「崩されない中層アパート」を開発するのが、世界の建築家の急務である。

 たとえば、4部屋を立方体または直方体にまとめて1ブロックとし、それを鉄骨枠で囲ったもの。そのブロックを、上下階ですこしずつ左右前後にずらしてピラミッド状に積み上げるようにしたら、1トン弾頭のミサイルが着弾しても、被害は最小限にできるかもしれない。

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 Chris King 記者による2023-1-18記事「Henry Kissinger insists Ukraine should become a member of NATO」。
   ダボス経済会議にキッシンジャー老人(99)がリモートで参加してスピーチ。もはやウクライナの中立など問題にならない。NATOに加わるのが妥当――と語り、彼の以前の加盟反対論からポジションチェンジした。

 なぜ反対していたかの自己弁明。NATOに加盟しようとするその動きが、ロシアの全面侵攻を招くと予想したから。しかし加盟の動きと関係なくロシアが全面侵略し始めた。

 キ老人いわく。米政府は停戦がかちとられるまでキーウ政府に武器弾薬を支援し続けよ。必要なら、支援内容を拡大せよ。

 ※頭脳エリートの老人が、時におそろしく長生きするのには理由があると思う。60を越えると、日々、体調は、長い下り坂をゆっくり下る感じで微妙に変化し続ける。この変化に自覚的になれる老人は、何か適切な対策が必要であることもじぶんで理解する。而してその対策は、みずから考えて日々の行動に採り入れ、実践するしかないものだ。すなわち、センスと分析力とインプロビゼーションの三才が、日々同時に、発揮され続ける必要がある。しかも、今日の適宜な対策は、明日には有効ではなくなってしまう可能性があり、漫然と、同じことを繰り返していれば、自己防衛にならない。その常続的な前提変化を億劫だとは思わずに、日々、新事態=新体調に対処すべく三才を動員する気構えができている者が、《頭脳労働寿命》を、長く延ばして行けるのであろう。これがもし青年期であったならば、おのれの体調変化にとんと無自覚でも、体内の若々しい細胞が勝手に対応してカバーをしてくれる。たとえば歯磨きがちょっとぐらい不完全でも若い人は歯周病にはならない。が、老人の体内はそういかない。自動ではリカバリーをしてくれない。それで、たとえば、わずかな歯磨きの「隙」があったら、すぐにそこから歯周病になるだろう。そこに自覚的なセンサーを働かせられる老人が、例外的に、いるのであろう。

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 2023-1-17記事「Serbia Asks Russia to End Local Recruitment For War in Ukraine」。
   ワグネルがセルビア国内で傭兵を徴募しているのだが、それを止めろ、とセルビア政府が火曜日にモスクワへ申し入れた。

 月曜日にテレビを通じてセルビア大統領は述べた。セルビア市民が、外国の紛争に、戦闘員として参加することは、セルビア国内法に違反する。

 ロイターによると、しかし、セルビア人は、プーチンが2014年にウクライナを侵略したときに、義勇兵として露軍に加わっていたそうだ。

 セルビアは対露経済制裁には加わっていない。それでいてEUには加入したいと望んでいる。

 ※最新のインタビューでセルビア大統領は、クリミアもドンバスもウクライナ領で間違いないと明言した。

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 Alexander J. Motyl 記者による2023-1-18記事「As Russia weakens, whoever has soldiers and guns will survive」。
   マックス・ウェーバーは百年前に指摘した。機能する国家は暴力を独占している。暴力を国家が独占できなくなれば、その国家は崩壊する。ワグネルは、後進国における軍閥や麻薬カルテルのようなものになりつつあり、それはロシア崩壊の兆しである。

 ロシアにはチェチェン部隊もいる。これも露軍とは何の関係もない軍閥である。

 もうひとつ、じつはショイグがじぶんの私兵を抱えている。「パトリオット」という民間軍事会社で、今、ドネツクのVuhledar戦区に投入されている。
 「パトリオット」とワグネルは、競合関係にある。
 カディロフもショイグを批判しているから、三団体はライバルである。

 ※昨日の雑報によると、ロシア正規軍が、ワグネル兵が鈴なりにタンクデサントしていた戦車を同士討ちで撃破してしまったという。

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 AFPの2023-1-17記事「Kremlin: Russian Firms Can Ignore ‘Unfriendly’ Foreign Shareholders」。
   プー之介はロシア企業に、外国人株主を無視する許可を与えた。非友好国の株主の意向は無視してかまわないそうだ。
 プー之介は火曜日にこの指令に署名した。2023-12末まで、有効。

 ※サハリン油井の株式なんか握っていても、何にもならないわけ。

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 Kathleen Van Brempt and Vicky Reynaert 記者による2023-1-17記事「Time to put Antwerp’s Russian diamonds on EU sanctions list」。
   アントワープ中央駅の近くを歩いた観光客なら認めるだろう。ここが世界のダイヤモンド資産の中心だと。

 世界のダイヤモンド原石の85%、カット加工済みダイヤの50%、工業用ダイヤモンドの40%は、この町を通過する。

 こまったことに、それらダイヤモンド商品の三分の一は、ロシアからもたらされる。
 ダイヤの鉱石の輸出で得られているロシアの収入は、毎年、40億米ドルくらい。それもいまや、ウクライナ侵略の軍事費に化けているわけだ。

 ロシアのダイヤモンド鉱山採掘の最大手は「アルロサ」。そのCEOのセルゲイ・イワノフは、プーチンの盟友の息子である。アルロサは、軍需産業やロスアトムとも太く結びついている。

 アントウェルペンがアルロサを閉め出さないでいる姿勢は、ベルギーの評判を著しく悪くする。

 1447年に、フェイク宝石を売ろうとした者への厳しいペナルティを導入したのはアントワープであった。
 そしてアフリカの「血まみれダイヤ」を欧州へは入れないと決めた「キンバリー・プロセス」もベルギーが主導し、声価を高めたものである。その評判がブチ壊しになるだろう。ロシアのダイヤは血まみれだからだ。

 ※南アフリカが露軍ならびに中共軍と海上で合同演習するという。これも鉱山絡みの腐れ縁なのか。

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 Eric Schmitt, Adam Entous, Ronen Bergman, John Ismay and Thomas Gibbons-Neff 記者による2023-1-17記事「Pentagon Sends U.S. Arms Stored in Israel to Ukraine」。
    米軍が将来の中東戦争用にイスラエル国内に大量にストックしていた武器弾薬を、いよいよウクライナへ送るという。主に、155㎜砲弾。この蓄積物資については、これまであまり外部には知られていなかった。

 砲弾の数量は、数十万発のオーダーだという。

 ストックは30万発あり、その半分はすでに船積みされてポーランドの港に向かっている。

 米国はこれまでに100万発をやや超える数量の155ミリ砲弾をウクライナに与えている。
 米高官(匿名)によれば、韓国からの調達、およびイスラエル国内にストックしている155ミリ砲弾の数量は、合計して50万発より少ないそうである。

 ウクライナ軍は毎月、9万発のペースで野砲弾を射耗している。これは米国+欧州にて毎月製造している砲弾量の2倍だという。

 米政府はイスラエルに対して、持ち出した弾薬の穴埋めはすると約束している。

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 Mike Ball 記者による2023-1-11記事「Micro-Radar for BVLOS Drone Flights & Airspace Management」。
   ケムブリッヂ・センサリーズ社は、小型軽量低出力のドローン用に、「微少レーダー」を開発している。レーダーシステムを1枚の集積回路基盤にまとめてしまったようなもの。

 これは「最後の1マイル」の配達を全自動でなしとげるためには重宝するセンサーだ。

 衛星航法支援信号を受信できない環境下で、正確に目的地に着陸したり、港の中を低速で動いている船舶に着艦できるようになる。

 鳥を避けられるようにもなる。

 ※ということはやがては、空対空戦闘用のレーダーにも発展させられるわけだ。それをマイクロチップサイズにパッケージングしてしまう。ここは日本のメーカーの出番だろ?

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 David Choi 記者による2023-1-18記事「US troops intercept drone flying near THAAD base in South Korea」。
   韓国のキャンプ・キャロルの近くのTHAAD基地に不審なドローンが接近したので、ただちに阻止したという。火曜日の昼過ぎ。米軍は電波ジャミングを発動させ、これを墜落せしめた。

 現場はソウルより130マイル南である。

 ※雑報によると、ウクライナ戦線では、ドローンが投下した小型爆弾に下から自動小銃の弾丸を命中させ、空中にて爆発させてしまった「リアル・ゴルゴ」が登場したそうである。その動画があるらしい。

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 Defense Express の2023-1-18記事「A Closer Look at the Senator APCs Donated by Canada to Ukraine」。
  カナダは「セネター」という6×6のAPCを200両、ウクライナに援助する予定。昨年すでに100両が、ウクライナの国境警備隊に引き渡されている。

 「セネター」は、エンジンおよび乗員を、狙撃銃クラスの7.62ミリ銃弾(徹甲弾)から防護できる。

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 Justin Cooper 記者による2023-1-16記事「FBI raided Chinese ‘police station’ in NYC: Report」。
   ニューヨーク市内にあるチャイナタウンに、中共の「警察分署」があった。そこを昨秋、FBIが急襲していたことが、『NYT』報道で初めて公けにされた。

 「分署」の場所は、繁華街に面した6階建てビルの3階であったという。

 今日までに、世界の53ヵ国内に、このような中共警察の分署が102箇所も勝手に設けられていることがつきとめられている。

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 Doug G. Ware 記者による2023-1-17記事「All military aircraft should switch to more expensive filters to improve safety, efficiency, experts say」。
    米軍の航空機の油圧系のフィルター紙には従来、グラスファイバーやセルロース系素材がつかわれているが、これを新しいステンレススチール製のフィルターに変えなさいという推奨。

 ステンレスフィルターの試用では米陸軍のヘリコプターが先行していて15年のデータがある。調子は良いという。
 1990年代後半にチヌークが墜落した原因が紙フィルターだったのがきっかけだったと。