遺憾なく「凡人」の本領を発揮した個人演説会だった。

 メドヴェジェフが堂々と居眠りして、それをTVに映させていたところに、ロシア指導者層の総意が垣間見えた。
 小生は過去、「習近平=東條英機」説を唱えたものだが、このさい、ロシアの今のプー之介の姿こそが東條英機だと訂正させてもらう。

 カミル・グリーフ氏は、プーチンの次に立つロシアの専制支配者は、現在の現役の――すなわちまとまった組織・機関を部下として握っている――「小権力者」の中の、誰かになるほかにないのだと断言をしている。おそらくメドベージェフは次の政権構想を考えているのではないか?

 雑報によるとプリゴジンが苦境に立たされている。自身のSNSチャンネルで直接、ロシア大衆に訴えた。ショイグの命令で、ワグネルにはシャベル1本、供給されなくなっているという。まして必要な砲弾類は、ワグネルには与えられなくなったそうだ。プリゴジンは「ショイグは国家反逆者だ」と公然、罵っている。

 ここから「構図」が浮上する。プー之介がボケてきて「凡庸」の地があらわれてきたので、プー体制をこれまで支えてきた諸組織・機関のそれぞれの「小ボス」たちの権勢が大きくなっている。「小ボス」たちの中で多数決を採り、少数派を「国家反逆者」に仕立てて全責任をとらせて、今の絶望的事態を収拾するという近未来が見える。プリゴジンは早く大博打に出ないと「少数派」入り確定だろう。

 岸田総理はG7の中で唯一キーウに足を踏み入れていないというので焦っているのかもしれないが、日本には大逆転の一発がある。
 「ロシアが参加する国際スポーツ大会には、もはや日本代表チームは送らせない」と声明するだけでいいのだ。
 米欧首脳の誰にも出来なかった大制裁だ。法律を無視して世界に挑戦する集団には競技上の名誉も与えない。プー之介の独演会の後なら、この種の対侵略制裁はますます妥当。パリ五輪からのロシア排除を訴え続けているゼレンスキーは、感動するだろう。

 そしてこういうやりかたこそ「日本の道」に適っているのである。日本人は「押し付け善意」が嫌いである。しかし「どんびき関係謝絶」は断然支持する。それが日本人の社会正義観念に、しっくり来るのだ。「シン鎖国」の模範を、世界の前に示してやれ!

 次。
 John Vandiver 記者による2023-2-21記事「A year of Russian fighting in Ukraine shows the US military what it needs to improve, analysts say」。
    ホッジス大将いわく。西側はロシアをGDPで圧倒している。もしわれわれがロシアとの弾薬補給競争に負けるなら、それはわれわれにカネがないからではない。やるべきことをしていないためだ。

 ホッジズいわく。米欧はエスカレーションについての間違った自問自答をした。その結果、武器援助のグレードが及び腰になって、その結果、戦争を長引かせているのである。西側のありったけの武器弾薬をサッサとくれてやれ。

 ※ネットで調べてもどうしても分からなかったので、ここで知識ある方々に初歩的な質問をしたい。冷間鍛造で――もっとわかりやすくいうと、エンピツの金属サックでも作るように、圧延鋼鈑をしぼることで砲弾をもっと簡単に迅速量産することはできないのか? 腔圧や初速を抑制し、破片毀害力を妥協する「グレード落ち」砲弾としてしまうなら、それは可能なのではないか?

 ※1917年に英国で工程の手順合理化のために記録されたと思しい203ミリ砲弾(8インチ砲弾)の製造プロセスの詳細なフィルムがユーチューブで公開されています(尺は1時間近い)。ゲージの用意がすばらしい。外径にも穴径にも甲乙のゲージがあり、甲は通過して乙は通過しないという公差でなくてはならない。確認したら検印のポンチを打つ。最後に政府の背広役人も1発づつ公収検査をする。ここでもゲージ大活躍。X線撮影以外はぜんぶやっている感じ。工員の手の皮膚は傷だらけ。銅帯のつけかたも全公開。箱詰めの前に、ワニスを塗布。そうだったのか……。ひたすら感心した。

 次。
 Alice Hancock & David Sheppard 記者による2023-2-21記事「Netherlands warns of Russian attempts to sabotage its energy infrastructure」。
   オランダの情報当局いわく。ロシアは北海の海底パイプラインもしくは海底ケーブルを、またあらたに破壊しようと画策している。そのための特殊調査船をうろつかせているので各国は注意せよ。

 次。
 Doug G. Ware 記者による2023-2-21記事「Air Force sees chance to cut reliance on foreign supply chain by making rubber out of dandelions」。
    米国のグッドイヤー社と、オハイオ州にあるベンチャーの「ファームドマテリアル」社は、米本土自生種の「タンポポ」の粘液からゴムを合成して、それによって、もし航空機タイヤ原料のサプライチェーンを中共に攪乱されても持続ができるようにするという計画を推進する。

 タンポポならなんでもいいわけじゃない。「kok-saghyz dandelion」、俗称「TK dandelions」という種類のゴム品質が、東南アジアのゴムの木に匹敵するのだという。

 米空軍は、1年にタイヤを10万個近く調達している。その中には車両用も含まれる。コストは1億ドル。

 タンポポには有利な特性がある。ゴムノキは植えてから7年しないとゴム液を採取できない。タンポポは半年ごとに収穫できる。
 ※しかも多年草だから次々に同じところから生えてくる。寒冷な荒れ地でも定着する。病害虫に強い。

 グッドイヤーの試算では、1エーカーの栽培地があれば、乗用車用タイヤを200個から400個生産するのに必要なゴム液を収穫できそうだという。

 じつは米軍は80年前にタンポポの資源化を考えた。日本がマレー半島を支配してしまったので。
 しかし日本が降伏してマレー半島からの生ゴム供給が復活すると、事業はお蔵入り。