隠していた映像の公開。露軍機は黒海上空でTB2にも同じことをやっていた。ただし失敗。

 露軍戦闘機が、ジェット後流のタービュランスに巻き込んでTB2を墜落させんと図るも、TB2はストールには陥らず、じきに水平飛行に復帰している。

 さすがである。機首下げ失速に入りそうになると、大きな水平尾翼がしっかりと役に立つ。昇降舵は失速しないのだ。

 もちろんプッシャープロペラに後方から何かをぶつけることもできない。尾翼と双胴で囲まれているからだ。


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 「mil.in.ua」の2023-3-19記事「European companies lack components to manufacture ammunition」。
  『フィナンシャルタイムズ』によれば、欧州内で砲弾を大増産できない理由は、爆薬の原料が足りないからだという。ケミカルの問題なのだ。

 無煙火薬(ニトロセルロース)も足りない。プラスチック爆薬も足りない。TNTも足りない。

 チェコの「エクスプロジア」社は、欧州でも最大規模の弾薬工場をもっているのだが、今以上の増産は2026年以降にならないと不可能だという。

 工場の設備投資が稼動にいたるまでには、3年かかるんですよ。3ヵ月ではなくね。

 スペインのグラナダにある「ファブリカ・ムニキオネス」社(親会社はスロバキアのMSM)は、155ミリ砲弾を量産しているのだが、もはや欧州内からは原料(特にTNTとニトロセルロース)が調達ができなくなっているため、インドや韓国からの輸入を模索中だという。

 ちなみに今次戦争によって、155ミリ砲弾は20%値上がりしたという。すなわち今は1発が850ユーロする。

 ※台湾語では、ロイタリングミュニションのことは「滞空攻撃彈薬」と書く。スイッチブレードのことは、何故か「彈簧刀」と訳すようだ。簧は、リード楽器もしくはリード(舌)のこと。

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 Carlotta Gall 記者による2023-3-19記事「Inch by Bloody Inch in Ukraine War, Russia Is Closing In on Bakhmut」。
    最前線で記者も目撃した。露軍指揮官は、小火器を持たない兵隊を、最前線での塹壕掘りや、その塹壕への弾薬運びに使っている。

 そして確認した。人数の優位によって露軍は、1インチずつ、確かに前進していると。
 塹壕線を、すこしづつ前へ押し出して行く。この方法なら堅確だ。

 市街戦でも、1ブロックずつ、確保を拡げて来る。

 露軍は、動員した素人の人的資源を、分業させることで、特化させつつある。

 塹壕掘り役は、穴掘りだけをひたすらやらされる。弾薬運びは、タマ運びだけをひたすらやらされる。そして少人数の火器の発射役が、射撃に専念している。これなら弾の無駄にもならず、人の無駄にもならない。

 射撃は、射撃の上手い奴だけにさせればいいのだ。残りの兵隊は、その支援役に回れ。補佐に撤せよ。
 見事である。

 小交戦で、身軽な歩兵がわずかに前進する。するとすかさず、穴掘り兵がそのすぐ後ろに続行して、タコツボを開鑿する。そこへタマ運び役が弾薬を隠し入れる。もし宇軍から逆襲されたら、戦闘員は安全なタコツボの中から、小銃弾や擲弾をふんだんに発射し続けられるわけだ。1人ではとても携行などできない重さの弾薬を、プロ歩兵が必要なときには即座に消費できる。巧妙だ。

 そのタコツボはじきに塹壕線に拡張され、家財道具も推進搬入されてきて、露営可能な「半地下の家」になる。このパターンを繰り返すのだ。

 これが、人数の多さを戦力に転換する方法である。

 塹壕さえあるなら、夜も怖くない。露軍は夕暮れに、「偽退却」をすることがある。それを見た宇軍が、夜更けに前進してみると、しっかりと塹壕内には露兵が潜んでいて、激しい銃撃を食らってしまう。

 市街戦では砲兵がモノを言っている。露軍砲兵が、建物を1棟ずつ、崩壊させて行く。その前進が、止まらない。

 宇軍の期待。露軍の下級兵のモラールは、戦死傷者数に比例して下がり続けている。4月にこっちが攻勢に転じたときには、それが意味をもつだろう、と。