ロシアは開戦前は約100機の「カモフ52」攻撃ヘリを擁していたが、今次戦争ですでに32機を失っている。フランスも「有人攻撃ヘリ」は捨てる方向で検討中だ。

 Ashish Dangwal 記者による2023-3-21記事「Ukraine Destroys ‘Big Stock’ Of Russian Kalibr Missiles While Being Transported By Train」。
    20日、ウクライナ軍は、クリミア半島内の鉄道を攻撃し、それによって、複数の「カリブル」巡航ミサイルを、破壊することに成功した。

 これらのミサイルは、黒海艦隊の軍艦に積み込むために列車輸送されていた途中であった。

 爆発があったことが、半島北部の「Dzhankoy」市から報告されている。両軍対峙線からは90マイル。
 ※この駅は、露領からセワストポリ軍港まで物資を搬入する貨車が、ケルチ大橋からであれ、北からであれ、必ず通過しなければならぬ、交通結節点である。

 情況証拠や住民証言から、攻撃にはドローンが使われたらしい。
 SAM多数が発射され、何機かは撃墜された。

 ※このSAM1発の値段がドローンを上回る。ドローン戦争では攻撃する側に圧倒的な利があり、受け太刀になったら損するばかりなのだ。もっとやれ。防禦を考えているヒマがあったら、その資源は攻撃に回せ。それが敵の攻撃力を殺ぎ、ひいては自国の都市を守るのである。

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 ディフェンスエクスプレスの2023-3-21記事「What Kamikaze Drones Were Used to Hit Targets in the Temporarily Occupied Dzhankoi in Crimea」。
    クリミアで20日夜に複数機が墜落した、ウクライナ軍の放った固定翼無人特攻機は、残骸写真の、特徴的なテイルビームおよび垂直尾翼の形から「Mugin-5 RPO」のようだ。

 この無人機は2022夏に、セワストポリの黒海艦隊司令部と、Novoshakhtinskの石油精製工場を攻撃している。

 このUAVは中共製で、通販サイトの「AliExpress」を通じて市場調達できる。宇軍はそれに爆装させているのだ。

 ロシアは、そのプロペラが米国製の「Sail Propeller USA」だというので、無人機も米国製だという宣伝をしている。しかし中共メーカーは、UAVのコンポーネントをすべて自社で製作したりはしない。殊にオフザシェルフの高性能パーツを安く、ふんだんに調達できるのならば。

 なぜ露軍の防空システムは、この無人機を180kmも阻止できなかったのか、その説明はされていない。

 ※撃墜されたというドローンの残骸尾部の写真がSNSに出回っている。それを見るかぎりでは、「ムジン5」だ。発動機+プッシャープロペラ式。主翼より後方が双胴。水平尾翼はストレートな一枚板で左右の垂直尾翼間を連結。垂直尾翼は、屈曲した鏃形。主翼は高翼配置。主翼両端が少し下向きにまるめられていてウイングレット効果を狙っているバージョンもあるようだ。《アリババ・ドローン》の代表である。

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 Paul Mozur, Aaron Krolik and Keith Bradsher 記者による2023-3-21記事「As War in Ukraine Grinds On, China Helps Refill Russian Drone Supplies」。
   ロシアの通関統計は隠していない。2022-2以降、中共からすでに1200万ドル以上の、ドローンならびにドローン部品が、ロシアへ輸出されている。

 トータルでは、70近い数の会社が、26のブランドの、中共製のドローンを、ロシアに売りつつある。DJIは筆頭であるが、他にもゴマンとメーカーがあるのだ。

 DJIについで、対露の戦時納入実績が巨額なのは「Autel」社である。この支那企業は、米国、ドイツ、イタリアに支社を構えている。

 DJI社は、直接の対露輸出はしておらず、相手が迂回輸入をしているだけだと言い張る。特にカメラや電池などの部品を民間市場からかきあつめてとりよせることを阻止する方法はない。メーカーがそれらを民間市場で売るのは合法なのである。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-3-21記事「Gold thin-film on the F-16 cockpit glass hides radiation from radars」。
    ポーランドの軍事専門家氏が、ミグ29とF-16の違いを説明する。
 ミグ29は、遠くから分かりすぎる。双発エンジンは音がうるさく、スモークも目立つ。敵のレーダーにもよく映る。

 F-16のコクピットは、しっかりとステルスになっている。
 窓の内側に、ごく薄い、金のフィルムが貼られているのだ。これが敵のレーダー波から、コクピット内を隠してくれる。ミグ29にはその工夫も無い。

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 「mil.in.ua」の2023-3-21記事「British Challenger 2 tank. Photo from open sources」。
    英国がウクライナに引渡す「チャレンジャー2」から発射する対戦車用のAPFSDS弾には、劣化ウランが使われている。それも、引渡すという。
 英国の国防副大臣が明かした。

 劣化ウランは、濃縮をされていない天然ウラン鉱石よりも、放射能はさらに40%、弱い。

 この、硬くて重い、原発副産物を、対戦車徹甲弾の芯として使っている国は、米、英、仏である。レアメタルであるタングステン合金よりも、ずっと安価なので。

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 The Maritime Executive の2023-3-20記事「Study: Russia Circumvents G7 Oil Price Cap With Help From EU Firms」。
    G7は昨年9月に、ロシア原油を買う場合の上限価格をバレルあたり60ドルと決めているのだが、それよりずっと高い値段(平均76ドル)で原油を買っている連中がいる。EU域内に会社が所在する複数のタンカー手配会社が、極東のコズミノ港から積み出している。

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 Tanmay Kadam 記者による2023-3-21記事「Ukraine War ‘Sucks’ The US Into Vietnam, Afghanistan League; Military Aid To Kyiv Exceeds Yearly Afghan Spendings」。
    ドイツのシンクタンクによる予測。
 米国の対ウクライナ支援は、1965年から1975年のベトナム戦争経費を、年額の比較において、すでに15%上回っていると。

 2001年から2010年までのアフガニスタン戦争に、米国は、GDPの0.25%を注ぎ込んでいた。そして現在、ウクライナ戦争には、GDPの0.21%を割いている。

 ※大事なことはそこじゃない。1兵も戦地に送らずに、武器弾薬だけ支援することで、国際安全の大きな脅威であった露軍をガタガタにしてやっている「効能」は、1945以降の他のすべての対外軍事関与とは、比較にならない。1兵も送らないことで、米国社会には「後遺症」は発生しない。ベトナムでもイラクでもアフガンでも、米国社会は「後遺症」を蒙った。そのダメージの深刻さは、とうてい金銭では測ることはできない。

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 ストラテジーペイジの2023-3-21記事。
   ウクライナの「市街戦」概況。

 広い国のようでも、重要な交通結節点を支配するためには、特定の都市がどうしても争奪対象になる。そこを捨てて他を占領しても意味がないのだ。

 それで両軍とも必死で特定の都市にこだわり続けるのだが、どちらも、砲爆撃能力には余裕がない。特に露軍が、ひとつの都市を砲爆撃でまるごとサラ地に変えてしまうという、シリアの小村が相手ならば得意な戦法を、採りたくても採れない。

 ということは、小火器を携えた歩兵部隊が仕事をするしかないのである。
 そのためにはシミュレーターを使った事前のトレーニングが有効。
 というわけで、市街戦を兵士に教えるための装置をコンテナに詰め込んだシステムが、NATOには用意されている。MOUTという。

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 John Vandiver 記者による2023-3-21記事「US Army stakes out permanent presence in Poland with ‘Camp K’」。
    米陸軍1万名が駐留するポーランド西部の「Kosciuszko」基地が米軍の恒久基地に昇格。
 米国独立戦争に味方したポーランド人の工兵将校の名にちなんでいる。通称「キャンプK」。

 ということは、これから米兵の帯同家族のための基地外住宅が整備されることになる。

 ポズナニ市には、米空軍や米海軍など500人くらいが分駐している。
 またポーランド全土では100箇所以上もの、米軍関係拠点がある。