《国外拠点の砲弾工場》をオーストラリアの砂漠地帯に建設することが、わが国の長期の「保険」として優れている理由。

 ベトナムもタイもインドネシアもマレーシアもフィリピンも、《自由世界のための砲弾工場基地》としては将来に不安があって宜しくない。

 けっきょく日本から近いところでは、豪州に拠点を探すしかない。
 そこには有利な条件が揃っている。

 鉄鉱石と石炭の産出地やスチール・ミルから鉄道で、砲弾工場まで直結が可能。
 少雨なので地下化にも不都合がない。
 造り過ぎて余った砲弾を貯蔵しておける乾燥した無人の土地は無尽蔵。
 海外緊急出荷用のC-17を運用できる滑走路も、近傍に敷き放題。

 空想するに、かつて日本の潜水艦を豪州に売り込めという話がでたときに、そのオフセット条項として、潜水艦の建造技術移転などではなくて、「155㎜と105mmの砲弾の新鋭工場の進出」をパッケージにしていたなら、いまごろどうなっていたであろうか?

 台湾海峡有事だろうがペルシャ湾有事だろうが黒海沿岸有事だろうが、シナやロシアからは遠く離れた安全地帯の豪州から、誰にも邪魔されることなく、ふんだんに野砲弾が供給され得た筈なのである。

 次。
 Mike Yeo 記者による2023-3-28記事「Supply chain issues impede mass production of new Chinese engine」。
    中共の国内開発の軍用ターボファンエンジン。それを量産するのには特殊合金素材のネックがある。そこが解決されれば、どうなるか。

 たとえば「WS-19」と「WS-20」と、その次の名称不明の最新型エンジンが、何の制約もなく大量生産されるようになる。米軍にも脅威になるだろう。

 WS-19は、艦上戦闘機J-35用である。アフターバーナーあり。
 WS-20は、「輸20」用のハイバイパス・エンジン。

 「輸20」は現状、ロシア製のD-30KPエンジンを使っている。ローバイパスのターボファンだ。同じエンジンを、爆撃機の「轟6J/K/N」にも使っている。

 この他、WS-15がもうじき量産に移行するという。というか、まだ量産してなかったのかよ、の世界。「殲20」用にさんざん宣伝されていたモノだ。

 181キロニュートンの出力だという。そのくらいあれば、アフターバーナーを燃やさずに超音速で巡航できるはずだ。

 現状、「殲20」には「WS-10C」が搭載されている。そのパーツの国産率は98%だという。
 「殲10/11/16」用には、前から「WS-10」が使われている。

 次。
 Alex Hollings 記者による2023-3-27記事「Putin’s Pilot Crisis: Russia is running out of well-trained aviators」。
    クラスノダールにある、ロシア空軍の高等軍事航空操縦学校。2021年に同校では、初級課程に140時間、中級者コースだとそれプラス60時間、飛行機を操縦させた。
 すなわち2年前に素人だった者が、計200時間の飛行経験を積んだところで、実戦場へジェット戦闘機で送り込まれ得る。これがロシア軍。

 米空軍ならどうだろうか。まずプロペラ機DA-20で25時間(於プエブロ)。
 さらにT-6テキサンで90時間。

 その次に、ジェット練習機のT-38タロンで100時間+。
 最速の優秀生徒でも、初級から累算215時間しないと、ジェット戦闘機は操縦させてもらえない。

 ジェット戦闘機ではまず20時間。ついで、6ヵ月のスコードロン内練成を経て、ようやく実戦に出されるようになる。
 ざっくり比較すると、米軍の戦闘機パイロットは、露軍の戦闘機パイロットよりも2倍の飛行時間で鍛えられている。

 現役の露軍パイロットは、年に70時間から120時間、コクピット内に居る。年に70時間は、月に直せば5.8時間となるが、じっさいにはそれ以下の飛行隊が多い。

 比較して2020年の米軍の現役戦闘機パイロットは、年に121時間、月に10.9時間、飛んでいた。

 次。
 ポーランド発の2023-3-25記事「Fake News: A warning for politicians everywhere」。
    欧州議会へ出向していた政治家ドナルド・トゥスクが、ポーランドの内政に復帰しようとしている。それにはまず国政選挙を経なければならない。

 ポーランドの右翼勢力はこいつが気に入らないらしく、早くも無数のフェイク・ニュースの砲弾を浴びせている。
 嘆かわしいが、これが自由民主主義の伝統の薄い、半開国の現実だ。

 ※台湾はチェコから装輪式155㎜自走砲を大量輸入することを決めたようだ。米国がなんでもぜんぶウクライナへ送ってしまうので、それらを待っていたら、どうにもならないと判断した。

 次。
 カイル・ミゾカミ記者による『ポピュラーメカニクス』の記事。
    NATOは1950年代のなかばに、ソ連のT-55戦車の100ミリ砲にしてやられないためには、M48戦車の90ミリ砲のままではまずいと考えた。実戦ではまずくないのだが(たとえばM48は主砲の俯仰をコンピュータで安定させていた上、12.7㎜対空機関銃はリモコン式だった)、平時の宣伝上、それは放置できないのである。実力とは無関係の平時宣伝で、敵の兵隊は調子に乗り、こっちの兵隊は不安になるだろう。それがよくない。

 そこで105mm砲を搭載したM60戦車の採用が決まった。エンジンはコンチネンタルAVDS1790ディーゼル。

 対抗してソ連は115ミリ砲を搭載したT-62を登場させたが、米軍の自信はもう揺るぎなかった。
 M60は1970年代には「M60A3」に進化し、弾道コンピュータがレーザー測遠機や風向計と結合され、防御力の弱いソ連戦車との対決には何の不安もなかった。

 1991湾岸戦争で米陸軍がM1A1をアラビア半島に運び入れたとき、米海兵隊はまだM60系を使っていた。そしてイラク軍の125粍砲搭載の旧ソ連製戦車をやすやすと破壊して回った。

 米陸軍は1997にM60を退役させたが、現在、米陸軍も海兵隊も、古いM60戦車を、予備用のストックとして、かなりの数を砂漠で保管し続けている。

 またサウジアラビアはイエメン戦線で、トルコはシリア戦線で、それぞれM60を現用中である。

 ※最新雑報によると、「IS-III」が無蓋貨車で輸送されているのが撮影されている。プラモデルの「スターリン重戦車」だ。1944年の設計で、122ミリ砲、46トン。車体前面が三角屋根状に中央で溶接されている。卵形砲塔側面にはタンクデサント用の「取っ手」が多数熔接されている。

 次。
 「mil.in.ua」の2023-3-28記事「Russia transfers modernized BRDM-2 to Ukraine」。
    露軍は、4×4の古い偵察用装甲車である「BRDM-2」を続々と倉庫から引っ張り出してきている。

 リファービッシュして、6ミリ厚の増加装甲を熔接しているようだ。距離300mから14.5ミリ機関銃で射たれても、正面ならば耐弾すると宣伝している。

 エンジンも150馬力の新型に換装されているという。装甲を強化したかわりに、渡河時に使うポンプジェット(重さ100kg)はおろしてしまい、総重量は6.9トンで不変。だから、タイヤを回すことによって、微速で浮航できる。

 価格は1台が700万ルーブルだという。ということは、もともと輸出向けか。