《ロシア兵電話投降相談室》への月間アクセス数が、3月は3000件を越えたそうだ。

 このでんわ相談室はウクライナ軍が開設しているもので、露兵がロシア語で相談できる。
 2022年の10月~12月は、1400~1500件だった。
 2023年の1月~2月は、2500件だった。

 何でも、聞いちゃお、話しちゃお~♪  ……あ、古過ぎました?

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 Helene Cooper and Eric Schmitt 記者による2023-4-6記事「Ukraine War Plans Leak Prompts Pentagon Investigation」。
  3月1日にドイツ国内の米軍基地で重要会議があったが、そのときの資料と思われるペーパーをロシアのスパイが写真撮影し、それをもとに再構成。ロシア側に都合よく加工して、ツイッターとテレグラムにリークした。
 今次戦争でロシアのデジタルハッカーは不振だが、古典的なスパイはしっかり健在だ。

 オリジナルテキストそのままのリークではない。特に、ロシア兵よりもウクライナ兵の方がはるかにたくさん戦死していると米政府が認識しているかのようなグラフは、ロシア発のディスインフォーメーション以外の何物でもない。

 リークされた文書には、何か特定の作戦計画は含まれていない。すなわち、いつどこでどのように宇軍が攻勢に出るかについては、何も知られぬ。

 しかし、米政府が明かしていない、戦地でのHIMARSの消費スピードについては、この文書が、明らかにしている。

 またリーク文書は示す。宇軍に12個の戦闘旅団が新編されつつある。うち9個は米軍が稽古をつけている。残りは他のNATO加盟国で面倒みている。

 9個戦闘旅団のうち6個は3月31日に練成が仕上がる。残りは4月30日まで訓練が必要である。
 ちなみに宇軍の1個旅団は4000人から5000人というところ。

 9個旅団となると、トータルでは戦車×250両、MICV×350両を必要とする筈である。

 ※これがとうしろうのプー之介だったなら、3月31日に訓練が完了した6個旅団を、即座に前線にぶつけてしまうだろう。だから4月の第一週に何が起こるか、身構えていたのだろうが、何も起きなかったので、こんどは5月になる前に、「ロシア政府は諜報活動はしっかりやっていますよ」「しかもロシアは死者比率で勝っていますよ」と国内向けに宣伝することに決めたのか。

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 Jakub Palowski 記者による2023-4-6記事「Warsaw Offering a New Stance Regarding Nuclear Weapons」。
  NATOのニュークリア・シェアリングにポーランドが積極参加したい、との意向をドイツに伝達した。

 ※つまりポーランド国内のどこかの基地に、B61水爆を何発か貯蔵しておき、平時は米軍が管理しているが、一旦露軍もしくはベラルーシ軍が核を使ったときには、ただちにポーランド空軍機がその爆弾を受領してモスクワに報復爆撃ができるようにする。従来、ポーランドからではモスクワまでの距離が近すぎるので、問題外の希望であっただろうが、いまや露軍が戦術核ミサイルをベラルーシ領内に展開するのみならずベラルーシ軍にその取り扱い方法を教えると公然宣伝しているのであるから、すっかり事情は変わったのである。

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 Ashish Dangwal 記者による2023-4-7記事「Russia To Arm Its MiG-31D Jet With Anti-Satellite Missiles, IL-76 With Combat Lasers To Down Hostile Space Assets」。
   露軍の機関誌『軍事思想』によると、いま、2種類のASATが開発中だと。
 ひとつは、ミグ31から発射する対衛星ミサイル。
 もうひとつは、イリューシン76に搭載する、対衛星レーザー砲。

 改造輸送機からレーザーを発射して衛星を攻撃しようという話は2009年から公けになっている。しかし今まで続報は無かった。

 ミグ31に謎の黒いミサイルを吊下した写真は2018に宣伝公開されていた。これも続報は無かった。

 今回のもまた、相も変わらぬ苦し紛れの宣伝努力のひとつなのだろう。

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 『Eruactiv』の2023-4-7記事「Slovakia Suspects russian Sabotage With MiG-29 Jets For Ukraine」。
   スロヴァキアは2022-8に「ミグ29」の対宇供与を決め、それは2週間前から実行され、すでに宇軍が実戦飛行させている。しかしそのエンジンについての、新事実が漏れてきた。

 スロヴァキア国内ではなんと昨年まで空軍基地にロシア人技師を入れて「ミグ29」のエンジン整備をさせていたという。スペアパーツはロシアでしか製造されていないからだ。

 そのロシア人技師が、質の悪いスペアパーツをとりつけた、と、スロヴァキア空軍のパイロットであった中将は主張している。

 整備されたエンジンは350時間稼動してくれるはずなのに、たったの70時間しかもたなかった、と。

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 Kanishka Singh 記者による2023-4-7記事「Canada deploys military aircraft to Japan to implement North Korea sanctions」。
   カナダ空軍は「CP-140 オーロラ」×1機を日本の基地に6週間駐留させ、北鮮沖での船舶の監視に協力する。特に、瀬取りによる液体燃料の受け渡しをゆるさないことが、国連が決めた制裁を実効的にするので。

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 「mil.in.ua」の2023-4-7記事「Armed Forces of Ukraine use Ukrainian-made smoke grenades」。
   旧ソ連製に代わる、ウクライナ国産の発煙手榴弾「DG-01」が量産に移って、すでに前線部隊へ支給されつつある。

 「DG-01」は2021年に制式採用が決まった。白煙を出すものと、黒煙を出すものの二種類がある。
 全重650グラム。
 ピンを抜くと3秒で発煙開始。
 幅30mの煙幕を構成してくれる。その煙幕は2分くらい持続する。

 旧ソ連製の発煙手榴弾と比べて軽量小型であり、かつ、輸送中の荒っぽい衝撃にも故障しにくく、湿気のある場所で貯蔵しても変敗しない。

 衛生兵には発煙手榴弾は必需品である。その煙幕にまぎれて負傷兵をひきずってくるのだ。
 また、こちらの装備品が炎上したようにみせかけて敵を欺く用途にも、スモーク・グレネードが役立つ。

 ウクライナ国産の新顔手榴弾としては、「RTG-27」サーモバリック手榴弾もある。この手榴弾の「S2」型は、市販の「Mavic 3」クォッドコプターから投下することができる。露軍が遺棄したAFVの開放ハッチの中に、ホバリングさせた「マヴィック3」からこいつを落とし込んでやると、確実に処分ができる。

 ※雑報によるとポーランドの零細企業が、不整地をアンビュランスではないふつうの民間小型車両によって負傷兵を後送させるときに、ガタゴト揺らさぬようにできる「担架トレーラー」を製造して、ウクライナに供与している。この設計がすばらしい。たとえばピックアップトラックの荷台に直接、負傷兵を寝かせると、振動の苦痛がたいへんなものとなるだろう。そこで、2輪の専用のミニ・トレーラーを牽引させる。クッション性が特に考慮されており、不整地をクロスカントリーしても激しくは揺れない。カンバスとビニールの天蓋があるので、悪天候にも対応。前後左右はメッシュ鉄板だから通気・通風も自在に調整できる。こんなトレーラーがあれば、ミニ乗用車や農耕トラクターでも、立派な患者後送手段となってくれるわけだ。