98両を量産する。
 メーカーのBMCは、月産8両行けると行っている。ただし2年後に。

 この戦車の設計にはヒュンダイ・ロテム社が関与した。ベースが「K2」なので。

 トルコ陸軍は、250両装備したいと思っている。
 それが1000両に拡大する可能性もある。
 量産が始まれば、カタールにも100両以上、輸出したい。

 エンジンは当初は韓国製の「DV27K」ロングストロークの4サイクル、12気筒水冷ディーゼルを搭載する。が、長期的にはトルコの純国産「BATU」V12、ショートストロークの4サイクル水冷ディーゼルに変えたい。 
 どちらも1500馬力を出せるという。

 トルコがながらく使っている「レオパルト2A4」の砲塔を、アルタイの砲塔に置換するリファービッシュ願望もあるようだ。

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 Defense Express の2022-12-12記事「Air Force Named Which Air Defense Means are Effective Against Shahed UAVs」。
  シャヘド136が夜間に襲来した場合、重機関銃では迎撃はできず、やはり、レーダー連動のSAMやAAが頼りになるという。

 もっか、露軍は、アゾフ海の沿岸から、シャヘド136を放って来ている。

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 Vikram Mittal 記者による2022-12-11記事「Ukrainian Military Is Targeting Russian Fuel Supply Lines As Winter Approaches」。
  ディーゼル燃料=軽油の補給が焦点になっている。
 露軍は、車両用にも、発電機用にも、暖房用にも、大量の軽油を最前線まで補給し続ける必要がある。

 戦車は、1マイル走るのに、1ガロン(3.785リッター)以上の軽油を燃やさねばならぬ。

 露軍の大隊戦術グループBTGは、軽油1万ガロンを摘んだタンクローリー車群を伴わなくてはいけない。その1万ガロンが、わずか1日で費消される。

 露軍はすでに100個BTGを放っている。それらに毎日、軽油を届けてやらねばならぬ。

 だから露軍は雪を気にしている。もし積雪がひどくなると、軽油タンクローリーを走らせることができないから。

 従来の戦争なら、燃料デポを後方から前線まで転々と構築することができた。しかし今次戦争では、燃弾貯蔵所は衛星と無人機ですぐに場所を探知され、そこをHIMARSやドローン爆弾で攻撃されてしまって、維持ができない。
 だから、露領内からじかにタンクローリーを走らせて最前線部隊まで軽油を補給する必要が生じているのである。

 2-24からこのかた、露軍は239台の燃料タンクローリーを破壊されてしまっている。車種は「ウラル4320」と「カマズ」6×6が多い。

 ひとつのBTGには、すくなくも5台のタンクローリーが必要だろう。それが100個BTGもあればどうなるか。想像するがよい。

 バフムト市が攻防の焦点になっているのは、このタンクローリー車が走りやすい道路の結節点になっているから。そこから舗装道路が枝分かれしてドネツク州の各所へ行けるようになっている。

 ルハンスク方面で、スヴァトウェ市とクレミナ市の攻防が注視されるのも、そこが露軍にとっては重要な燃料補給結節点だから。
 宇軍がこの2市を押さえることができれば、ルハンスクの露軍は干上がって凍死に直面する。

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 Bryan Pietsch and Min Joo Kim 記者による2022-12-12記事「BTS’ Jin enlists: What to know about South Korea’s mandatory military service」。
    火曜日、元BTSのJin君の兵営生活が始まる。

 以下、韓国兵役の基礎知識。
 すべての健常男子は28歳までに入営せねばならぬ。

 韓国の国際イメージの強化に貢献したBTSは特例として30歳まで延期して可いとされた。Jin氏は満30歳である。
 彼の本名は「キム・Seok-jin」である。BTSの中の最年長。

 身心健常でなく軍役に堪えぬ男子は、地方自治体での勤労奉仕をもって兵役に代える。
 これは、「エホバの証人」のような宗教上の信念からの徴兵拒否者も同様(昔はそれは刑務所行きだった)。
 芸術家またはクラシックの音楽家にして、且つ表彰歴がある者は、国防省が認定した場合にかぎり、兵営外の勤労奉仕活動でよしとされることもある。しかし国防省はBTSをこのカテゴリーに認定しなかった。

 プロのスポーツ選手で国際大会で勝利した者にも、著名芸術家たちと同様の免除特典が与えられる。

 韓国語を喋れぬ者が韓国籍人の養子となっていて、韓国語を喋れない場合も、兵役は免除される。

 徴兵の服務期間は、陸軍と海兵隊が18ヵ月、海軍が20ヵ月、空軍が21ヵ月である。

 Jinは陸軍に入営するらしい(非公式な噂)。だとすると除隊は2024-6-12頃だろう。

 多くの韓国男子は、大学の学部1年生のときに、入営するようにしている。
 4年制大学を卒業したあとに入営すれば、その男子は(二等兵ではなく)将校にしてもらえる。軍隊内でのしごきやいじめを特に恐れる者は、このコースを選ぶという。

 韓国軍内の特殊エリート・コースといえるのがKATUSAである。これは在韓米軍のための通訳となる部隊で、身分は韓国軍人ながら、勤務地は米軍基地内で、あたかも2年弱米軍に所属したのと等しく、いじめやしごきから逃れることができ、除隊後は外資企業や商社等に思うがまま就職できる近道になる。大学生ならだれもが志望するが、語学適性テストにパスした上で「籤引き」を引き当てなくては、この道へは進めない。

 Jinは38度線に近い駐屯地へ配属されるという。

 男子にのみ義務兵役があることで、除隊後の同世代男子の間には、強い「戦友愛」が構築される。同年代女子はその空間には入っていくことはできず、排除される。

 いまの韓国軍制だと、男子人口が減っていくのに比例して必然的に軍隊の兵数もシュリンクしてしまう。韓国軍はすでに50万人規模に減っている。

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 Jeong Tae Joo 記者による2022-12-9記事「16 N. Korean soldiers lose consciousness due to gas asphyxiation」。
 オンドルから二酸化炭素が兵舎の屋内に漏れ出して、寝ていた北鮮兵16人が意識不明に。

 ※石炭からは一酸化炭素も出る。しかし原文には二酸化炭素とある。

事故は、高射部隊の兵舎で起きた。11月30日の午前2時だったという。

 不寝番の交替のために、次の上番者を起こすべく、兵隊たちの居室に入った下番者の兵隊が、室内に薄煙が充満しているのに気付いた。それでベッド上の兵隊たちを揺り起こしたが、誰も目覚めぬ!

 ただちに有線電話で当直司令に急報した。
 緊急措置。
 全員を営内から舎前へひきずり出し、庭の地面の上にうつぶせで寝かせた。
 そこへ救急車が呼ばれた。

 この兵舎では10月20日からオンドルを焚き始めたそうである。燃料は、練炭(粉炭を固めたもの)か石炭。
 オンドルは中隊ごとにあるらしい。

 漏洩のあった部屋は、二段ベッドで、1個小隊の総勢25人が寝ていたが、上段の寝台にいた者は無被害。下段で寝ていた16人がやられた。

 北鮮軍の兵舎は、火災予防のため、屋内は禁煙で、兵舎の外に、煙草が吸えるエリアが設けられている。そこには消火用の砂袋がある。
 ちなみに、「消火栓」は無い。火災時には、壁の内側もしくは外側にひたすら砂袋を積み上げるのだという。
 ※つまりクラスター焼夷弾で空襲してくれと言っているようなものだな?

 火災が発生したとき駐屯地司令がいちばん気にすることは、金日成と金正日の《御真影》を無事に搬出することであるという。これは、何があっても、守らねばならないのだ。その次が、武器庫内の武器。兵隊の人命は三番目に考慮される。

 ※厩焼けたり、馬を問わず――という儒教の美談はここでは消えており、旧日本軍の教えが捧持されているのである。恐れ入った。

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 Tanmay Kadam 記者による202-12-12記事「‘Gaping Holes’ In Air Defense, Kremlin Expert Warns Of Strike On Moscow After Air Base Attacks Deep Inside Russia」。
   ウクライナは「エンゲルス2」航空基地をドローン攻撃するのに、「マクサー」や「プラネット研究所」の民間衛星写真を参考にした。

 ロシア軍に詳しいパヴェル・ルジンによれば、露軍は12個の偵察衛星に頼っているという。

 そのうち光学写真衛星は2機(ペルソナ2とペルソナ3)。太陽同期極軌道、高度700km。

 マッピング衛星としては「バルスM」が3機ある。古いのは2015年打ち上げ。新しいのは22年。

 そして民間衛星の「カノプスV」が5機ある。光学写真衛星だ。その技術は英国から来ている。15日おきに、陸地の同じ地点を撮影する。解像度は低い。敵国の何か大きな動きを見張るものだ。

 「レスルスP」という1機しかない民間イメージ衛星は3日~6日ごとに同じ地点を撮影。露空軍がウクライナの都市を叩くとき、この衛星のイメージを参考にしている可能性がある。

 2003年に米英軍がイラクを占領したとき、軍用と民用、合計30個ほどの偵察衛星を参照していたことを、ロシアは調べ上げている。その真似をしているはずである。

 哀しい事実。しかし現代のロシアの偵察衛星の解像度は、2003年の米国の偵察衛星よりも、悪いのだ。

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 Tom Watling 記者による2022-12-12記事「Russian tank blown to smithereens as huge fireball erupts after dramatic face-off」。
   ウクライナ軍のT-64の主砲弾でロシア軍のT-73の正面装甲を撃破して大爆発させてしまう空撮フッテージがSNSに投稿された。

 未舗装の一直線の道路上で、この決闘は起こった。※どちらの戦車部隊も、路外へ出ようとは考えもしないらしい。また、現段階では射距離は計測されていない。

 初弾でいきなりT-72は火球と化した。しかしT-64はさらにもう1発お見舞いしてトドメを刺している。

 この撮影日は、日曜日と考えられる。場所は未だ特定されていない。

 このビデオについて、部隊が祝辞を発表している。それによるとこちら側の戦車は「T-64BV」で、敵の戦車は「T-72B3」だったと。

 動画は続き、もうスクラップ化しているT-72にさらに三発目、四発目が撃ち込まれている。

 撃たれる側からすると、野砲や迫撃砲の砲弾は、着弾の前に擦過音が耳に聞こえてくるので、一瞬、身を隠す余地がある。しかし音速の数倍で飛んでくる戦車砲の徹甲弾は、前兆の音を伴わない。

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 ストラテジーペイジの2022-12-12記事。
   迷彩パターンはAIに考えさせればいい、と中国の学部学生が考えた。天才かよ。
 当局の監視カメラはデジタル。このデジタルを騙す流儀は、人間の目ではなく、マシーンの目に準拠せざるべからず。

 特殊な「首巻き」から特殊な波長の光を顔面に輻射させることにより、当局の監視カメラで人定ができないようにしてやれる方法があるという。

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 Leyla Latypova 記者による2022-12-10記事「7 Unexpected Ways Western Sanctions Have Affected Life in Russia」。
    ロシア国内ではチョコレート製造が不可能になった。原料のココア豆がまったく払底した。

 国際制裁の影響で、ロシア領内の製菓工場では、従来の商品のレシピを変更せざるを得なくなっている。

 スマホの通信速度は、昨年とくらべて、秒あたり0.6メガビット、遅くなっている。
 ノキアやエリクソンの協力はまったく期待できない。
 プロパイダーの中には、方式を「3G」に戻すところもあらわれた。

 ヴォロネジ市には、チェコ共和国の会社が設計したハイテク火葬場があったのだが、故障してしまい、それを修理してもらおうにも国際制裁があるからできないわけで、とうとう今月、閉鎖を余儀なくされてしまった。したがってヴォロネジ市民は、当分はホトケを野辺送りするか土葬するしかねぇ。

 全ロシアの84都市において、合計200のバス路線・トロリーバス路線が、今年、運休になっている。
 これは外国製のバス部品が手に入らないため。

 レニングラード区にはバスの国内メーカー「ティクヴィン」がある。しかしたとえばボールベアリングは米国から輸入して組み付けていたのだ。それが入手できない。

 ロシアの住民は「国内パスポート」の携帯を義務付けられている。それは従来は手帳式であったが、ICチップ内臓のプラスチックカード化が2013年から進められていた。そのカードの内製が、制裁のおかげで、できなくなった。それで、カード化事業も、停止状態である。

 ロシアの都市部のオフィスビルに空室が増えてきた。ショッピングモールの店舗も埋まらなくなっている。あきらかに不況である。

 モスクワ市では年末のショッピングモールの17%に店舗のブランクがある。オフィスビルの空室率は12%である。

 ロシアの旅客機パイロットたちはこれまで、トルコ国営航空のシミュレーターを訓練で借用できていたのだが、トルコがこのたびそれを禁止したため、困ってしまった。

 やがてロシア国内では、旅客機に乗るのも、命賭けの選択になるだろう。