人手を使わずに、ロボットだけで製造の主工程が完了してしまう、マイクロ内燃機関の生産ライン。これを先に完成した国は、ドローン消耗戦争のリーダーになれるだろう。

 Conflict Armament Research による2023-2-9記事「Multipurpose Iranian drone warheads used in Ukraine」。
   CAR(2011年結成。ロンドンに拠点があり、EUとドイツ政府から資金を得ている)は、2023-1に、ウクライナで回収された「シャヘド131」の不発弾頭を仔細に分析した。

 そしてその結果をネット公開した。これは世界初の報告である。

 シャヘド136に搭載されている弾頭は、円筒形で、長さ50センチ×径16センチである。

 円筒の前端は、成形炸薬の形態になっている。すなわちHEAT穿貫効果を真正面に対して発揮する。

 さらに、円筒の外周に斑点状に18個の、銅色の浅い凹皿がはめ込まれていて、弾軸から放射状に、四方八方へ自己鍛造弾を飛散させるようにもなっていると思しい。※これと類似の発想は中共製の対艦ミサイルの弾頭で見られる。

 円筒の尾端には、信管や安全装置がある。

 また円筒の両端には、あらかじめ方形(1平方センチ未満)に刻みを入れた11層の金属帯が鉢巻状に巻きつけられている。これは対人用の破片を増やそうという「ひと手間」だろう。

 総体として「シャヘド136」の弾頭は、発電所や変電所に突入させたとき、ハードな器材を破壊するだけでなく、周辺のソフトターゲットにもぬかりなく毀害をおよぼせる、そんな欲張った設計思想であると分かった。

 ただし破片帯のまきつけなどはかなりテキトーな、いかにもとってつけたような工作に見えるので、細部まで計算し尽くした設計でもなければ、また、周到な実験を重ねた弾薬でもないのであろう。

 すくなくとも1つのバリエーションがある。それは弾頭に、7ミリ厚のスチール製の尖端ケースをとりつけたもので、これは商船や建物にヒットさせたあと、外鈑・外壁を突き破って、短延期信管によって内部で爆発させる狙いがあると信じられる。これは2022-11にウクライナで確認された。

 ※イランがロシア領内にこれから建設してやる「シャヘド136」の量産工場は、年産6000機規模にすぎないのに、立ち上げまでに1年~3年もかかると予想されている。やはりネックは、エンジンの部品製造と組み立てを、熟練工に依存しすぎるところにあるのだろう。未だ誰も、この製造ラインを全自動化できていないのだ。日本の大手メーカーは何をやっている? ここに商機があるじゃないか!

 ※ロシアの「軍事動員」のありさまからして、新規製造工場にマイクロエンジンの量産に必要な熟練工が揃う日が来るとは、とうてい思えない。中共もマルパク製品にチャレンジ中だと思うが、同じところ(人材集め)で大苦労中だと想像ができる。

 次。
 『アル・モニター』の2023-2-9記事「Iran intel official says China in line to buy Tehran’s drones」。
  イランが自慢している。いまや90ヵ国が、イラン製の無人機を買いたがっていると。そのなかには中共も含まれている。

 水曜日の報道によると、中共は1万5000機も買い付けたがっているそうである。

 次。
 RFE/RL の2023-2-9記事「Kyiv Agrees With Prague On Ukrainian Armor Repairs In Czech Republic」。
   ウクライナの国営の兵器廠である「ウクロボロンプロム」はチェコ共和国の兵器メーカー「VOP CZ」社と覚書をとりかわし、ウクライナ軍のAFV修理をチェコでやってもらうことになった。

 次。
 Pavel Polityuk 記者による2023-2-10記事「France doesn’t rule out fighter jets for Ukraine, but says more immediate firepower needed」。
    エマニュエル・マクロンは金曜日に語れり。フランスはウクライナにジェット戦闘機を供与しないとは言わないが、時間がかかりすぎるのでダメだそんなのは。ウクライナが今必要なのは、すぐにも火力の増強につながる武器援助であろう。具体的には砲兵だよ。露軍の攻勢が迫っていると言うのなら、なおさらじゃないか。

 ※ドイツも「商売モード」に入った。ラインメタル社で開発中の新型「パンター」MBTを売りましょうとウクライナに持ちかけている。特殊装甲で全重を50トンに抑えている。

 ※長期消耗戦に突入してしまった友邦国を救うための、「低規格迫撃砲」が必要だ。町工場がロボットだけで製造できてしまうようなものだ。それは弾丸を3km飛ばせられれば可い。距離が3kmなら、イーロンマスクの衛星などにはいっさい頼らずに、ダイレクトな無線送受だけで、砲側と弾着観測用ドローンとが連携できるから。ただしいくら簡略兵器といっても、次弾の修正は精密にできないと、迫撃砲にする意味がない(砲側において修正をしないなら、いっそ、ロケット弾でいい)。そこがいちばんのネックになるだろう。

 次。
 David Axe 記者による2023-2-9記事「Now Russia Is Adding Inferior Optics To Its T-80 Tanks, Too」。
    ロシアが倉庫からひっぱりだしてきた古いT-72やT-80には、砲手用の夜間用照準器として「1PN96MT-02」がついている(砲塔の左側の四角い窓)。これはT-62時代の照準器だ。これがついている戦車が、レオ2(またはチャレンジャー、またはエイブラムズ)と対峙した場合、互いの主砲が届く距離内で、レオ2からはロシア軍戦車がハッキリと見えているのに、ロシア戦車からは、ウクライナ軍戦車がどこにいるのかすらわからないということになる。勝負は一方的だろう。

 ほんとうはこれらの照準器はすべて、T-90用の「Sosna-U」照準器にとりかえる工事をしなくてはいけないのだ。しかし「Sosna-U」にはフランス製のパーツが使われていた。クリミア侵略をしでかした2014年いらい、それはロシアに対して禁輸されている。

 次。
 Mary Ilyushina 記者による2023-2-9記事「Russia ousts director of elite museum as Kremlin demands patriotic art」。
    モスクワの有名な「トレチャコフ画廊」の館長が解任された。ロシアの文化大臣はその数日前に、美術絵画の展示内容はロシア国民の士気高揚に資するべきであると要求していた。

 クビになった67歳のゼルフィラ・トレグロヴァは2015年から同職にあった。代わって新館長となったイェレーナ・プロニチェヴァはメリトポリ生まれの39歳。親父はFSBの国境警備局の長。

 前館長は大学で美術史を専攻し、美術一筋の人生。
 後任館長は、大学で政治科学を学び、政府の税務委員会や、ガスプロムバンクの海外商売にかかわってきた人材。

 前館長は、22年に東ウクライナ出身の画家の作品を展示するなどして、政府の戦争政策に非協力的と見られていた。

 次。
 ストラテジーペイジの2023-2-10記事。
   イスラエルが売り出す新製品「ポイントブランク」の詳細。
 X字翼の端にシリンダーでカバーされたローターをとりつけ、クォッドコプターとして垂直に上昇させたあとで機体を横に寝かせ、高速水平飛行に移り、ロイタリングミュニションとなる。
 全重6.8kg、長さ30センチ、ウイングスパン30センチ。
 滞空18分可能。
 翼は折りたためる。その状態でバックパックとし、兵士が担いで運搬できる。
 最高速力、80m/秒。高度は450mまで行けるが、通常、50mで飛ばす。
 弾頭炸薬1.8kg。

 イスラエルのメーカーが、クォッドコプター型の自爆無人機をさいしょに作ったのは2021年の「ラニウス」。全重1.25kgで、手榴弾級の150グラムの炸薬を運搬。7分間滞空できた。ただし機体は横に寝かせられないので、水平速度は毎秒20mが限度だった。

 竹とんぼ型の対人自爆ドローンとしては、2020年に「ファイアフライ」をリリースしている。※これが高額すぎたので、反省して「ラニウス」を開発したのか。

 次。
 Oleg Danylov 記者による2023-2-9記事「The Russian experimental military satellite Сosmos-2499 fell into pieces. Again」。
   米宇宙軍の発表。ロシアの軍事衛星「コスモス2499」は一層バラバラになった。1月4日に。
 85個の大きな破片残骸が周回中。

 爆発前の衛星高度は1169km。
 さいしょに2021-10に18個の破片に分解していた。それがもっと粉々になった。

 打ち上げられたのは2014-5である。
 この衛星は米国の衛星にみずから衝突して破壊するタイプの宇宙兵器だった。静電気プラズマで軌道を変えるように設計されていた。

 次。
 Tanmay Kadam 記者による2023-2-10記事「China Can Fire Hypersonic Weapons, Conduct EMP Strikes With High-Altitude Balloons; Had Conducted Tests Back In 2017-18」。
   2018年に中共のCCTVは、高々度気球にハイパーソニック弾を3機吊るし、それを高空から投下する動画を、テレビで放映していた。
 これを指摘したのは香港の『サウスチャイナモーニングポスト』紙。

 件の動画は、2018-9-21に「dafengcao」という中国人が投稿したツイッターで確認できる。

 中共が「DF-ZF」というHGV弾を実戦配備したと宣伝したのが2019-10だから、その開発試験の一環だったのだろう。

 ※ウクライナは「バルーン+グライダー爆弾(GPS終末誘導)」で露領の奥深くの鉄道線路を攻撃できるだろう。高空では偏西風があるはずだから、冬型の気圧配置でも、問題ないはずだ。グライダー爆弾のメリットは、工場量産がいちばんむずかしい「小型エンジン」が要らぬこと。だから国内でシステム全部を量産できるはず。気球のガスは水素でいい。NATO諸国に戦闘機や長距離ミサイルをねだる前に、じぶんでできることをやらなくちゃね。