Courtney Kube and Carol E. Lee 記者による2023-3-5記事「Two Ukrainian pilots are in the U.S. for training assessment on attack aircraft, including F-16s」。
いま、ウクライナの空軍パイロット2名がアリゾナ州のツーソンに派遣されていて、彼らがF-16の操縦をマスターするのに何ヵ月かかるものなのかの実験台になっているという。
この実験台の人数はこれからさらに増やされてデータを取られる。とりあえず追加で10人。
実験は主にシミュレーターを活用し、実機は使わない。
※データ取りが目的なので、シミュレーターは「A-10」でも試すことであろう。その調子が意外によければ、まず「A-10」をくれてやろうという話になるかもしれない。殊に年寄りパイロットをわざわざF-16にコンバートさせても投資効率は悪く、諸資源の無駄となってしまうはずだ。A-10をあてがうのがちょうどいいかもしれない。
通常、F-16を飛ばせるようになるまでに18ヵ月かかる。米政府に言わせると、ウクライナはあと18ヵ月も戦争したいのかよ、という話だ。
しかし空軍の部内者の一部などがマスコミに、素質のあるパイロットなら半年とか9ヵ月でコンバート可能だと証言する。そうなると庶民ウケを狙う連邦議員どもが「早くF-16をくれてやれ」とか騒ぐから、米政府としては、とにかく実データを揃えて、科学的に政策を説明できるようにしたいわけ。
将来、ウクライナ人のパイロットを特訓するとしても、それは30人くらいだろう。
30人で戦争を終らせられるもんじゃない。
下院軍事委員会のコリン・カールの言うところでは、ウクライナ空軍は最終的に50機から80機のF-16によって、今のスホイやミグを更新する必要があるだろう、と。
しかしこれから新造するF-16を数十機も揃えるのには6年かかる。中古機を渡すなら2年でできる。
そして米国が負担するその費用は110億ドルになるだろう。
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Mike Hanlon 記者による2009-3-2記事「Mortar Stowage Kit brings automation to the battlefield」。
※古い記事です。
120ミリ重迫は、砲身と床板と2脚がコミで重さが300ポンドもあるけれども、これを最初から一体の形で、ミニトレーラーから地面に下ろしてくれるシステム。陣地を撤収するときにはまた、地面からトレーラーに掬い上げてくれる。操砲員は、アームを動かすボタンを押すだけ。アームは油圧と電力で動くので、人手がかからない。
これを使うと、重迫の陣地進入や撤収が、たったの3分で済んでしまう。
つまり、HMMWV+ミニトレーラーで、120迫撃砲が事実上、「自走砲化」するのである。班員の人数も減らせる、大発明だ。
3分で撤収ができてしまうとなると、敵軍は、対迫レーダーを持っていたとしても、この重迫の座標に対して「撃ち返し」をすることは不可能である。
BAEシステムズ社が、米陸軍から588個のM326を受注したのが、2007年9月のこと。総額は2050億ドルくらいではないかと見られる。本格量産は2009-6からスタートさせるという。
※写真を見ると、ミニトレーラーに弾薬も積まれている。だから万一、弾薬に被弾して殉爆しても、HMMWVは無事だ。
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Defense Express の2023-3-5記事「Ukrainian Warrriors Use the American M326 MSK Super-Trailer, Which Turns the Mortar Into a Self-Propelled Mortar」。
120ミリ迫撃砲は、欧米製の最新のものでも150kgのシステム重量。旧ソ連製だと200kgを越える。
2007年にBEA社が最初の受注をしたとき、この自動布置キットの値段は、1式が2万3600ドルであったという。安い。
米陸軍の空挺部隊も愛用している。
※州兵が装備している写真がネットでヒットするので、州兵の現用兵器をウクライナに供与してやっているのかもしれない。さてそうなると気になるのは、かつてアフガンで大活躍していた、GPS誘導の120ミリ迫撃砲弾だ。まだ相当の数量が米軍の国内外の弾薬庫にストックされているはずだ。それをいよいよ放出するのではないか?
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2023-3-4記事「Sputnik V vaccine creator strangled to death in his Moscow apartment」。
ロシア版の新コロワクチンである「スプートニクV」を開発したアンドレイ・ボティコフ(48)が、扼殺死体で発見された。モスクワ市内の自宅で木曜日に。
1人の侵入者がベルトを使って殺したとの情況証拠/証言あり。
警察は29歳の容疑者を拘束している。風俗商売に関して刑務所に10年いた前科者だという。
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2023-3-3記事「Hurricane Airprox operator fined £3000」。
イギリス人マーク・バギュリーは、2022-7にRAFが「ハリケーン」戦闘機の実物をデモフライトさせたイベントを撮影すべくドローンを近くに飛ばし、パイロットと観衆に重大な危険を生じさせたというので、このほど裁判所から、罰金3000ポンドを課されたうえ、禁錮6ヵ月、執行猶予1年を言い渡された。100時間の勤労奉仕も義務付けられており、来年5月までは、勝手に旅行することは許されない。
※こういう確信犯的な阿呆は、ウクライナ戦線で「ご奉公」させた方が宜しかろう。
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Gary Mortimer 記者による2023-3-5記事「DJI stops selling Aeroscope」。
DJI社がとつぜん、「Aeroscope」の販売を止めると決定した。これは、半径10km以内を飛んでいるDJI製マルチコプターの位置だけでなく、その操縦者の位置までも把握ができてしまう、有料のソフトウェアである。
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Svetlana Shkolnikova 記者による2023-3-3記事「US to send bridge-launching vehicles for tank deployments to Ukraine in new $400M aid package」。
米国から追加でウクライナに送られる装備の中に、「M60 AVLB」が含まれていることが分かった。
装甲架橋車で、M60戦車のシャシの上に、尺取虫式に折りたたんだカンチレバー橋桁を背負わせたもの。油圧で展張できる。その上をいちばん重いMBTが走っても折れない。
※この公表はショルツ訪米の直後なので、こういう意味なのだろう。レオ2ばかりあったって、宇兵がそれを野砲的に運用するのではいつまでも戦争のラチがあかない。機甲戦力は機甲戦力としてフル活用させる。それには架橋戦車も必要なのでとりあえず米軍手持ちの古いAVLBを与える。これにより、レオ2だけでなく、重すぎて浮航ができないM2ブラドリーも、いたるところで露軍の背後へ回り込ませられるようになる。M1エイブラムズは来年の寄贈になるが、ブラドリーはすでに続々と搬入されているから、喫緊の支援車両であった。またこの車体とエンジンの整備にウクライナ兵が慣れてくれると、将来、台湾などに大量にある中古のM60戦車をウクライナへ増派できるようにもなるだろう。その穴は新造のM1を売りつけて埋めればいいのだ。なお、架橋戦車は川を越すだけが能ではない。露軍はクリミア半島の付け根に「マジノ線」もどきを工事中だが、その数線の対戦車壕を任意の数箇所で超壕させねばならぬ。まずはそれに使う気だろう。
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Boyko Nikolov 記者による2023-3-5記事「Civilian truck is secretly transporting UK Spartan APCs to Ukraine」。
英国は昨年の開戦いらい、ウクライナに「FV103 スパルタン」APCを送り続けているが、その輸送方法は謎であった。このたびビデオが公表された。
どうやって搬入しているのか?
民間の大型トレーラーが使われている。ロシアの衛星によって探知されないように、トレーラーは、フルアルミパネル。したがって中味が何なのかは、誰にも窺い知れないわけ。完全にカバーされた荷台に、スパルタンが2両、入ってしまうのである。
スパルタンAPCは、自重が11トン。固定武装は7.62ミリ機関銃×1だけだ。
※衛星やドローンから見下ろされてもいいように最初から考えることが、これからは、あらゆる兵器を設計するときに、基本的に要求される着意だ。援助用の車両兵器は、できれば「鉄道/船舶用コンテナ」(20フィートコンテナ)の中にそっくり収納できる外寸にするのが理想的である。大きくするばかりが能じゃない。無人化時代、スウォーム化時代の今日では、むしろ小さくまとめておくのがとても有利。「武器援助外交」の自由度、オプション幅が、ぜんぜん違ってくるのだ。
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2023-3-5記事「OTO Melara Mod 56 105-mm howitzer in service with the Ukrainian Armed Forces」。
ウクライナ軍は、スペインの演習場で、イタリア製の「オットーメララ Mod 56」105mm野砲の操法を習い覚え、げんざい、ドンバス戦線で使用中である。
スペイン軍が2022-11に6門、寄贈した。
この野砲の砲身は、14口径長。
最大射程は10km。
大砲は、かんたんに12個のパーツに分解できる。つまりこいつは「山砲」だ。
イタリア軍は、バラした「Mod 56」を騾馬に駄載して山地機動させるつもりで設計させた。
防楯をとりつけないことにした場合、この野砲は、そっくりM113APCの内部に収納できる。M113は浮航ができるから、砲兵は、フェリーを頼まなくとも、簡単に渡河させられてしまうわけだ。
「Mod 56」は、世界の30ヵ国の軍隊によって、採用されている。
※こういうのが、尖閣諸島や先島群島の防備用に、便利このうえない装備であろう。ところで、ラバに駄載できるということは、いちばん重い砲身部分でも重量が110kgくらいになるように設計しているはずだ。これは何を意味するかというと、インドシナ戦争中にベトミンやベトコンが駆使した「輸送用自転車」によっても、楽々と搬送できるということ。なにしろ1台で200kgくらいは平気で吊るしていたのだ。さすがに2人がかりで押すのだが、それでもラバの秣の心配をしなくてもいいメリットは絶大だったろう。そこでとつぜん話が変わるのだけれども、読者の中に「自転車の改造」が趣味の人はいないか? ベトナム戦争中の輸送用自転車をリアルに再現したものでひとつ実験をやってみたいので、ご連絡ください。その写真を小生の次著の中で使い、お名前を紹介するというのが、報酬になります。