トルコの中層ビルは、地盤ごとに定められている耐震基準を満たしていたのだが、それを上回る加速度で揺さぶられて崩れた。

 その耐震基準の根拠が、《2000年以上残っている古代の城》だったのかもしれない。それが倒壊した。

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 The Maritime Executive の2023-2-6記事「Earthquake Disrupts Oil Exports From Turkey’s Ceyhan Terminal」。
    トルコのジェイハン港は、原油の積み出し港なのだが、そこもやられた。震源からは100マイル未満。
 アゼルバイジャンとイラクの原油は、パイプラインでジェイハン港まで圧送されてきているのだ。それを扱えなくなった。

 ジェイハンには、原油貯油タンクが7基、および、VLCC級タンカーが横付けできる積み込みバースが2箇所ある。平時であれば、この港から100万バレル/日を出荷する。

 港に給電されている外部電力がなくなったので、港の業務も止めるしかなくなった。
 パイプラインそのものに被害はなかった。それは地震対策が十全にできているのだ。

 ※今回の日本政府によるレスキュー隊の派遣はすばらしく迅速で、大いにトルコ国内に於ける日本国の声価を高めたと信じられる。でかした。ちなみに極東からは台湾チームも速かった。韓国・中国は、本案件に関してはニュース的に埋没している。

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 Joseph Trevithick, Tyler Rogoway 記者による2023-2-6記事「U-2 Spy Planes Snooped On Chinese Surveillance Balloon」。
    やはり飛んでいた。「U-2」がバルーンの交信を傍受していた。しかも、バルーンの上方から。

 国防総省によると、支那からのスパイバルーンが米国領空を侵犯したのは1月28日で、場所はアリューシャン列島。
 その2日後、バルーンはカナダ領空へ。

 1月31日、こんどはアイダホ州の北境を南下。

 マニアのコールサイン傍受から、「U-2」は、バルーンが米本土の中西部に侵入した頃から2機、繰り出されていると推定されるそうだ。
 コールサインは「ドラゴン01」と「ドラゴン99」。※U-2の別名がドラゴンレイディー。

 U-2は、高度7万1000フィートを巡航することもできる。今回の高度は不明だが。
 敵の通信を妨害できる装置も、U-2は搭載している。

 昨日、『ポリティコ』が報じたところでは、今回よりも小さな、不審なバルーンが、2020年にヴァジニア州沿岸を飛んでいて、そのペイロードには「レーダー妨害」装置があったという。

 詳細は不明だが、バルーンの中に立方体状のレーダー反射器を封入したものかもしれない。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-2-7記事「Kyiv spends thousands of shells daily, there is a shortage of materials」。
    ノルウェーにある大手砲弾メーカー「ナンモ」社の社長いわく、ウクライナ特需で「窒素系原料」の調達が間に合わなくなっているという。つまり砲弾に充填する爆薬の製造が、需要に追いついていない。

 酸化窒素を製造・供給している英国の企業「ケムリング」社いわく。増産体制を準備中だが、設備が稼動するまでには数年かかってしまう、と。

 ところでウクライナの「UkrOboronProm」社が、国外で82ミリ迫撃砲弾の量産を開始したというのだが、それは一体どこの国なのか? どうもチェコ共和国らしい。22年11月19日に両国は、兵器の合同生産について合意をしているので。

 今後、同工場では、120ミリ、122ミリ、152ミリの砲弾も製造するという。

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 2023-2-7記事「Denmark will hand over Leopard 1 tanks to Ukraine」。
   デンマークも「レオパルト1A5」(すべて退役して2010年にFFGというドイツ企業に売られたが、ひきつづきデンマーク国内にモスボールされている)をウクライナへ送ることに決めた。

 FFGが保管している「1A5」の数は、100輛。

 ドイツ連邦政府は、ラインメタル社ならびにFFG社に対して、「レオパルト1」を再輸出していいよ、という許可を与えている。

 ※ここで読者は「常識」というものを働かせて欲しい。ウクライナ軍はもっか、戦車を「野砲」のように運用している。敵の姿が見えない遠距離(数km)から、間接照準射撃を加えているだけなのだ。戦車砲には大きな仰角がかけられないから、地面へのインパクト角も浅い。爆発で生じた破片は、ほとんどが下の地面にめりこむか空中高く吹き上げられておしまいである。こんな火力発揮をさせるためだけに、高額な戦車を動かし、軽油を消費しているわけ。トータルするとこれはたいへんな「人と資源と機会と時間の無駄」、否「浪費」なのだ。それに対して迫撃砲は、同じ口径であれば戦車砲よりも遠くに飛び、しかも弾丸の落角はほぼ垂直なので、破片は着弾点から四方八方へまんべんなく、水平に飛散して敵兵を殺傷し、物資・車両を着実に損壊する。弾丸を製造し、輸送し、発射するプロセスを通しての資源の実用効率、コストパフォーマンスが、桁違いに佳良なのである。「レオパルト1」の105mm砲から発射する榴弾(最大射程3km)よりも、古い「107mm迫撃砲」から発射する迫撃砲弾の砲が、10倍は敵にとってのダメージを与えられると信じられる。おそらくは81㎜迫撃砲でも、105mm戦車砲の榴弾砲撃にひけはとらないだろう。つるべ撃ちをすれば弾量は遜色が無い。値段は迫撃砲の砲が「数十分の一」で済む。同じ比較は、現在の主流重迫たる120ミリ迫撃砲と、「レオ2」の120ミリ戦車砲(滑腔)から榴弾を発射した場合についても成り立つだろう。各国陸軍が現有している120ミリ重迫をかきあつめるのは簡単ではないだろうと想像される。しかし、各国陸軍が使わなくなった107mm中迫をあつめることはむずかしくないはずだ。第三世界にもゴロゴロしているはずだ。中迫や軽迫は、商用のトラックでも迅速に移動させることができる。ドローン観測と連動させれば、精密なヒット&ランもできる。その訓練は、戦車兵訓練とは比較にならず、早く可能である。じっさい、ウクライナ軍はそのメソッドを自力で開発できているのだ。大量の中迫が宇軍陣内に展開すれば、露兵は全線でタジタジとなる。そこでほころびが見えた箇所に、手持ちのAFVを固めて突入させれば突破口が開ける。そこから両翼包囲にも移れる。だがそれにはまず前段階として中迫の数で全線で露軍を圧倒する必要がある。それは、今の西側ならばじゅうぶんに可能なのだ。なのに、それを考えていない。どうも今のNATO上層には、兵站と効率の計算から「決勝援助戦略」を組み立てられるプロが不在なのではないかという印象を受けてしまう。